京都市交響楽団第634回定期演奏会
2019年5月18日(土)14:30 京都コンサートホール大ホール
指揮:カーチュン・ウォン
ヴァイオリン:ラグンヒル・ヘムシング
コンサートマスター:泉原隆志(京都市交響楽団コンサートマスター)
曲目:
吉松隆/鳥は静かに... op.72
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47
フランク/交響曲ニ短調
爽やかな5月!と言いたいが、気温は早くも6月下旬に近いとか。電車や商業施設ではエアコンが早くも使用されていたり。
会場に入ると「1曲めと2曲めは続けて演奏するよ」というような掲示が多数あり。どういう意図なんかな。
気がつきゃ大人気指揮者になりつつあるカーチュン・ウォン。初めて彼の指揮に接したのはデュメイの代役で現れた関西フィルいずみホールシリーズだったが、あれが日本デビューだったらしい。
今シーズンも京響、名フィル、神奈フィル、日フィル、PACと渡り歩く。
プレトークでは身振り手振りに片言の日本語も交えてとても熱っぽく語る。
鳥たちが亡くなった仲間の鳥を囲むように佇むヴィジョンから作曲された吉松作品についても「ヴィオラは、アノ、シンジャッタの鳥・・・」
三年後くらいには俺達よりも日本語がうまくなってそうだ。
ニ短調で固めたプログラムで、吉松とシベリウスはどちらも鳥に影響を受けており、音楽的な連関としても素晴らしいので続けて演奏するとのこと。
オッコ・カムだったかな、やはりシベリウスの"鶴のいる情景"とヴァイオリン協奏曲を続けた指揮者もいたし、そういうことを誘うなにかがあのヴァイオリン協奏曲にはあるのかしら。
吉松。弦楽のための作品。"朱鷺に…"よりも編成がシンプルだからか、吉松作品の伝道師、藤岡幸夫以外にもこの曲をレパートリーにしている中堅・若手は多い。
でも、日本人指揮者以外で取り上げるのは珍しいんじゃないか。幻想的で淡い作品だがカーチュンはくっきりと弾かせて表現力が強い。
対向配置、しかもコントラバスをオケ最後方に横並びで置いてるが故の響きなのかどうか。
曲が終わりかけてもソリストが出てこない。曲がシベリウスに入ってもまだ出てこない。事故の予感がよぎったところで舞台袖から弾きながら歩きながらご登場。
L側の客は全員、身を乗り出してソリストを、音の出処を探してたw
シベリウス。ヴァイオリン協奏曲。言わずとしれた名曲。
ラグンヒル・ヘムシングは1988年生まれのノルウェーの女流。妹のエルビョルグもヴァイオリニスト。
独特の音色・音程・ノリの、洗練されてない土俗的な味のある鄙びたソリストで、技巧曲としての協奏曲ではなく、交響詩の中に独奏パートが存在しているような印象を受ける。
アンコールは装飾の多いヴァイオリンに持ち替えて?長々としゃべって。ここらへん見えてない、単眼鏡持ってくればよかった。
ノルウェーの民謡なぞを足踏みしながら弾いてくれた。
ハルダンゲル・フィドルという民族楽器だそうだ。
ネーメ・ヤルヴィがDGに録音したグリーグのペール・ギュント完全全曲版でしか聴いたことのなかった音に感激した。
まわりの反応が薄かったのが少し寂しい。
伴奏は熱すぎる。バーンスタインばりの熱さだが、第3交響曲あたりまでの作品はこういうパワフルなアプローチのほうが映えることもあるので、まあ良し。
関西フィルに来たときも協奏曲はシベリウスだったけど、あのときはここまでの熱い伴奏ではなかったなあ。
フランク。京響では07年10月の第505定期以来(下野)、十二年ぶり。十二年前とか何やってたんだろ。思い返すのも恐ろしい。
プレトークではお決まりの「オルガン的でブルックナーのような」ということだったが、ブルックナーの交響曲は響きはワーグナー、楽章の性格はベートーヴェンとシューベルトに近く、
フランクが晩年も晩年の66歳になって作り上げたこれは、バッハに近いとみるべきだろう。
実際の演奏はブルックナーでもバッハでもなく、マーラーやチャイコフスキーのような主観と主情の大演奏だった。
ステンドグラスのあるゴシック修道院的な、静的で荘厳な演奏が好きなのでいささか肩透かしを食らった感はあったが、比較的軽めな音響の京響から重厚な弦、威圧的な金管の威力を引き出してみせる力量はあっぱれだ。
世界観光都市ランキング上位常連、首位に何度も立つ京都。
国際観光文化都市で世界遺産を抱く、千年の都、京都。
やはりね、一人ぐらいアジアの指揮者を昵懇の仲としてキープしておきたいわけですよ。
少子高齢化の日本で頑張ったってジリ貧ですから、日本一よりもアジア一を狙おうよ。
ということで、カーチュン・ウォンのような才能を押さえておくのは京響の世界展望には有用だと感じた。
まあ、決断するころには他に攫われてるんだろうと思うけど。
バーンスタインらしい、劇的で鮮明で若々しいフランク。後年の再録音は少し重すぎる。
2019年5月18日(土)14:30 京都コンサートホール大ホール
