余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪交響楽団第218回定期演奏会

2018年06月01日 | 大阪交響楽団
18.6.1(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団第218回定期演奏会

指揮/カチュン・ウォン
コンサートマスター/森下幸路
曲目:
ストラヴィンスキー/バレエ組曲「プルチネルラ」
ラフマニノフ/交響曲第2番 

何年か前にデュメイの代役で来ましてね。あのときはメインプロのシューマンがフルトヴェングラーそっくりで、今どきこんな大ロマンをやろうという若手がいてよいのかと嬉しくなったもんです。ええ。
今回は日本のプロオケ行脚的な客演の一環。各地で好評な様子ですよ。

プルチネルラ。イタリアバロックの中に均整の取れた古典美を、20世紀が真に目指すべき美を見出した新古典主義音楽の名品。
ということになっておりますが、実際にストラヴィンスキーが手がけたのは原曲にオーケストレーションをちょっと施しただけらしい。なんじゃい。
全曲は歌手が3名必要なところ、組曲はそこから独唱を抜いたもの。
アンサンブルを引率しているというよりも、指揮者も棒を弾いてアンサンブルのただ中にいるような爽やかな温もり。
曲が終わった瞬間に団員同士が顔を見合わせて微笑む出来でした。

ラフマニノフ。
交響曲第2番は数年前の定期でもにも川瀬賢太郎の指揮で取り上げたばかり。
カワケンが直截なラブソングなら、ウォンは語彙も豊かなラブレターといったところ。
第3楽章まではフォルテは少し抑えられ、弱音に漂うロマンティクな雰囲気が美しい。
常に幻想的で甘い幸福感に満ちた纏め方をされていて、ちと少女趣味的過ぎやしないかとドキドキしていたが、終楽章では情熱に溢れかえった色彩と感情の洪水となって素晴らしかった。

カーテンコールで各セクションを立たせようとしたウォンの背後で、コンマスの森下さんがえらい勢いでオケを手で押さえて(まだ立たないで!もっと、彼に拍手を!)と、外山先生の定期以外ではまず見ないジェスチュアをしていて、
ウォンの評価がよく分かりましたw

また来るといいねえ。京響あたりに来てくれないかしら。

ラフマニノフ:交響曲第2番
フィルハーモニア管弦楽団
ワーナーミュージック・ジャパン

大阪交響楽団 第150回定期演奏会「社会風習と個人概念の対立」

2010年11月01日 | 大阪交響楽団

10.11.1(月)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団 第150回定期演奏会「社会風習と個人概念の対立」
指揮/キンボー・イシイ=エトウ(大阪交響楽団首席客演指揮者)
ヴァイオリン/漆原朝子
コンマス/森下幸路(大阪交響楽団首席ソロコンサートマスター)
曲目:
ヴォーン=ウイリアムズ/2つの賛美歌の調べによる前奏曲より「夕暮れ」
バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番Sz.112
ニールセン/交響曲第5番op.50

前回はあまりに客が少なく感じたんだけど、今回は持ち直しました!
曲の問題じゃなかったんだろうか。RVWにバルトークにニールセンなんてあれだぞ、前回以上の不入りでも仕方ないぞ。
それが蓋を開けたら8割以上の客入り。うれしい。純粋にうれしいよ。

RVW。
ビーチャムに「RVWはすべての作品でタリスの主題を使うべきだった」などと毒づかれるだけはある、可憐だが他愛もない作品。聴き終わる前に聴き始めの記憶がなくなってゆくくらいに退屈する。清めの塩みたいなものか。

バルトーク。
朝子さんは的確で丁寧ですっきりと弾き進める。民族臭が全く無く、力は込めても心は込めずで淡々と終わった。バルトークって現代音楽だからこんなんでええんや。ソロがこうだから伴奏も熱くなりきれず。
むしろ面白かったのは終演後のカーテンコールでソリストに手を繋ごうとされてもかたくなに拒否する指揮者。この二人の友人以上の青春の日々からの時の流れを感じる。キンボーがヴァイオリンから指揮者に転向するまでに何が!何があったのか!とワイドショー的な目線で微笑ましく見てた。

