伊藤若冲の絵を久しぶりに見に、京都国立近代美術館まで出かけてきました。
「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」というわけで、作家としては
伊藤若冲のほか、丸山応挙、長沢芦雪、森狙仙ら上方の画家、酒井抱一、鈴
木其一ら江戸琳派の画家など多数。
全作品109点のうち若冲の作品十数点は1カ所に集めて展示されていました。
伊藤若冲は独学の画人。初めは狩野派を学び、次いで中国画を模写すること
を経て、実物写生にめざめ自己の画風を確立したのだそうです。
実家が京都・錦小路の青物問屋さんだったというのも親しみがわきます。
私が若冲の絵を初めて見たのは14年前、相国寺の承天閣美術館で。その時は
ただ、すごく好きな絵だなあ~と思っていただけなのですが。
2000年。京都国立博物館で開催された「特別展覧会 没後200年 若冲」でそ
の全貌を初めて見て、もうめちゃめちゃ感激!
展示のボリュームといい、内容といい、あれほどの充実ぶりは今となっては
奇跡に近い? とにかくありとあらゆる鶏の絵が見られたし、宮内庁三の丸
尚蔵館の所蔵品も見られたり、本当にラッキーでした。
その2000年の展覧会で、所蔵者として国内外の名だたる美術館と並び目を引
いたのが、<エツコ・ジョウ プライス コレクション>という名前。
いま開催されているコレクションのオーナーだったのですね。
今回のコレクション中、日本で一番知られている絵といえば宇多田ヒカルさん
の「SAKURAドロップス」のPVにも使われた若冲の「鳥獣花木図屏風」っ
てことになるのかもしれません。
実はこの絵を実際に見るのは今回で3度目。2000年京都が1度目で、2度目は
2004年1月に六本木の森美術館で見た「ハピネス展」。そして、今回。
「ハピネス展」の時はたしかメインビジュアルとしてポスター等にも使用され
たほどモテモテのこの絵。それほど今っぽい感覚の絵だということなのでしょう。
まるでタイルに描かれたような画法は、とても200年前の人間の発想とは思えま
せん。あ、もちろん、それだけじゃなく「紫陽花双鶏図」「群鶴図」「鶴図屏風」
「旭日雄鶏図」「雪中鴛鴦図」など、他にもいろいろあるんですけれどね。
(私なんて「鶴図屏風」の鶴と「花鳥人物図」の人物が同じような線で描かれて
いるのがなぜか嬉しかったり。笑。)
展覧会の見せ方として新鮮だったのが、酒井抱一の「十二か月花鳥図」を移り
変わる自然光で鑑賞するという展示。日本の床の間と障子を再現した室内で、
自然な状態で絵を見ることができました。ただ、私がその部屋に入ったのは午後
4時近頃。何度も行けないことを考えると、鑑賞するにはもう少し早めに行っ
たほうがよかったと思いました。
もう一つ、これはこの美術館のシステムなのかもしれませんが、今回の展示と
常設展とがクロスしているため、チケットを3カ所で見せなければならないの
はちょっとめんどうかなとも思いました。
なお、ジョー・プライスさんは美術の世界とは全く関係のない人で、若い頃か
ら日本の江戸時代の作家の絵に興味を持ち、収集を始めたそうです。美術史家
とは違う視点のせいか、見てわかりやすく楽しいコレクションでした。
展覧会は11日5日(日)まで。
入場料:一般 1,300円
※来年、九州国立博物館、愛知県美術館にも巡回するようです。
<関係リンク>
京都国立近代美術館(岡崎公園内)はこちら。
展覧会のオフィシャルサイトはこちら。※現在は見られません。
ジョー・プライス氏のコメントが読めるコレクションブログはこちら。※現在は
見られません。
知り合いの娘が、中学の頃から「屏風や襖の絵師になりたい!」と強烈な希望を持っていて、がんばってがんばって、この春、県に2校しかない美術科のある高校に合格し、今夢中で勉強しているんです。とってもかわいいのですが、不思議オーラが(笑)もしかして、ムンパリさんもそういうお嬢さんでした?
私は美術も門外漢ですよ~。絵画や歴史の知識など全くなくて、ただ単純にいいな、好きだな、と思えるものを楽しんでいるだけです。絵もお芝居も映画もそうですが、他の人から見ればバラバラかもしれないんですが(笑)、私にとってはどれも等距離にあって同じように価値のあるものなんです。ヘンですかね~?
なので、この展覧会のジョー・プライスさんの考え方・・・・・・美術史的視点とか芸術的価値にこだわらず、自分の好きなものだけをコレクションしているという考え方は素直に納得できました。
あ、もう一つ。絵巻に関しては、やっぱり家人の影響をうけてます♪