10.3.31(水)19:00
NHK大阪ホール
「オーケストラの日 2010」
指揮/藤岡幸夫
指揮/大山平一郎
指揮/
茂木大輔
指揮/広上淳一
指揮/小泉和裕
指揮/飯守泰次郎
司会/上田早苗(NHK大阪放送局アナウンサー)
曲目
コープランド/市民のためのファンファーレ 藤岡/京阪神地区合同オーケストラ
ストラヴィンスキー/協奏的舞曲 大山/京都フィルハーモニー室内合奏団
バッハ/ブランデンブルク協奏曲第1番[初稿版] 茂木/兵庫芸術文化センター管弦楽団
プッチーニ/交響的奇想曲 広上/京都市交響楽団
マスカーニ/歌劇「友人フリッツ」間奏曲 小泉/大阪センチュリー交響楽団
ヴェルディ/歌劇「運命の力」序曲 小泉/大阪センチュリー交響楽団
ブラームス/交響曲第4番ホ短調op.98より第3楽章~第4楽章 飯守/関西フィルハーモニー管弦楽団
ワーグナー/楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より前奏曲 藤岡/京阪神合同オーケストラ
エルガー/行進曲「威風堂々」第1番ニ長調op.38-1(アンコール) 藤岡/京阪神地区合同オーケストラ
ようやく関西力が結集されるイベントが出来た。
大阪国際フェスは国際とは名ばかりになってしまったままフェスティバルホール再建まで休止だし、大阪クラシックはいい企画だがつまりは大フィルクラシックじゃないかという悲しさがどこかにあるし、中ノ島音楽祭は予算少なく企画が厳しい。。
とはいえ今回のこれも大フィルとシンフォニカーは支援先(大阪市・堺市)に関連する企画をすでにスケジュールに組んでいて参加できなかった。大フィルはラストのマイスタージンガーの各セクションにコンマス長原幸太を筆頭にそれぞれ一名ずつ(とスタッフ1名)を送り込んで何とか面目を保っていたが、シンフォニカーは出せる人的余裕が無いのでどうにも出来なかったようだ。
BKの広々とした1階アトリウムでは各オケが自前のコーナーを用意してパンフやチラシを配り、センチュリー有志の演奏に関フィルメンバーによる弦楽器体験が行われて盛況だった。
完売した会場だったがF5列までが舞台拡張のために潰され、残りのF列は下手ブロック以外は空席。関係者と参加者用の座席にしたらしい。
コープランド。
緊張からか音が硬かったり揺れたりしていたが、曲が良いし、幸夫の動じない熱い指揮ぶりで客を初っ端から弾き付けた。オケの日だっつーのにいきなり金管と打楽器だけでやられたら、そら驚くやろ。
やおら上田早苗登場。
ルソンの壷を毎週楽しみにしてるアナヲタおぢさんのテンションが俄然上がる。やはり女は40歳からだよな、と
この後びわ湖で17歳の涙に感動する人間とは思えない言葉を呟く。
次の曲を振る大山さんを呼び込む。大山さんは京都出身、関西ではシンフォニカーの前首席指揮者だったので御馴染み。京都フィルハーモニー室内合奏団の真摯な姿勢を褒める。ストラヴィンスキーの作品は架空のバレエのための作品なのでそれを思い描いて聴いて下さいとのこと。
ストラヴィンスキー。あんまり馴染みのない作品だけど、鳴り始めて「ああこれか」と思い出せた。一時期デュトワ盤で良く聴いた曲。新古典主義時代の作品で乾いた音色と愉快なリズムで結構楽しい。この指揮者と団のマジメさで曲は丁寧に再現されてたが、緊張感を途切れさせずに聴き通させるにはもう一つ遊び心というかハメを外したところが無いと退屈しちゃうね。
続いて茂木さん。N響の首席オーボエとして、また最近では指揮者としてよく知られている。オケを題材にした書き物も上手で何冊も出しているマルチな人。この後に登場する広上さんの下、東京音大に入って指揮法を勉強中なんだそうだ。その広上さんがリハから客席に陣取って聴いて下さっていたので緊張する、師匠の前で演奏するのは大変だ。PACは海外の若手も多く在籍していて不慣れな英語でリハするのは楽しかった。ソリストを中央に座らせてそれ以外は経って演奏するが、それはバッハ時代の演奏形態を再現した配置にだから。バッハ時代の雰囲気はどうだったか想像しながら聴いてもらえると嬉しい。