休憩挟んでニールセン。
ニールセンの6つの交響曲で最高であるのみならず、20世紀の傑作交響曲だと言う人もいる第5交響曲。
シンフォニカーさんの公式HPにある「シェフからのメッセージ」で作品への熱い想いを語っていたキンボー(というかラトル)だったが、なるほどそれだけはある素晴らしい演奏だった。
第1楽章のスネアは始めは舞台上に配されていたが、途中から1階客席の左翼に移動してオケに被るぐらいの強打でおぢさんの耳を打ちのめした。先に言っといてくれたら席変えたのに・・・。
第2楽章になるとキンボーってこんなに情熱的だったんだと感動する指揮ぶりに。熱くなりすぎてもう少し整理して聴かせてほしい部分が勢いに流れたのは残念な気もしたが、作品自体がそういう混乱と不安定を表現してもいるわけなのでキンボーの行き方もありなんでしょう。

キンボーの勝利がようやくやってきた。来季は1度しか定期登壇がないのが悔やまれる。

ニールセンの5番はコンドラシン/COAのライブ録音が感動的なのでおすすめ。

大阪交響楽団 第149回定期演奏会「児玉 宏のブルックナー」

2010年10月07日 | 大阪交響楽団

10.10.7(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団 第149回定期演奏会「児玉 宏のブルックナー」
指揮/児玉 宏(大阪交響楽団音楽監督・首席指揮者)
ピアノ/石井克典
コンマス/森下幸路(大阪交響楽団首席ソロコンサートマスター)
曲目:
モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453
シューベルト/4つの即興曲op.142 D935より第2曲変イ長調(アンコール)
ブルックナー/交響曲第2番ハ短調 1877ノーヴァク版第2稿

期待のブル2なのでおぢさんは開場時刻とともにご入場。チケット引換でえらく良い席がまわってきたので嫌な予感がする。
で。客席であーだこーだ言いながら開演を待つ(結構この時間が好き)・・・。
30周年記念でフル動員した前回の定期から10日あまりでの開催とはいえお客さんが少ない。ひょっとすると6割切ってるかも知れん。
選曲か。地味か。ブル2は。ダメか。

モーツァルト。
第109回でも好演した石井さんだったが、今回も良かった。着実で明晰、無味無臭のピアニズムながら決して無機質にならず、作品だけが聴く者に迫る。モーツァルトだし前プロだし気楽に聴こうと思っていたが気がつけば背筋を伸ばしてキチンと聴いた。第2楽章のごく一瞬煌く悲しさがちょっと泣ける。伴奏もソロに同じく。
客が少ないなら少ないなりに、感受性豊かな聴衆の率が濃くなったのか、この曲にしては客がかなり熱い反応。3回目のカーテンコールあたりで石井さんも客が儀礼で拍手してるわけでなく純粋に演奏に感じ入って返しているんだと察して喜ぶ。
ということでアンコールはシューベルト。モーツァルトとブルックナーの合間に挟まるにはバッハかシューベルトぐらいしか無いのだ。

休憩挟んでブル2。
2番はロマン派の簡素な楽器編成で編まれた初期の総決算的な内容を持ちつつも、後期にすら繋がる部分ある難物な作品。
弦楽器が美しくおおらかに歌う中を金管がかなりヒロイックに鳴り渡りながら始まる第1楽章は、丁寧だがしっかりとした推進力をもった演奏でかなり期待が持てる。この楽章はもう少し遅くすると5番や7番に似てくるよね。第2楽章は豊かな歌が重層的に紡がれるブルックナーならではの楽章、ないものねだりかもしれないけど、弦にもう一つ厚みが欲しい。ホールの助けがなければもっと細く聴こえたに違いない。第3楽章スケルツォは金管の力感にも不足なく、トリオの弦の清澄さもはっきりと聴かせて響きはすこぶる充実している。好調な演奏だったが、第4楽章はこの作品の難しさにぶつかってしまった。なにぶんにもブルックナーがこの楽章で目指した内容の真の完成は第8番第2稿まで待たなければならなかったわけで、初期作品までの手腕と8番や4番の終楽章の内容とが荒れ狂う音楽の変化にオケの表現力が追いつかなかった。指揮が対位法の描き分けに腐心した結果、安易な叙情性に堕ちてただ美しく誤魔化さずに最後までたどり着いたのは良かった。
こればかりは数をこなさないと難しい。任期を5年延長されたそうなので、8番9番をやってからもう一度このコンビの2番が聴きたいな。

