前編からの続きです。
ちなみに、元町映画館3月12日の上映スケジュールは
・「世界のどこにでもある、場所」2回
・「風の歌を聴け」
・ 舞台挨拶
・「世界のどこにでもある、場所」
私は挨拶の前に「風の歌を聴け」だけを鑑賞しました。
2つの作品について思い出しつつまとめてみます。
劇場のスタッフの方でしょうか? 女性が聞き手となって
それに大森監督が答える形でした。
●「世界のどこにでもある、場所」
>>『風の歌を聴け』にも出てきますが、新作も動物園ですね?
「そういえばそうですね。『大失恋。』は六甲アイランドの
遊園地AOIA(震災で壊滅)でしたし、好きなんですかね。
これを思いついたのは宝塚ファミリーランドがなくなると聞
いたからです。遊園地で撮っておきたいなあと思ったんです。
そこに心を病んだ人たちが集まるというような設定で。とこ
ろが全然間に合いませんでした。
遊園地がつぶれると聞いては企画を持っていってたんですが、
つぶれる遊園地がなくなってしまい、あきらめていたところ、
「にほんのうた」のほうから話があって。
それに合うようなできるだけ郷愁を誘うようなところを探し
たところ、見つかったのが桐生が丘動物園・遊園地でした。
でも撮影に使えるのが2週間しかなくて。(←ここ失念!
10日間とか1週間とおっしゃってたかも?)
有名俳優も出演していないし、超低予算の映画です。
『ノルウェイの森』の製作費で25本撮れます!(会場ウケる♪)
>> 監督は大阪芸術大学で教えていらして、それがきっかけ
になったと映画雑誌で読んだのですが?
学生たちに刺激されたんですね。彼らが作ってるのを見てい
て、僕らが昔やってたのと同じで、いいなと。それで僕もで
きるんじゃないかと自主製作のノリで作りました。『風の歌
を聴け』はトンがった映画ですけど、これは観る人のことも
ちゃんと考えて作ったのでわかりやすいと思います(笑)。
●『風の歌を聴け』
「新作よりも30年前の映画のほうがお客さん、よう入ってま
すね~。しかし、わかりにくい映画ですね(笑)。村上さん
の原作もわかりにくいんですけどね。
ただ、俳優が皆さん、いいですね。小林薫さん、坂田明さん、
巻上公一さん、真行寺君枝さん、室井滋さん・・・。
小林薫さんは当時29歳で僕と同じ。おっさんかと思うてたけ
どそんなことない。村上さんの小説に合う。いいなあとあら
ためて思いましたね。」
※以下、入場客からの質問に答えて。
(告白します! 実は・・・質問したのは私です。「風の歌を
聴け」の録画DVDを持っており、オバサンのド厚かましさで
長年の超個人的な疑問をぶつけさせて頂きました。)
>> シースルーエレベーターのマンションはどの部屋で撮影し
たのですか?(監督は戸惑いながらも笑って答えてください
ました。本当にありがとうございました!!)
「西と東があって、東館のほうですね」
>> 当時の神戸近辺の典型的な風景をロケ場所にしたのは意識
的にですか?結果的に震災でそれらがほとんどなくなった今、
すべてのものはいつかは消える、という意味の台詞とも合っ
ているように思います。映画ってそういう役割もありますね?
