余桃之罪、もしくは電光朝露

関西フィル、日本センチュリー、京都市交響楽団、大阪フィルの定期会員です。アイドルやら声優やら。妄想8割、信憑性皆無。

大阪センチュリー交響楽団 第153回定期演奏会

2010年07月15日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.7.15(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第153回定期演奏会
指揮/小泉和裕(大阪センチュリー交響楽団音楽監督)
ヴァイオリン/米元響子
コンマス/渡辺基一
曲目:
リスト/交響詩「ハムレット」
ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26
ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調op.47

よく考えたら3回連続でゲストコンマスというところが台所事情を感じる。
8割強のお客様。

このままでいいのか、いけないのか、それが問題だ。
どちらがりっぱな生き方か、このまま心のうちに暴虐な運命の矢弾をじっと耐えしのぶことか、それとも寄せくる怒涛の苦難に敢然と立ちむかい、闘ってそれに終止符をうつことか。
死ぬ、眠る、それだけだ。眠ることによって終止符はうてる、心の悩みにも、肉体につきまとうかずかずの苦しみにも。
それこそ願ってもない終わりではないか。
死ぬ、眠る、眠る、おそらくは夢を見る。
そこだ、つまずくのは。


リスト。
さすが和裕、リストの交響詩の中では完成度の低いこの作品を引き締まった造形でなんとか聴ける形に仕上げてきた。それでもこの曲のとりとめもなさが救えたとは思わないけど。かといってリストに「もう少しなんとかならんのか」と詰め寄ったらヤツのことだからオルガンと合唱入りの30分超え大作にしやがるだろう。迂闊なことは言えない。
終結までにもう一山派手な場面がないと変に暗い印象だけなんだよなあ。
小泉和裕のリスト作品集録音しようぜ。売れないけど適性は絶対にあるよ。

ブルッフ。
関西でもお馴染み米元さんです。あれやこれやで26歳になってたんですね。
体当たりで演奏するタイプだけども、技巧派で内面の表現にはやや不得手な部分がある。メンデルスゾーンやブルッフあたりが一番光るわけで非常に心地良く楽しめました。中間楽章もテンションが両端楽章と変えずに気を張って通すのはどうかなと思いましたが。繊細すぎちゃうとオケに埋もれるから仕方ないか。だって伴奏はブルッフがドイツの作曲家だったことを思い出させてくれる小泉流だったから。ホルンとチェロにあんなにたっぷりと悠然とモノを言わせたらそりゃあドイツさ。

休憩挟んでショスタコーヴィチ。
第1楽章の精妙なアンサンブル、第2楽章のコントラバスのやかましさ(人数の割に轟音が出るのがセンチュリー低弦の特色)と木管の名人芸。第3楽章は曲が良く書けているので少々下手な演奏でも感動的に仕上がるが、センチュリーさんの弦を以てすれば静寂を音で表現する神域に達する。フルートが出てくる時には泣いた。終楽章は小泉さんがいつになく熱く煽って彫りの深い表現を足していこうとしたのが、かえってマイナスに響いたか金管が崩れた。思い直していつもの流線型のスタイルに少し戻してからは良くも悪くもCDみたいな、模範解答的な演奏で豪快に終了。小泉和裕はカラヤン風の振り方をしてるだけで中身は恩師山田一雄先生が5%ぐらい混ざってるんじゃないかと時折思う。

にしてもワシはもう5番は当分聴きとおない。


民営化でスポンサー探し継続 大阪センチュリー響

2010年06月28日 | 大阪センチュリー交響楽団
民営化でスポンサー探し継続 大阪センチュリー響
http://www.47news.jp/CN/201006/CN2010062801000686.html
 
大阪府の財政再建策で民営化の方針が決まっている大阪センチュリー交響楽団を運営する大阪府文化振興財団は28日、
6月末を期限にしていたスポンサー企業探しが不調なため、
1口5千万円の「オフィシャルスポンサー」と、同500万円の「オフィシャルサポーター」を募る形で募集を継続すると発表した。期限は9月末。