大阪交響楽団 第148回定期演奏会「創立30周年記念 英雄たちの軌跡」

2010年09月28日 | 大阪交響楽団
10.9.28(火)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団 第148回定期演奏会「創立30周年記念 英雄たちの軌跡」
指揮/児玉 宏(大阪交響楽団音楽監督・首席指揮者)
ソプラノ/佐藤しのぶ
コンマス/森下幸路(大阪交響楽団首席ソロコンサートマスター)
曲目:
ビゼー/歌劇「カルメン」より前奏曲~ハバネラ~第2幕への前奏曲~ジプシーの歌
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」オリジナル・ダイジェスト版 ある晴れた日に~かわいい坊や
R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」op.40

創立30周年の頂点をなす公演。ほぼ満員の客席。
前半は日本を代表する(と言われていた)ソプラノ、佐藤しのぶを迎えて。
後半はシンフォニカーさん初挑戦の大作、英雄の生涯。

ビゼー。
児玉さんはオペラの人なんだけどもシンフォニカーでは序曲的なものは振ってもそのものズバリを振ってなかった。
なので今回はその手腕やいかに、という期待があった。
前奏曲では終結に向けてわずかに加速して幕開けを急ぐ臨場感が素晴らしく、歌手の呼吸を伺って臨機応変の対応をするその眼光にシビれる。
真紅のドレスで登場のソリストは花があったが全盛期を過ぎて声量がやや不足、ビゼー、プッチーニともに2階席後方ではおそらく細かいところは聞こえなかったろう。

プッチーニ。
オリジナルダイジェストとはなんぞや、と思ったが管弦楽の良いところを上手く繋いだ超縮刷版だった。これが意外に良い出来。誰の仕事なんだろう。
ソリストは純白のドレスとレースに身を包んで混じりけの無い至純の真心に生きる女を演じきった。
それほど大きな編成でもないのに素晴らしい効果を上げるプッチーニの管弦楽法の見事さ。オペラのマーラーと言われるだけある。俺しか言ってないか?
プログラムから引用すれば「愛に生き、己の信ずるところを貫」く二人の女を前半は描いたが、それは取りも直さず創立者敷島博子へのオマージュでもある。随分とお年を召されたがこの日も会場にいらした。この方が30年前に「オケを作ってあげたいな」と思っちゃったから今がある。

休憩挟んで英雄の生涯。
プレイヤーでひしめくステージ。当然今回舞台に乗ってる正規団員よりもエキストラのほうが多い。
団員の表情がいつになく明るく胸をはる感じでいいな。
トラの多さ、曲のデカさ、響きすぎるホールの3条件があって隅々までコントロールし尽くすのは難しい。それでも入り組んだスコアをノリで大雑把に誤魔化さず細々したフレーズまで重層的に聴かせる指揮者の妙技。
森下さんのソロは前半は気持ちが先走って珍しく音が荒れてたけども、後半の英雄の業績からのたおやかな美しさはばらの騎士の元帥夫人ばりの黄昏の輝き。
30年の(というかぶっちゃけここ15年ぐらいの)追憶を抱きしめつつ終焉。

広上/京響の英雄の生涯が聴きたくなった。
ああそうだ、花石さん支援のビラを配る日本音楽家ユニオンの人たちも30周年に相応しく増員されてた(笑)。
気持ちは分からんでもないが空気を読めないのか。しかし。

大阪交響楽団 第147回定期演奏会「風土と様式の調和」

2010年07月23日 | 大阪交響楽団
10.7.23(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団 第147回定期演奏会「風土と様式の調和」
指揮/キンボー・イシイ=エトウ(大阪交響楽団首席客演指揮者)
ヴァイオリン/小林美恵
コンマス/森下幸路(大阪交響楽団首席ソロ・コンサートマスター)
曲目:
フォーレ/パヴァーヌop,50
ブルッフ/スコットランド幻想曲op.46
シューベルト/交響曲第5番変ロ長調D.485