「皆が知っているところをできるだけ出そうと思いました。
ジェイズバーを撮影したのは三ノ宮のHALF TIMEという店です
ね。ジェイズバーに譲ってもらったことになっているピンボ
ール台は、当時、村上さんがやってたピーター・キャットに
置いてあったもので、あのシーンだけが東京ですね。芦屋市
民プールはわかりました?」
(再び笑いかけて頂き、はい、と私。恐縮です。ありがとう
ございました。)
大森監督の挨拶と質疑応答は以上です。
こちらに書いたように、最後の結びのことばとして、明日何
が起こっても悔いのないように心ゆくまでこの映画を楽しん
でいってください、とのことでした。
舞台と違って映像はいつ見ても同じと思いがちですが、そう
ではないですね。観るたびに違うものを見て、違う感想を持
つ。映画も同じく一期一会。舞台挨拶も1回限り。
監督の言葉を反芻しつつ、いまこうして映画が観られること
にあらためて感謝した1日でした。
あらゆるものは通りすぎる。
誰にもそれを捉えることはできない。
(『風の歌を聴け』フライヤーより↑)
ちなみに、双児の彼女が住んでいる部屋は「ギャラリー北野
サーカス」(ドレッサージ編集部)で、働いているのは元町
の「ヤマハ」、僕が双児の彼女と食事するのはフラワーロー
ドの「キングズアームス」、僕が行ったテニスコートは「芦
屋国際ローンテニスクラブ」、鼠が住んでいるのは夙川の
「クリスボン」、車の事故を仕込むのは「関西学院大学正門
前」、彼女と待ち合わせをするのは「六甲教会」、僕と鼠と
行った動物園は「王子動物園」。その他、県立神戸高校、芦屋
の猿の檻のある公園、舞子の移情閣、そごうの隣りのビルの
高速バス降り場など。
HALH TIMEはダーツのある店で有名で、床がピーナッツの殻
だらけなのは本当はジ・アティックだったと思う。
そして、シースルーエレベーターのマンションには、震災で
壊れる3カ月前まで住んでいた私。それだけにいっそう感慨
深い映画ともいえます。
「風の歌を聴け」の小説は僕の生活を描いていながらもどこ
か現実感のない作品だと思います。TV放送されたものをDVD
で観た時もそんな感じでした。
でも、スクリーンを通してみると当時の匂いとか、時代の空
気感や聴こえていない街の音まで伝わってくるようでした。
そこに描かれていないものまで見せてくれる。それはDVDで
観るのとは全く別の感覚です。
行間のある作品だから、よけいにそう感じたのかも。
映画はスクリーンで観るものだなと今さらながら思います。
『ノルウェイの森』を観た後に再びこの映画を観て、私が
勝手に推測するのですが、トラン・アン・ユン監督はおそら
く一度はこの映画を見られたのではないかと思います。
2つの作品は作者自身の作風も全然違っているように、2つ
の映画はつくりも全く違うもの。比較なんてできませんが、
一瞬だけ登場するあのシーンだけは・・・オマージュ?
あるいは、全く観ていないことの証明かもしれません(笑)。
●このブログ内の関連記事
大森一樹監督の舞台挨拶@元町映画館(前編)
1月の映画館(1)元町映画館 編
ちなみに、元町映画館3月12日の上映スケジュールは
・「世界のどこにでもある、場所」2回
・「風の歌を聴け」
・ 舞台挨拶
・「世界のどこにでもある、場所」
私は挨拶の前に「風の歌を聴け」だけを鑑賞しました。
2つの作品について思い出しつつまとめてみます。
劇場のスタッフの方でしょうか? 女性が聞き手となって
それに大森監督が答える形でした。
●「世界のどこにでもある、場所」
>>『風の歌を聴け』にも出てきますが、新作も動物園ですね?
「そういえばそうですね。『大失恋。』は六甲アイランドの
遊園地AOIA(震災で壊滅)でしたし、好きなんですかね。
これを思いついたのは宝塚ファミリーランドがなくなると聞
いたからです。遊園地で撮っておきたいなあと思ったんです。
そこに心を病んだ人たちが集まるというような設定で。とこ
ろが全然間に合いませんでした。
遊園地がつぶれると聞いては企画を持っていってたんですが、
つぶれる遊園地がなくなってしまい、あきらめていたところ、
「にほんのうた」のほうから話があって。
それに合うようなできるだけ郷愁を誘うようなところを探し
たところ、見つかったのが桐生が丘動物園・遊園地でした。
でも撮影に使えるのが2週間しかなくて。(←ここ失念!
10日間とか1週間とおっしゃってたかも?)
有名俳優も出演していないし、超低予算の映画です。
『ノルウェイの森』の製作費で25本撮れます!(会場ウケる♪)
>> 監督は大阪芸術大学で教えていらして、それがきっかけ
になったと映画雑誌で読んだのですが?