 同財団はこれまで、大阪ないし関西にゆかりのある企業1社、もしくは1企業グループを引受先として想定し、探していた。
今後は募集先を関西以外にも拡大、複数の企業などにスポンサーになってもらい、年間活動費3億円程度を集めたいとしている。


500万コースにエントリーするか・・・(笑)

大阪センチュリー響 正念場 民営化へのプロセス 認識に相違

2010年06月23日 | 大阪センチュリー交響楽団
大阪センチュリー響 正念場 民営化へのプロセス 認識に相違:産経関西(産経新聞大阪本社公式ニュースサイト)
http://www.sankei-kansai.com/2010/06/21/20100621-025239.php

人が関西に残ればいいが、関西はどのオケももう金が無い。
大フィルは債務が。
関フィルはかつかつ。
京響は母体の京都市がもうしんどい(文化学術観光都市なのでオケを放り出しはしないだろうけど)。
シンフォニカーさんは日本のプロオケでセンター管を除けば唯一団員の平均年齢が30代という時点でもう・・・(平均年齢3X歳の若さ溢れる職場です!って書かれた求人広告を見て『なんで離職率高いんだろう』と反射的に考えられないヤツはダメだ)。

厳しい。

大阪センチュリー交響楽団 第152回定期演奏会

2010年06月17日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.6.17(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第152回定期演奏会
指揮/張 國勇
クラリネット/ディミトリ・アシュケナージ
コンマス/扇谷泰朋
曲目:
中国民謡(茅 源・劉鉄山編)/序曲「瑶族舞曲」
コープランド/クラリネット協奏曲
アーティ・ショウ/コンチェルト・フォー・クラリネットより第2楽章(アンコール)
コバーチェ/ファリャへのオマージュ(アンコール)
ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調 op.88

去年は関フィル定期に上海から龍が来たと書きましたが。今年はセンチュリーさんに上海の虎が来ました。
経歴に書かれている肩書きが検索しても定かに分からないのですが、関フィルにきたシューと接点もあるようです。
前半がやや訴求力の薄いプログラムだったからか8割いくかどうかの客入り。

瑶族舞曲。
ヤオ族と読むそう。チベットかウイグルか知らんがそのあたりの民族らしい。
その民謡を織り込んで作られた作品。中国楽器で独奏されたり民族楽器のオケで演奏されたりするけど、このオケ版が最初に作られたオリジナル。陳佐煌指揮中国中央交響楽団のCDぐらいしか持ってない・・・と思って棚を見渡したらいつぞやのいずみホールベートーヴェン弦楽四重奏曲チクルスでハマった弦楽四重奏の棚から上海カルテットの「ChinaSong」というアルバムが出てきた。日本人がイメージする風光明媚な中国南方ののどかな薫りがする。
実演では指揮者が堂々と、ちと力みかえって演奏したので思ったよりも迫力のある仕上がりだった。

コープランド。
朝焼けに浮かぶ摩天楼のような冒頭からシビれる名曲。モーツァルトのクラリネット協奏曲よりもこちらのほうが好きだからね。皆様ご存知大ピアニスト兼2.5流の指揮者ヴラディーミル・アシュケナージの次男、ディミトリはややくすんだ音色であまり冷たすぎない、人肌の温もりのある演奏をやった。癖がある面倒な作品をソツなくサポートしたセンチュリーさんも良かったんではないでしょうか。
アンコール一曲目で「うおおお」と唸ってしまって申し訳ない。今回用に勉強がてら聴いてたのがシャロン・カムのアメリカクラリネット作品集(バーンスタインのプレリュード、フーガとリフが好きなもんで)だったんだけど、それに入ってたのがA・ショウのコンチェルト・フォー・クラリネットだったの。いやー驚いた。演奏は音域を幅広く使いこなして、最後のシャウトも見事に決まってカッコよかった。2曲目はどこぞで聴いたような旋律が出たり消えたりしたがファリャへのオマージュということだった。スパニッシュに聴こえたのはそれでか。
コープランド以上に客が沸いて拍手が鳴り止まず、ディミトリが困惑気味に舞台袖から出て来たのが思いのほか可愛らしく場内の婦女子のココロを鷲掴みにしたと思う。彼の公式サイトで予定を見たら移動予定も書かれていて、ドヴォ8演奏中には新大阪から東京行きの新幹線に乗り込んで早朝羽田発の帰国便に間に合わせるという強行スケジュールだった。若いなあ。