7割いるかなあ。ぎゅっと詰めたら6割強じゃないかな。

フォーレ。
旋律線を大事にする生来の特質がキンボーには備わっているとみえて、たおやかなメロディーをいつくしみ深く演奏させる。やや激しく転じる中間部も抑制が効いていてとにかく美しく楚々とした雰囲気。古雅とはこうしたものか。

ブルッフ。
先日のセンチュリーと合わせてブルッフが続く。
フレーズ終端がわずかにポルタメントがかかる独特のソリスト、ここぞという高音の美麗さも快感だったが、それ以外の部分が酷かった。出してる録音がことごとく小品集や室内楽というところからも推して知るべし、この箱(ザ・シンフォニーホール)でオケと渡り合うタイプではないんでしょう。それでも協奏曲ではなく一応ヴァイオリンソロありの幻想曲だというところで逃げは打ったけども、速いパッセージはとりあえずガーッと乱暴に駆け抜けていくだけで熱演と呼ぶのもはばかられるぐらいに音が荒れ放題だった。ベートーヴェンのロマンスとかモーツァルトの協奏曲あたりで良かったのに・・・。

休憩挟んでシューベルト。
何の意味があるのか分からん快速調の第1楽章。古楽の影響というほどでもなし、ただやみくもに早めなのでフレーズの受け渡しも各セクション先食い気味で上手く繋がらない。低音に締りが無いからいけないと見た。第2楽章はヴァイオリニスト上がりのキンボーらしい良い仕上げ。パヴァーヌ同様、微妙な和声の変化を抑制した音量でしゃべるように創り上げた。モーツァルト~シューベルト~ブルックナーの流れを感じさせたい第3楽章は迫力不足。こここそ粗野に暴れていいのに。終楽章は第1楽章と第3楽章の不満を受け継いで不完全燃焼。だめだ。

こんなものなのかしら。キンボーはもっと良いものを持っているはずなのに。
タイユフェールのハープのためのコンチェルティーノをこのコンビでやろうよ。上手くいくはず。

大阪交響楽団 第146回定期演奏会「忘れられた作曲家 "タニェエフ" 」

2010年06月18日 | 大阪交響楽団
10.6.18(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪交響楽団 第146回定期演奏会「忘れられた作曲家 "タニェエフ" 」
指揮/児玉 宏(大阪交響楽団音楽監督・首席指揮者)
ヴァイオリン/竹澤恭子
コンマス/森下幸路(大阪交響楽団首席ソロコンサートマスター)
曲目:
バーバー/管弦楽のためのエッセイ第1番op.12
バーバー/ヴァイオリン協奏曲op.14
タニェエフ/交響曲第4番ハ短調op.12

あいにくの天気。梅雨とはいえちと降り方が尋常ではない。
しかもNHK教育の収録ありだというのでおぢさんの手元には普段より多めの招待券がどこからともなく。
オケ名変更したばかり、せっかくの桧舞台を台無しには出来ないので頑張って人集めた。1枚余ったけど。
そんなわけで普段は客を入れぬクワイア席まで客を入れての8割5分。曲がマイナーで天候悪いことを思えばよく集まった。これ、収録無しだということで動員かけなかったら7割届かなかったんじゃないか。

エッセイ。
あまりにも地味っちうか誰も気にしてないけども、今年はバーバー生誕100年だ。そこでシンフォニカーさん(抜けきらないねえこの呼称が)はバーバーを2曲組んできた。普通どうなの?バーバーって弦楽のためのアダージョだけの一発屋的なイメージだと思うんだけど。おぢさんはバトルがプレヴィンと録音した「ノックスヴィル、1915年夏」を聴いて素晴らしいなと思ったけどそこで留まったまま。
実際は抒情的な旋律に激しい表現も併せ持った作曲家らしく、このエッセイもなかなかパンチの効いたところもある作品。うわあつまんねえな、と思わせないだけの演奏にもなってた。これ1曲だけだと聴衆の多くが明日の朝にはバーバーの名前も忘れそうだが、今日はもう1曲あるわけ。
協奏曲。
竹澤さんはスラットキンの伴奏でこの曲をRCAに録音していて、同曲のリファレンスと化している名盤。朗々とした美しい旋律から始まる第1楽章、ヴァイオリンから流れる肉厚の音が素晴らしいじゃない。第3楽章は無窮動かつ無調からなる音楽。ワイルドな耳あたりの内容を高いテンションで体を反らして弾きまくる。痛快。

