展覧会が終了する直前にようやく行けました。
「その男、榎忠」(そのおとこ、えのちゅう)。
榎忠さん。神戸在住のアーティスト。
私が最初にエノチュウさんのことを知った時には、情報のほとんどはすでに伝説になっていたのですが、とにかくとんでもないことを考える人だなあと。大阪で彼の名前をまるごと題名にした展覧会があると知り、これはぜひ行かねばと思っていました。
約2か月間にわたる会期中にはスペシャルトークが3回あって、村上隆さんやヤノベケンジさんが出演するということもちょっとした話題のようでした。
フライヤーに書かれている紹介文の一部を引用すると。
「・・・そこには、デュシャンからティンゲリー、はたまた村上隆からヤノベケンジにまで至る20世紀の美術の歴史の総体が高圧で圧縮され、次々と繰り出されているのを知ることになるだろう。・・・・・・実際、<その男>=榎忠のあとでは、もうやることなんか残ってないんじゃないか? とすら思わせるのだから・・・。」と、ナンカすごそう!
いやいや、実際のエノチュウさんがやったことはすごくわかりやすいんです!
全身の体毛を<半刈り>にして<ハンガリー>に行った男。
万博のマークを日焼けでお腹に刻印して街を半裸で歩いた男。
画廊を「バー ローズチュウ」に変え、女主人として客をもてなした男。
鉄道車両や電気製品を自分で解体し、その廃材で巨大な機械彫刻を作った男。
・・・・・・等々。
過去の作品はパフォーマンスだったり、もう解体してしまったものが多いので、今回の会場で見られるのは写真・映像での紹介がほとんど。それでもやっぱり面白いのでつい時間をかけて見てしまうんですけどねー。
たとえば、1981年に廃鉄で作った機械彫刻「スペースロブスター P-81」という作品のストーリーはこんな感じ。地球などの星が廃棄物を宇宙に打ち上げているうちに、いつのまにかゴミでできた星が誕生し、その後もどんどん打ち上げられるゴミに困ったその星が今度は逆に、ゴミの元の持ち主=地球に向かってゴミを送り返す。その時にゴミで作られた宇宙船が「スペースロブスター P-81」というわけ。
過去の作品で唯一復活したのが「帰ってきたローズチュウ」。1979年のBAR「ローズチュウ」の再現です。赤いインテリアで妖しくしつらえた部屋には女主人
ローズチュウの網タイツ姿の昔の写真が♪ 胸は大きいけれど髭もある!なんだかうれしくなってバーカウンターに腰掛けてみると、目の前に映像が流れていて2006年のローズチュウがそこに映っていました♪♪♪ 期間中、実際にローズチュウさんが現れた日もあるそうですが。
さらに、6階には新作「RPM-1200」が。
それは「僕にとっては働くことも創ることも同じ。どちらも自分の日常」と語っているエノチュウさんが、実際にいま働いている神戸の工場で自ら削り出し、磨きあげた機械部品の集合でできた作品。それぞれ一つひとつは単なる機械のパーツなんだけれど、彼の手によって組み立てられた完成形は、まるでSF映画の都市のように浮かび上がって美しかった・・・。
スペシャルトークの最後の回は4月16日(日)。展覧会の最終日です。ホスト役がヤノベケンジさんで、なんと2006年のローズチュウが出演とのこと♪
会場はKPOキリンプラザ大阪。入場料は大人700円。展覧会の詳細はココ。