指揮:カーチュン・ウォン
ヴァイオリン:ラグンヒル・ヘムシング
コンサートマスター:泉原隆志(京都市交響楽団コンサートマスター)
曲目:
吉松隆/鳥は静かに... op.72
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47
フランク/交響曲ニ短調
爽やかな5月!と言いたいが、気温は早くも6月下旬に近いとか。電車や商業施設ではエアコンが早くも使用されていたり。
会場に入ると「1曲めと2曲めは続けて演奏するよ」というような掲示が多数あり。どういう意図なんかな。
気がつきゃ大人気指揮者になりつつあるカーチュン・ウォン。初めて彼の指揮に接したのはデュメイの代役で現れた関西フィルいずみホールシリーズだったが、あれが日本デビューだったらしい。
今シーズンも京響、名フィル、神奈フィル、日フィル、PACと渡り歩く。
プレトークでは身振り手振りに片言の日本語も交えてとても熱っぽく語る。
鳥たちが亡くなった仲間の鳥を囲むように佇むヴィジョンから作曲された吉松作品についても「ヴィオラは、アノ、シンジャッタの鳥・・・」
三年後くらいには俺達よりも日本語がうまくなってそうだ。
ニ短調で固めたプログラムで、吉松とシベリウスはどちらも鳥に影響を受けており、音楽的な連関としても素晴らしいので続けて演奏するとのこと。
オッコ・カムだったかな、やはりシベリウスの"鶴のいる情景"とヴァイオリン協奏曲を続けた指揮者もいたし、そういうことを誘うなにかがあのヴァイオリン協奏曲にはあるのかしら。
吉松。弦楽のための作品。"朱鷺に…"よりも編成がシンプルだからか、吉松作品の伝道師、藤岡幸夫以外にもこの曲をレパートリーにしている中堅・若手は多い。
でも、日本人指揮者以外で取り上げるのは珍しいんじゃないか。幻想的で淡い作品だがカーチュンはくっきりと弾かせて表現力が強い。
対向配置、しかもコントラバスをオケ最後方に横並びで置いてるが故の響きなのかどうか。
曲が終わりかけてもソリストが出てこない。曲がシベリウスに入ってもまだ出てこない。事故の予感がよぎったところで舞台袖から弾きながら歩きながらご登場。
L側の客は全員、身を乗り出してソリストを、音の出処を探してたw
シベリウス。ヴァイオリン協奏曲。言わずとしれた名曲。
ラグンヒル・ヘムシングは1988年生まれのノルウェーの女流。妹のエルビョルグもヴァイオリニスト。
独特の音色・音程・ノリの、洗練されてない土俗的な味のある鄙びたソリストで、技巧曲としての協奏曲ではなく、交響詩の中に独奏パートが存在しているような印象を受ける。
アンコールは装飾の多いヴァイオリンに持ち替えて?長々としゃべって。ここらへん見えてない、単眼鏡持ってくればよかった。
ノルウェーの民謡なぞを足踏みしながら弾いてくれた。
ハルダンゲル・フィドルという民族楽器だそうだ。
ネーメ・ヤルヴィがDGに録音したグリーグのペール・ギュント完全全曲版でしか聴いたことのなかった音に感激した。
まわりの反応が薄かったのが少し寂しい。
伴奏は熱すぎる。バーンスタインばりの熱さだが、第3交響曲あたりまでの作品はこういうパワフルなアプローチのほうが映えることもあるので、まあ良し。
関西フィルに来たときも協奏曲はシベリウスだったけど、あのときはここまでの熱い伴奏ではなかったなあ。
フランク。京響では07年10月の第505定期以来(下野)、十二年ぶり。十二年前とか何やってたんだろ。思い返すのも恐ろしい。
プレトークではお決まりの「オルガン的でブルックナーのような」ということだったが、ブルックナーの交響曲は響きはワーグナー、楽章の性格はベートーヴェンとシューベルトに近く、
フランクが晩年も晩年の66歳になって作り上げたこれは、バッハに近いとみるべきだろう。
実際の演奏はブルックナーでもバッハでもなく、マーラーやチャイコフスキーのような主観と主情の大演奏だった。
ステンドグラスのあるゴシック修道院的な、静的で荘厳な演奏が好きなのでいささか肩透かしを食らった感はあったが、比較的軽めな音響の京響から重厚な弦、威圧的な金管の威力を引き出してみせる力量はあっぱれだ。
世界観光都市ランキング上位常連、首位に何度も立つ京都。
国際観光文化都市で世界遺産を抱く、千年の都、京都。
やはりね、一人ぐらいアジアの指揮者を昵懇の仲としてキープしておきたいわけですよ。
少子高齢化の日本で頑張ったってジリ貧ですから、日本一よりもアジア一を狙おうよ。
ということで、カーチュン・ウォンのような才能を押さえておくのは京響の世界展望には有用だと感じた。
まあ、決断するころには他に攫われてるんだろうと思うけど。
バーンスタインらしい、劇的で鮮明で若々しいフランク。後年の再録音は少し重すぎる。
サン=サーンス:交響曲第3番「オルガン付き」/フランク:交響曲ニ短調 | |
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