休憩挟んでタニェエフ。
ずっとタネーエフだと思っていたが最近はこの表記らしい。セルゲイとアレクサンドルの二人がいて、セルゲイが無名でもまだ有名な方で今夜聴く方。良く解らん。
重心を低くとったカリンニコフみたいな第1楽章、管楽器が交わす歌を低弦楽器が遮るいかにもロシアの国民楽派風の第2楽章、飛び跳ねる木管に先導されて躍動してゆく第3楽章、ちょっとだけバロック風味の対位法が駆使される華麗な舞曲が終曲。
児玉さんは相変わらず淀みなく迷いなく作品の内容を明らかにする指揮ぶりで良かった。
先だって聴かせていただいたグラズノフの5番を少し優しくしたような内容の作品となったし、アッテルベリのCDも出ちゃって聴きまくっているので思うのだが。今のオケの諸条件(練習場だとか練習時間だとか楽員個々人の技量)を考慮するに、同じ環境・条件であれば児玉&シンフォニカーは常にこれぐらいは聞かせる演奏が出来る状態になってしまった気がする。要は階段の踊り場に差し掛かったと。ここからしばらくはこれまでのような演奏するたびに長足の進歩を感ずることは無くなるように思う。3年だからね。伸び代がなくなるとか限界だとかということではなくて、これからはやや微妙で繊細な変化が数回は続くだろうから「あんま代わり映えしないな」と結論を急いではいかんし、過大に期待しないでおこうと思う。
次はお祭り的な意味合いでやる英雄の生涯ですので、その次のブル2が楽しみ。
タニェエフの録音をコンサート前にあえて聴かずに今回は挑んだ。なぜなら所有しているスヴェトラーノフとロジェストヴェンスキーなんぞの録音を聴いてしまっては何聴いたってモヤモヤするでしょう。
今聴いてみてるが豪快で強烈すぎる。おそ露西亜。

次回のキンボー行こうっと。

大阪交響楽団 第144回定期演奏会「早春のロシアから」

2010年04月09日 | 大阪交響楽団
10.4.9(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪シンフォニカー交響楽団 第144回定期演奏会「早春のロシアから」
指揮/外山雄三
ヴァイオリン/有希 マヌエラ・ヤンケ
コンマス/森下幸路
曲目:
ショスタコーヴィチ/交響曲第9番変ホ長調op.70
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調op.19
ラフマニノフ/交響的舞曲op.45

9.April.2010 7:00p.m.The Symphony Hall
Osaka Symphony Orchestra 144th SubscriptionConcert
Conductor/Yuzo TOYAMA
Violin/Yuki Manuela Janke
Concertmaster/Koji MORISHITA Principal solo Concertmaster of Osaka Symphony Orchestra
Program:
D.Shostakovich/Symphony No.9 in E-flat major,op.70
Prokofiev/Concerto for Violin and Orchestra No.1 in D major,op.19
Rachmaninov/Symphonic Dances,op.45

大阪交響楽団としての記念すべき第1回目の定期演奏会。
定期通し番号は改名前を適用してますので144回ではありますが。
名前が変わったからといっていきなりオケの中身が変わるわけではない。
8割は入ってるかな。

ショスタコ。先の京響定期は10番の簡潔ながらも耳を刺すような演奏を成し遂げた先生ですが、ここでもオケの自発性にはまず期待してないタクトでオケをしごき上げシバキ回し縛り倒しておりました。あの圧迫に負けず良く頑張ったよファゴット・・・。そんなですから演奏は軽やかなリズムと諧謔に満ちた仕上がりなのにどこか軽妙さに欠けて息苦しい感じ。

プロコフィエフ。
久しぶりの有希ちゃん。高い技術と幅広い音色で見事にこの難曲を弾いておりました。やや音量が細いのがもったいない。外山先生にはプロコフィエフとハチャトゥリアンを足して日本的に仕上げた大名曲ヴァイオリン協奏曲をお作りになられているだけあって、この曲の把握は完璧ですね。バックアップも万全でした。にしてもハープは結構大変だ。