学生たちに刺激されたんですね。彼らが作ってるのを見てい
て、僕らが昔やってたのと同じで、いいなと。それで僕もで
きるんじゃないかと自主製作のノリで作りました。『風の歌
を聴け』はトンがった映画ですけど、これは観る人のことも
ちゃんと考えて作ったのでわかりやすいと思います(笑)。
●『風の歌を聴け』
「新作よりも30年前の映画のほうがお客さん、よう入ってま
すね~。しかし、わかりにくい映画ですね(笑)。村上さん
の原作もわかりにくいんですけどね。
ただ、俳優が皆さん、いいですね。小林薫さん、坂田明さん、
巻上公一さん、真行寺君枝さん、室井滋さん・・・。
小林薫さんは当時29歳で僕と同じ。おっさんかと思うてたけ
どそんなことない。村上さんの小説に合う。いいなあとあら
ためて思いましたね。」
※以下、入場客からの質問に答えて。
(告白します! 実は・・・質問したのは私です。「風の歌を
聴け」の録画DVDを持っており、オバサンのド厚かましさで
長年の超個人的な疑問をぶつけさせて頂きました。)
>> シースルーエレベーターのマンションはどの部屋で撮影し
たのですか?(監督は戸惑いながらも笑って答えてください
ました。本当にありがとうございました!!)
「西と東があって、東館のほうですね」
>> 当時の神戸近辺の典型的な風景をロケ場所にしたのは意識
的にですか?結果的に震災でそれらがほとんどなくなった今、
すべてのものはいつかは消える、という意味の台詞とも合っ
ているように思います。映画ってそういう役割もありますね?
「皆が知っているところをできるだけ出そうと思いました。
ジェイズバーを撮影したのは三ノ宮のHALF TIMEという店です
ね。ジェイズバーに譲ってもらったことになっているピンボ
ール台は、当時、村上さんがやってたピーター・キャットに
置いてあったもので、あのシーンだけが東京ですね。芦屋市
民プールはわかりました?」
(再び笑いかけて頂き、はい、と私。恐縮です。ありがとう
ございました。)
大森監督の挨拶と質疑応答は以上です。
こちらに書いたように、最後の結びのことばとして、明日何
が起こっても悔いのないように心ゆくまでこの映画を楽しん
でいってください、とのことでした。
舞台と違って映像はいつ見ても同じと思いがちですが、そう
ではないですね。観るたびに違うものを見て、違う感想を持
つ。映画も同じく一期一会。舞台挨拶も1回限り。
監督の言葉を反芻しつつ、いまこうして映画が観られること
にあらためて感謝した1日でした。
あらゆるものは通りすぎる。
誰にもそれを捉えることはできない。
(『風の歌を聴け』フライヤーより↑)
ちなみに、双児の彼女が住んでいる部屋は「ギャラリー北野
サーカス」(ドレッサージ編集部)で、働いているのは元町
の「ヤマハ」、僕が双児の彼女と食事するのはフラワーロー
ドの「キングズアームス」、僕が行ったテニスコートは「芦
屋国際ローンテニスクラブ」、鼠が住んでいるのは夙川の
「クリスボン」、車の事故を仕込むのは「関西学院大学正門
前」、彼女と待ち合わせをするのは「六甲教会」、僕と鼠と
行った動物園は「王子動物園」。その他、県立神戸高校、芦屋
の猿の檻のある公園、舞子の移情閣、そごうの隣りのビルの
高速バス降り場など。
HALH TIMEはダーツのある店で有名で、床がピーナッツの殻
だらけなのは本当はジ・アティックだったと思う。
そして、シースルーエレベーターのマンションには、震災で
壊れる3カ月前まで住んでいた私。それだけにいっそう感慨
深い映画ともいえます。
「風の歌を聴け」の小説は僕の生活を描いていながらもどこ
か現実感のない作品だと思います。TV放送されたものをDVD
で観た時もそんな感じでした。
でも、スクリーンを通してみると当時の匂いとか、時代の空
気感や聴こえていない街の音まで伝わってくるようでした。
そこに描かれていないものまで見せてくれる。それはDVDで
観るのとは全く別の感覚です。
行間のある作品だから、よけいにそう感じたのかも。
映画はスクリーンで観るものだなと今さらながら思います。
『ノルウェイの森』を観た後に再びこの映画を観て、私が
勝手に推測するのですが、トラン・アン・ユン監督はおそら
く一度はこの映画を見られたのではないかと思います。
2つの作品は作者自身の作風も全然違っているように、2つ
の映画はつくりも全く違うもの。比較なんてできませんが、
一瞬だけ登場するあのシーンだけは・・・オマージュ?