休憩挟んでドヴォ8。
熱いというか自信に満ち溢れとるというか一點の曇も無い指揮。小泉さん以上にセンチュリーさんをうるさく鳴らしてきた。とは言っても始終うるさいわけではなく、小泉さんほど金管の一体感を要求せずに金管それぞれをクローズアップして吹かせてメリハリをつけていく。なるほどオペラ指揮者だ。熱すぎて終楽章はなだれ込むような終結に。
フルートとクラリネット素晴らしい。ドヴォルザークの木管パートはいつ聞いても美しくて腰砕けになります。

日本のオーケストラが上海の指揮者とニューヨーク生まれアイスランド国籍でスイス在住のソリストを迎えて中国とアメリカとチェコの作品を演奏するという大阪の一夜でした。
こういう国際交流も含めて上海万博ですよ知事。

次はショスタコーヴィチですか。そろそろワールドカップだし天国のショスタコーヴィチも身を乗り出して試合の行方を見守ってることでしょう。ほら、彼サッカー狂だったから。

アイ・ガット・リズム !
ビュール(グレゴール),ロンドン交響楽団,バーンスタイン,ショウ,ガーシュウィン,ビュール,キャメロン
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大阪センチュリー交響楽団 第151回定期演奏会

2010年05月13日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.5.13(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第151回定期演奏会
指揮/沼尻竜典(大阪センチュリー交響楽団首席客演指揮者)
ソプラノ/浜田理恵
メゾソプラノ/林美智子→寺谷千枝子
テノール/永田峰雄
コンマス/荒井英治
合唱/びわ湖ホール声楽アンサンブル
合唱/大阪センチュリー合唱団
合唱指導/本山秀毅・松尾卓郎
曲目:
高橋悠治/大阪1694年(委嘱作品・世界初演)
メンデルスゾーン/交響曲第2番変ロ長調op.52「神をたたえる歌」(日本語字幕付)

馴染みの無いプログラムのせいですかね、7割強のお客様。
舞台の両端には字幕表示器。

高橋。
先だっての西村作品は天平の浪速が現代の大阪と時空を超えて接続されたが、今回は大阪を終焉の地とした句聖・松尾芭蕉の作品に想を得て江戸と現代が繋がれる。
1) 菊の香にくらがり登る節句かな
2) 菊に出て奈良と難波は宵月夜
3) 猪の床にも入るやきりぎりす
4) 升かふて分別かわる月見かな
5) 秋もはやばらつく雨に月の形
6) 秋の夜を打ち崩したる咄かな
7) おもしろき秋の朝寝や亭主ぶり
8) この道や行く人なしに秋の暮
9) 松風や軒をめぐって秋暮れぬ
10)此秋は何で年よる雲に鳥
11)白菊の目に立てて見る塵もなし
12)月澄むや狐こはがる児の供
13)秋深き隣は何をする人ぞ
14)旅に病んで夢は枯野をかけ廻る
以上14句14節を一つ一つ沼尻さんがマイク片手に読み上げてから演奏。楽団はそれぞれ2群に分割されている。プログラムによればスコアは各自同じもの、音高と楽器の指定、特に書かれている部分以外は何も無く、全て楽員に委ねられているらしい。
そういう理屈抜きに「秋」という語が含まれた第5句以降、俄然と音楽に力を感じた。リハを重ねてなお探り探りの雰囲気は残っていたが、互いに何をしでかすか分からない(といっても日本人ですから激高しない限り穏健なもんです)緊張感が見る分には愉しかった。聴いて楽しいかどうかを現代音楽に求めちゃいかん。
楽団財政の厳しい中、こんなもんを委嘱してる場合かと思われる向きもあるでしょうが・・・。
しかし14句は名句ですな。