休憩挟んでラフマニノフ。
先生はあれこれとラフマノニフ好きやらチャイコフスキー好きを公言しておられるようですが、出てくる音は豊麗さも潤いもあんまりないカラカラに乾いたものが出てきます。以前に大フィルとやったレオンカヴァッロの道化師がオペラというよりオラトリオみたいな峻厳な完成をみてしまったあの言いようの無い感覚再び。英次の交響的舞曲は溶けかかったソフトクリームのような吐き気がする甘さと濃厚さだったのとは正反対で、辛くて痛かった。期待以上のアンサンブルで応えるオケと、大きく鳴らしていても響きを混濁させずにあくまでスマートに冷たく突き進む外山雄三78歳の相乗効果。

面白かった。


youtubeのどれかのコメントで「腕が足のようだ」は乙女に失礼だろと思いつつも笑いました。

大阪交響楽団2010年度定期演奏会他について

2010年04月05日 | 大阪交響楽団

大阪交響楽団2010年度定期演奏会
音楽監督・首席指揮者/児玉 宏
正指揮者/寺岡清高
首席客演指揮者/キンボー・イシイ=エトウ
主催:一般財団法人 大阪シンフォニカー協会
後援:大阪府・堺市・朝日放送
特別協賛:大和ハウス工業株式会社

第144回定期演奏会  2010年04月09日(金)
【早春のロシアから】
指揮/外山 雄三 ヴァイオリン/有希 マヌエラ・ヤンケ
ショスタコーヴィチ/ 交響曲第9番変ホ長調op.70
プロコフィエフ/ヴァイオリン協奏曲第1番
ラフマニノフ/交響的舞曲op.45

第145回定期演奏会  2010年05月28日(金)
【ブラームス探訪Ⅰ 】 《2010~2012年度全3回シリーズ》
指揮/寺岡 清高(正指揮者) ピアノ/クリストファー・ヒンターフーバー
ブラームス/セレナード第1番ニ長調op.11
ブラームス/ピアノ協奏曲第1番二短調op.15

第146回定期演奏会  2010年06月18日(金)
【忘れられた作曲家“タニェエフ”】 ~バーバー生誕100年
指 揮/児玉 宏(音楽監督・首席指揮者) ヴァイオリン/竹澤 恭子
バーバー/弦楽のためのエッセイ第1番op.12
バーバー/ヴァイオリン協奏曲op.14
タニェエフ/交響曲第4番ハ短調op.12
.
第147回定期演奏会  2010年07月23日(金)
【風土と様式の調和】
指揮/キンボー・イシイ=エトウ(首席客演指揮者) ヴァイオリン/小林美恵
フォーレ/パヴァーヌop.50
ブルッフ/スコットランド幻想曲op.46
シューベルト/交響曲第5番

第148回定期演奏会  2010年09月28日(火)
大阪シンフォニカー交響楽団 創立30周年記念【英雄たちの軌跡】
指揮/児玉 宏(音楽監督・首席指揮者) ソプラノ/佐藤しのぶ
ビゼー/歌劇「カルメン」より
プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より
R・シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」op.40

第149回定期演奏会  2010年10月07日(木)
【児玉宏のブルックナー】
指揮/児玉 宏(音楽監督・首席指揮者) ピアノ/石井 克典
モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番ト長調K.453
ブルックナー/交響曲第2番ハ短調
.
第150回定期演奏会  2010年11月01日(月)
【社会風習と個人概念の対立】~キンボーのバルトークシリーズ
指揮/キンボー・イシイ=エトウ(首席客演指揮者) ヴァイオリン/漆原 朝子
ヴォーン=ウィリアムズ「2つの賛美歌の調べによる前奏曲
バルトーク/ヴァイオリン協奏曲第2番
ニールセン/交響曲第5番op.50
.
.第151回定期演奏会  2010年12月08日(水)
【Cool is Four! (第4の魅力)】
指揮/ユベール・スダーン ピ ア ノ/小菅 優
ベートーヴェン/交響曲第4番op.60
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番op.68
ルーセル/交響曲第4番op.50