バッハ。
コンマスは関西オケにも時々客演している広島交響楽団のコンマス田野倉さん。
とりあえずこのPACのホルン2人を大フィルにお願いできますか。
茂木さんの指揮・・・そうねえ、N響のためにも指揮に専(ry
ここまで3曲、ステージマネージャー大忙しで40分ほど経過している。
「休憩は無い」みたいな張り紙におぢさんは気が付かなかったんだがあったのかな。
続いて広上さん。(茂木さんが頑張っていたので自分は)引退できますね(笑)学生と一緒に椅子並べたりしてくれているんです、オーボイストとしてはトップの方ではないですか。その方が指揮を一から学ぼうと。素晴らしいことですよね。今回の企画も関西の様々な団体を聴いて頂ける。それぞれの味を楽しんでいただくわけで良いことです。京響は良い演奏をするという原点に返って、手前味噌ですが定期が7回完売しています。プッチーニの作品は若書きながらも天才性がすでに発揮されているもの、ボエームの旋律なども出てくるしお楽しみいただけると思う。
プッチーニ。
定期でやり東京公演でやりで今日は3回目。オケも十分咀嚼出来てるぶん、テンポの伸縮とダイナミクスの変化が加わって先の定期に比べてかなり劇的な仕上がりになってた。逆にこの場で最後ということもあって張り切りすぎたのか、はたまたホールのせいか金管がやや汚く響いたのが少し残念。本日登場のオケの中では合同オケを除けば最大のオケ。お客様もノッてきた。3月末の今日が本当に最後の演奏になる京響卒団者の参加者が沢山握手を求められていた。去年のセンチュリーさんのオケの日もそうだけど、こういう瞬間が分かるってのはマニア的には楽しい。
続いて小泉さん。センチュリー20周年の話題を振られる。私も20年前からセンチュリー響を知っている、振っているわけですが、非常に真摯な真面目な情熱のあるオーケストラです。ご存知かとは思いますが昨今は大阪府の財政が厳しいことなどで新しい体制を我々センチュリーオーケストラも作らねばならないわけですが、今後も皆様に良い音楽を提供していける体制作りを考えていますし、動いていますのでご心配なさらず。
・・・信じるよ和裕。
マスカーニ。
カラヤンの大名盤、
オペラ間奏曲集で聴いたことがある人も多いでしょう。小泉さんの十八番でもあるわけ。牧歌的な筋書きらしいのだがこの間奏曲はちょっと雰囲気が違う。威圧的な開始、むせるような弦楽器の歌から輝かしい終結まで一音も手を抜かせず客にも気を抜かせない小泉さんらしい力技。
ヴェルディ。
切迫感に満ちた冒頭の金管に続く木管が素晴らしくて。おぢさんは一緒に歌おうかと思ったぐらい。完成してるねえ。
この際NHK大阪センチュリー交響楽団になりませんかね。だめですかね。
さすがに1時間半休憩無しだと客が慌てて席を立つ。
続いて飯守先生。おぢさんの目からも明らかに興奮気味な先生。西濱さんが副委員長として働くこの大きな企画、しかも取り上げる曲が目下録音中のブラームス交響曲全集から第4番の3~4楽章。この4番はこれの5日ほど前からリハと録音してるところが関フィルの抜け目なさだよな。出し物の練習にもなって一石二鳥だもの。
素晴らしいですね、関西のオーケストラがこのように集まって演奏をする、それを皆様に聴いて頂く。しかも取り上げる曲も各国の特色溢れる・・・コープランド。アメリカ。ストラヴィンスキー。ロシア。ドイツ。マスカーニ・ヴェルディ。オペラ、イタリアですね。バッハ、我々これからやりますブラームス、最後のワーグナーはドイツ。旅のようですね。あと・・・あと・・・これは言ってはいけないかな、皆様に拍手を沢山いただけたらおまけもありますね。
ベテランアナウンサーをもってしても飯守先生は御することが出来なかった。小さな声で「エルガー」って言っちゃったもの。