休憩挟んでメンデルスゾーン。
規模が大きいのであまり演奏されないこの作品、これで沼尻さんはとりあえず全曲をセンチュリーさんとやってことになるそうで。CD化のために録音もされてます。
長すぎるシンフォニアが終わったら臆面も無く主、主、主、主、主、主とこの合唱は一体何回叫ぶつもりだと呆れる。最後は万歳万歳万々歳の勢いで終わった。テノールソロ以外逡巡するところは皆無で信仰もここまでくると大したもんだ。
讃え過ぎやろ。神さんも恥ずかしがるで。
あの素晴らしいオラトリオ「エリヤ」の作曲家とは思えない酷い宗教曲だよと鼻白んでプログラム見たら交響曲第2番「讃歌」と書いてあった。
ぬう、やるなメンデルスゾーン。交響曲ならなんでもありか。
沼尻さんは見事な手腕で纏めてた。金管とテノール最高。
しかしこれはCD化しなくてもいいような・・・(笑)

BBCmusicmagazinの付録CDで勉強しておいた。ヒコックス指揮BBCウェールズナショナル管弦楽団の2002年ライブ。
これもアホみたいにイケイケ演奏だったからたぶん誰がやろうとバカみたいに讃えまくりになるんだろう。
南米のオケと合唱で聴きたい曲ではある。

Niu Niuに出会う旅 上海4日間~ニュウニュウ×大阪センチュリー交響楽団

2010年04月28日 | 大阪センチュリー交響楽団
Niu Niuに出会う旅 上海4日間~プレミアム・レセプション&コンサート鑑賞付き(H.I.S. 音楽鑑賞専門デスク)
http://www.music-his.com/modules/content01/sha_nyunyu4days.html#ctop

7⁄27(火)
成田(13:50~19:30)発 空路(直行)上海へ。
上海(16:10~21:50)着。専用車にてホテルへ。
上海泊

7⁄28(水)
午前~夕方:上海市内観光
豫園(入場)と豫園商場、東方明珠、新天地散策、バンド散策、七宝古鎮散策
※途中、茶芸店に立ち寄ります。(昼食:小籠包付き の飲茶料理)
夕方:ニュウニュウと一緒にプレミアム・レセプション
上海泊

7⁄29(木)
朝~夕方:自由行動
オプショナル:上海万博の入場券手配(要別途料金)
夕方:ホテルから、専用車にてコンサート会場へ。
20:00 ニュウニュウ×大阪センチュリー交響楽団上海公演鑑賞
会場:上海東方芸術センター
公演終了後、専用車にてホテルへ。
上海泊

7⁄30(金)
専用車にて空港へ。
上海(08:50~12:10)発 空路(直行)帰国の途へ。
成田(12:30~15:45)着。着後、解散となります。

20周年で思い描いた形とはちと違うが海外公演にはかわりなし。
センチュリーさんの経歴を見ても中国・上海には縁があるし、府も万博に力を入れてるところなのでそういうことなんでしょね。
この面子でやる8月のびわ湖公演は行きたい。
おぢさんは牛牛よりも乳乳のほうが好きですが。

Beach Angels ビーチ・エンジェルズ 篠崎愛 in 奄美大島・加計呂麻島 [DVD]

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音楽で豊かな心育む

2010年04月09日 | 大阪センチュリー交響楽団
音楽で豊かな心育む~石川氏 交響楽団監督と懇談 大阪・豊中市
公明新聞:2010年4月8日
http://www.komei.or.jp/news/2010/0408/17146.html