第152回定期演奏会  2011年01月28日(金)
【作曲家の肖像画 ②】
指揮/尾高 忠明 ヴァイオリン/戸田 弥生
シベリウス/組曲「カレリア」op.11
シベリウス/ヴァイオリン協奏曲ニ短調op.47
シベリウス/交響曲第2番ニ長調op.43

第153回定期演奏会  2011年02月16日(水)
「マーラーの歌曲とベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲Ⅰ」~マーラー没後100年 2010~2012年度全3回シリーズ
指揮/寺岡 清高(正指揮者)バス/谷口 伸
ベートーヴェン/劇付随音楽「シュテファン王」序曲
マーラー/「最後の7つの歌」“死んだ鼓手”
マーラー/さすらう若者の歌
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第12番op.127(弦楽合奏版)

第154回定期演奏会  2011年03月17日(木) ニーノ・ロータ生誕100年「愛のカンツォーネ」
指揮/児玉 宏(音楽監督・首席指揮者)
モーツァルト/交響曲第35番ニ長調「ハフナー」K.385
糀場 富美子/大阪シンフォニカー交響楽団創立30周年記念委嘱作品(予定)~堺をテーマとした
ロータ/ある愛の歌による交響曲(交響曲第4番)

09年度がスタートして間もないのに10年度の内容が出た。先行して発表することで注目を集め、聴衆を囲い込もうという戦略なわけで、後発オケであるシンフォニカーさんならではのやり方。
創立30周年ということで定期が増やされ年11回になった。関西ではもっとも多い年間開催回数になる。
昨年度からいよいよ始まった児玉時代、知られざる作曲家忘れられた作品に焦点を当てるシリーズではロシアのタニェエフ、イタリアのロータを取り上げる。音楽監督就任以前からの人気シリーズ「児玉宏のブルックナー」では初期の佳作第2番を。創立30周年記念演奏会は定期初登場の英雄の生涯を中心に、佐藤しのぶを迎えて監督の絶対領域であるオペラ作品から「カルメン」&「蝶々夫人」で勝負に出る。
「ベートーヴェンと世紀末ウィーンの知られざる交響曲」シリーズの意欲的な内容が聴衆・評論家に好評の正指揮者・寺岡は2つの新シリーズを立ち上げる。交響曲以外のブラームス作品に取り組む「ブラームス探訪」を年1回、3年がかりで。ナクソスへの録音でも御馴染みヒンターフーバーも登場する。生誕100年を記念して「マーラーの歌曲とベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲」を取り上げるシリーズはウィーン在住の彼ならでは。これも3年がかり。
首席客演指揮者に就任したキンボー・イシイ=エトウとの共同作業も本格的に始動する。第147回ではフォーレ・ブルッフ・シューベルトと徹底して抒情美を追求、第150回では音楽的様相のかなり異なる近現代の3作曲家を取り上げる。これにはバルトークシリーズと銘打たれているのでキンボーとの協業はバルトークが軸になるか。
客演陣はロシア作品に強い外山先生を迎えて近代ロシアの名作3作を、東京交響楽団の音楽監督として大活躍中の日本びいきなユベール・スダーンはベートーヴェンとルーセルの「4」にちなむ作品を小菅優と共に。尾高さんはオールシベリウスプログラムを振るがこれには作曲家の肖像画②の副題あり。毎年1月定期は一人の作曲家に焦点を当てる形になるのかどうか。

細かいことだがマーラー没後100年のシリーズが101年目からスタートするのが気になる。年度はあってるんだろうけどなんとかならなかったのか(笑)。「生誕○○年」のような企画が好きな割りに、マーラーイヤーだとかショパンイヤーだという大きな流れには軽々しく乗らない(資金的に乗れない部分もあるが・・・)。一筋縄ではいかないシンフォニカーさんの2010年度はどうなりますか。

追記:オレがバカだった。来年はマーラー生誕150年、再来年が没後100年なのだ。シンフォニカーさんはあえて生誕を外して没後を狙う作戦、F1で言えば3ピットが常套と見られるサーキットで、下位グループからポイント圏内を狙うために2ピット作戦を取るプライベーターのような、金がないところは知恵でカバー的な作戦なのだ。

更に追記:大阪シンフォニカー交響楽団は2010年4月に大阪交響楽団に名称を変更しております。