ブラームス。
こうして各楽団を並べて聴くと、関フィルさん楽員一丸となって歌うときってのは異様な魅力ですよね。憑依系。
ブラームスチクルスはすでにやったわけですが、再演してもいいんじゃないかな。
2時間超えた。
幸夫登場。
すごい。素晴らしいですよ、関西のオケがこうして一つの演奏会をやるってのは凄いですよ。東京はそうではないですけど、関西は(一つのオケでポストにつくと)他の関西のオケをなるべく振らないようになるわけ。個性が生まれてくるんですよね。関西は人口1000万でしょ?オケが多いってことはないですよ。そのオケ同士でお客様を取り合うんじゃなくて新しいお客様をどんどん開拓していかないといけないし、そういう気持ちで頑張ってます。
でもね、普段会わない指揮者の方に会う、飯守先生は関西フィルで同じなのでよく顔を合わせますけど、広上さんは僕がヨーロッパで勉強していた頃に何度も飲みに連れて行って頂いて今でも仲良くしてくださる兄貴分みたいな方、茂木さんは初めてお会いしたけど素敵な方ですよ、話も面白いし。小泉さんは僕が日本フィルの指揮研究員だったときに定期の指揮にいらして、(その時のプログラムは)春の祭典だったんですけど小泉さんに振り方を沢山細かく教えて頂いて、今でも僕は春の祭典振るときには小泉さんのアドバイスを大切にしてます。今日久々にご挨拶しました。大山さんは元々ロスフィルのヴィオラのトップって凄い音楽家で、あの、今日はすごいですよ、大山さんはこの後のマイスタージンガーにヴィオラで・・・(と、ヴィオラを見渡す)弾いてくれるし。やりにくいよ、先に指揮した人がオケの中にいるってのは。しかもさ、リハの時は位置が違ってたのに、僕の目の前に来るように配置が変わってるんだよ。わざとだよ。でさ、自分の出番が終わったからってセンチュリーの太田君とPACの田野倉君が一番前の客席の真ん中で並んで座ってる!これ絶対に冷やかしだよ。
さすがにトーク慣れしてる(笑)
長原岩谷泉原と並んでるヴァイオリン見た時点でおぢさん涙目。ザ・カレッジ・オペラハウス管からも加勢が来て107人の合同オケの大演奏。そらまあ大味っちゃあ大味でしょうけど、お祭りの味ですから。夜店の焼きそばに高度な味わいを求めないでしょ。雰囲気もんですよ。こういうのは。
盛大なブラボーと拍手。
アンコール前に早苗が広上さんの言葉を引用。
たまにカップラーメンが食べたくなるでしょ?カップラーメンは確かに美味しいけどあれは音楽で言えばCDです。ごちそうを、生のオーケストラを聴くことで初めてカップラーメンの良さ、CDの良さが分かるんです。生の演奏に勝るものはありません。
エルガー。
勢い良く出てきた幸夫だったが、幸太はそれに気づかず大曲で荒れたオケを整えたかったのかチューニングの合図を出しちゃった。第1ヴァイオリンの途中で立ち往生する幸夫に会場はこの日一番の爆笑。
関フィルさんだと時には幸夫の左手が震える前にヴィヴラートをかけるぐらいの以心伝心があるわけですが、合同オケだと関フィルメンバーだけが即応してるのが目に見えてその差が楽しいね。
Land of Hope and Gloryと歌うのは無理でも手拍子したかった。
幸夫が全指揮者を引っ張り出す。すでに普段着に着替えていた面々登場、パープルのカーディガンで出てきた小泉さんはその格好で客前に出るのが気乗りしなかったのか笑顔で幸夫に「藤岡君これで出ちゃったら」みたいなことを何回も。オケから大山さんも出される。広上さんはグリーンのトレーナー、しかもディズニーってど真ん中に・・・NHKのカメラも回ってたのに(笑)
6人全員でカーテンコール。
300人以上が舞台に上るという一大イベント、休憩無しで2時間30分超えという笑顔の苦行でした。
出口で西濱さんがいたので「来年・・・」と訊いたら来年も企画は上がってるっぽい返事。
皆様楽しみにお待ちください。