 公明党の石川ひろたか青年局次長(参院選予定候補=大阪選挙区)は7日、大阪府豊中市にある大阪センチュリー交響楽団の練習会場を視察し、指揮者で同楽団音楽監督の小泉和裕氏と懇談した。
 同楽団は、大阪府が1989年12月に設立。定期演奏会や学校コンサートなど、年間110回前後の演奏会を行っている。しかし、2011年度からは府の補助金が完全にカットされる予定で、自主運営できるかどうかが課題になっている。
 懇談で小泉氏は、小学生を招いての体感コンサートなどの活動を紹介し、「交響楽団は心の豊かさを育む社会の財産」と強調。「音楽や文化施策に一貫して取り組んできた公明党に、楽団の灯が消えないように応援してもらいたい」と訴えた。
 これに対し石川氏は、外務事務官としてイラク赴任時に学校での演奏会など、“心の復興”に尽力した経験に触れ、「音楽は言葉の壁を越えて心に響く」と指摘。「一流の音楽家が社会貢献する姿は子どもの人生にも良い影響を与える」と語り、楽団の発展に尽くす考えを示した。


外務事務官としてイラク赴任時に、やて。



大阪センチュリー交響楽団 第150回定期演奏会

2010年04月08日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.4.8(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第150回定期演奏会
指揮/小泉和裕(大阪センチュリー交響楽団音楽監督)
ピアノ/若林 顕
コンマス/後藤龍伸(大阪センチュリー交響楽団コンサートマスター)
曲目:
ベルリオーズ/序曲「リア王」op.4
ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲 op.43
ニールセン/交響曲第4番op.29「不滅」

第150回。1999年に迎えた第50回はヴェンツァーゴ指揮で武満&ホリガーというトンガリ具合がハンパ無かった頃のセンチュリーさんでした。第100回はDVDにもなってますが都響さんとの合同演奏でアルプス交響曲。大曲にも適性をつけて幅広く聴衆にアピールしたいセンチュリーさんでした。そして今回の第150回。

人間、生まれてくるとき泣くのはな、この阿呆どもの舞台に引き出されたのが悲しいからだ。〔第4幕〕

リア王。
幻想交響曲の録音を100点ほど集めてしまってるおぢさんのベルリオーズ生活の比率って幻想交響曲90%ハロルド10%ぐらいなのね。序曲なんてローマの謝肉祭ぐらいしか聴かない。序曲集とかあるにはあるけど。だいたいこのリア王なんて録音してるのはよほどのベルリオーズ指揮者でしょう。C・デイヴィスとかデュトワとか・・・と思いながらCD棚眺めてたらカナダCBCのCD、秋山和慶/ヴァンクーヴァー交響楽団でフランクの交響曲のカップリングに入ってた。秋山先生なんで録ってんのよ。ということでこれで先に勉強。リア王ってベルリオーズの序曲で一番長いんだけど、長いだけでイマイチ何が言いたいのか分からぬ。これを新シーズン冒頭に持ってくるかね。
と疑問に思いつつ聴いた。和裕のベルリオーズに対する適性は半端無いね。音を重く長く鈍く引かせる冒頭から中間までとそこからの躁状態までの急上昇の差がえげつない。嘲笑と呪詛で輝かしく幕。ドラマそっちのけで指揮者本人の感覚だけで組み上げてたけどすごいもんです。これCDにしようよ。

パガ狂。
若林さんは協奏曲も独奏曲も基本的に同じなので合わせる気持ちがあまりないときがある。
立派なオケと立派なソロが互いを気にせず大人の対応でつじつまだけが合っていく素晴らしさ。ロシア臭さも無ければ圧倒的な名技術を聴いたわけでもなく、どっちつかずで好かん演奏だった。悲しい。