あるいは、全く観ていないことの証明かもしれません(笑)。
●このブログ内の関連記事
大森一樹監督の舞台挨拶@元町映画館(前編)
1月の映画館(1)元町映画館 編
3月12日のこの上映会は、以前ムンパリさんのブログで読ませていただいて行きたいな、と思っていたのですが、他の予定があって断念。
こうして様子を読ませていただき、ありがとうございました。
以前にもお話したことありますが、青春時代を西宮・芦屋・神戸界隈で過ごした私にとっても「風の歌を聴け」はとても思い入れのある作品。
偶然本屋さんで手にとった初版が気に入り、以来、村上春樹さんに傾倒するきっかけとなった作品です。
芦屋ルナホールで行われた映画の試写会も観に行ったなぁ。その時も大森監督が来場されて、市民プールとか芦屋浜とか元町とか、ロケ地のお話をされていました。
質問もしたのね(笑)。
あのマンションにお住まいだったムンパリさんにとっては長年の疑問が解決してスッキリだったでしょう。
私もこの映画のDVDを持っていて、飲みたい気分の深夜に、たまに観ては泣いたりします。
16年前の震災を境にあの映画に出てくる神戸の風景は一変してしまいましたが、私たちの心にはいつまでも残っているし、こうして映像で観られることもありがたいと思います。
私もまた観ようっと。
また違う思いで観られるかな。
でも、追いかけてフォローできたのは初期作品だけですね。
その後はとんでるものも多いし・・・。
なので、これは原作も映画も思い入れのある作品です。
> 芦屋ルナホールで行われた映画の試写会も観に行ったなぁ。
> その時も大森監督が来場されて、市民プールとか芦屋浜とか
> 元町とか、ロケ地のお話をされていました。
へえ~、行ったんや~!!
当時の大森監督はすごくインパトがありましたよね。
私は公開直後じゃなく、ビデオになってすぐに見たんだと思う。
その後TV放送やらDVDやらで何回か見てるんだけど、今回あらためて
スクリーンで見るとそれこそ「風」が通ってる感じ。
> 飲みたい気分の深夜に、たまに観ては泣いたりします。
あの中の風景はほとんどが実際に行って、見ているものばかり。
手に取るようにわかるもんね~。
> また違う思いで観られるかな。
うん、映画も見る年齢やその時の気分によって変わるものだと
思います。でもやっぱり「キュウン」抜きでは見れないけどね。
小指・・・いいよね!
それを見つけた時の小林薫さんの表情がまた~♪
「元町映画館」の上映、イベントにお越しくださり、またブログにお取りあげいただき、ありがとうございます。
「元町映画館」では自作自演超低予算映画「街に・映画館を・造る」-元町映画館ができるまで、の4月上映を準備中です。
その宣伝・紹介のために上記のブログをつくりました。その中で「元町映画館」の「大森監督」のチラシを撮っていただいたこのページのお写真、キレイに(文字まで鮮明に)撮っていただいたのを借用させていただきましたが、差し支えなかったでしょうか、事後になってすみませんが、ご確認のうえご許可いただきますようお願いします。
またのお越しをお待ちしております。
nostalghia@w2.dion.ne.jp 堀
私一人が質問しまして・・・恐縮です。
実は昨夜ツイッターでその映画のことを知り、ブログを
拝見しながら、よう似た写真を撮ってはるなあ~とは
思ってました(笑)。誰が撮ってもこうなるんやな~と。
夜に撮ったのでヘンなとこが光ってますが、こんなんで
よろしければどうぞお使いくださいませ。
ゴダール特集のことをブログに書くつもりでしたので、
その映画のこともいっしょに書かせて頂きます。
映画ネタの少ないブログなので大したお役にも立たないで
しょうけど、一人でも多くの方のお目にとまればと思います。
>誰が撮ってもこうなるんやな~と。
・・いうことは、ありません。なかなか、あの、「元町映画館」のロゴや「大森一樹監督の舞台挨拶・・」なんかの文字が小さな画像で(私が撮ったのでは)鮮明にってならないものです、で、拝借しました。
「ゴダール」、多分私は「木曜」ごとに映画館に居ります。またお近くに座れるとうれしいです。
いるのを読ませていただきました。
ありがとうございます。
私は週末しか動けないのですが・・・。
どちらもいっぱい入るといいですね!