休憩挟んでニールセン。
そもそも北欧のニールセン自体がまだまだ知名度が無い。フィンランディアやヴァイオリン協奏曲があるシベリウスですら「なんですかそれ」ぐらいの扱いですもの。関西でこの曲をやったのは十数年前の大フィルですか。秋山先生で。おぢさんもあれが生演奏初体験だった。あと関フィルさんが北欧で売り出し中だった山下さんと2番をやったぐらい。比較的有名なフルート協奏曲はどうだったか・・・。ですのでとにかく(関西では)演奏されてないわけ。小泉さんがこの曲にどういう思い入れでトライするかは知りませんが、カラヤンが何故かこれを録音している。数多ある同曲の録音の中では出来が悪いほうですがね。
余談ですがこの曲の(第4楽章の)日本初録音は井上道義/新日本フィル。音源供給元の徳間ジャパン=ドイツ・シャルプラッテンがこの曲の音源を所有してなかったので、銀河英雄伝説のサントラ用に録音した。実はこれが公式な日本初演奏でもあるらしいですがそれはさておき。銀英マニアからすればこの曲はレグニッツア上空遭遇戦の「敵はどこだ!?」「そこです!」の瞬間であり、アムリッツァ星域会戦の「生き残ったら余生は健康に留意することにするよ」の瞬間なわけ。たぶん世界で一番ニールセンの交響曲第4番(の第4楽章)を聴いているのは日本人なんじゃないかな。
秋山先生のお力を持ってしてもいまいちアンサンブルを纏め切れなかったこの作品、センチュリーさんでもやはり綻びは合った。中間でフルート五重奏にまで成り代わる、繊細かつ豪快な独特のオーケストレーションを再現し切るというのは難しいものがありますね。それでも壮大な第4楽章で号泣したので文句なし。というかブルックナー以上にエキストラ入れてんじゃん(笑)
まあ宜しかったんじゃないですか。
キンボー/シンフォニカーが更に難物な5番をやりますのでニールセン面白いじゃないかと思われた方は行きましょう。おぢさんも当然行きます。

しかし小泉さんの円熟に気づいてるのが関東の一部の人間だけ、というのが切ない。
先入主というのはやっかいだねえ。




大阪センチュリー交響楽団2010年度定期演奏会他について

2010年04月07日 | 大阪センチュリー交響楽団

音楽監督/小泉和裕
首席客演指揮者/沼尻竜典
主催:財団法人 大阪府文化振興財団
後援:朝日放送

前期
10.4.8(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第150回定期演奏会
指揮/小泉和裕 ピアノ/若林顕
曲目:ベルリオーズ/序曲「リア王」op.4 ラフマニノフ/パガニーニの主題による狂詩曲op.43   ニールセン/交響曲第4番op.29「不滅」

10.5.13(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第151回定期演奏会
指揮/沼尻竜典 ソプラノ/浜田理恵 メゾ・ソプラノ/林美智子 テノール/永田峰雄 合唱/びわ湖ホール声楽アンサンブル 大阪センチュリー合唱団
曲目:高橋悠治/大阪1694年(委嘱作品・世界初演) メンデルスゾーン:交響曲第2番変ロ長調op.52「神をたたえる歌」(日本語字幕付)

10.6.17(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第152回定期演奏会
指揮/張 國勇 クラリネット/ディミトリ・アシュケナージ
曲目:中国民謡(茅源/劉鉄山 編)序曲「瑶族舞曲」 コープランド/クラリネット協奏曲 ドヴォルザーク/交響曲第8番ト長調op.88

10.7.15(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第153回定期演奏会
指揮/小泉和裕 ヴァイオリン/米元響子
曲目:リスト/交響詩「ハムレット」 ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調op.26 ショスタコーヴィチ/交響曲第5番ニ短調op.47

10.9.16(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第154回定期演奏会
指揮/アレクサンドル・ドミトリエフ ピアノ/中野翔太
曲目:ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ長調op.11(ナショナル・エディション) チャイコフスキー/交響曲第6番ロ短調「悲愴」op.74

後期
10.10.21(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第155回定期演奏会
指揮/小泉和裕
曲目:モーツァルト/ディヴァルティメントニ長調K.334 ルトスワフスキ/管弦楽のための協奏曲 

10.11.18(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第156回定期演奏会
指揮/沼尻竜典 ピアノ/エヴァ・クピーク
曲目:武満徹/波の盆 ショパン/ピアノ協奏曲第2番ヘ短調op.21(ナショナル・エディション) シューマン/交響曲第2番ハ長調op.61

10.12.10(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第157回定期演奏会
指揮/レオシュ・スワロフスキー ヴァイオリン/アリョーナ・バーエワ
曲目:グリンカ/歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 ハチャトゥリアン/ヴァイオリン協奏曲ニ短調 マルティヌー/交響曲第3番

11.2.10(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第158回定期演奏会
指揮/アラン・ブリバエフ ピアノ/アブデル・ラーマン・エル=バシャ
曲目:ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 サン=サーンス:ピアノ協奏曲第2番ト短調op.22 ドビュッシー/交響詩「海」 ラヴェル/管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」

10.3.26(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第159回定期演奏会
指揮/小泉和裕 チェロ/堤剛
曲目:ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調op.104 バルトーク:管弦楽のための協奏曲

いよいよ民営化への道へ向かうことになる?センチュリーさんの2010年度定期ラインナップです。
09年度に引き続き、小泉さんは従来のセンチュリーさんに無かった比較的大きめの編成の作品に取り組んで新たな客層の獲得を目指す。前期は不滅&革命というなにやら意味ありげな選曲、後期はバルトーク&ルトスワフスキの管弦楽のための協奏曲でオケの総合力強化をやるおつもり。前期の前プロはベルリオーズ&リストがシェイクスピアの4大悲劇のうち2作品に想を得て書いたものでこれも意味ありげ。
沼尻さんは昨年同様、高橋悠治へ委嘱した作品の世界初演から。メンデルスゾーンの交響曲中でもっとも演奏されない2番、声楽付きの大作に妙味のある沼尻さんのタクトが冴えることでしょう。センチュリーさんこそが日本で最も美しく演奏できるシューマンの2番は生誕200年記念に捧げる1曲。武満を取り上げる指揮者たちが口を揃えて「最も美しい」と賞賛する波の盆と合わせて楽しみたい。
客演指揮者は昨年と同じく外国の指揮者で固めた。前期は小泉さんのレパートリーを張&ドミトリエフの両氏にゆだねて新たな体験を探る。後期は度々の来日で御馴染みになりつつあるスワロフスキーによるロシア・東欧プロ。第138回定期の清新な名演が記憶に新しい俊英ブリバエフの再客演。名手エル=バシャを迎えたオールフランスプロで期待に応える。
協奏曲は前年度を受け継いで名曲を揃えた。中でも生誕200年のメモリアルイヤーとなるショパンのピアノ協奏曲は全2曲とも取り上げる。

厳しい情勢が伝えられる中ではよく踏ん張った選曲で良いと思う。ベートーヴェンブラームスが無いだけで十分攻め気味に見せられるよな。悲愴とドヴォ8はどうかと思うけど、上にも書いたようにこれは客演指揮者が何か面白いことをやらかすだろうと思わせたらそれでいい。間違ってもいつかのN響みたいに定期1シーズン中にチャイ5が3回あるような堕落はしちゃいかん。
当然定期会員として参戦いたします。

しかし民営化して給与水準とか運営とか大丈夫なのかは不安ですが、楽団規模の拡大まで漕ぎ着ければいいね。2管でフル回転で金を稼がねばならない関西フィルさんや昔の東京交響楽団みたいになると音楽の出来不出来がその日ごとに激しくてつらいものがあるし、2管のままエキストラ入れまくりだったり2管8型の楽員表の空席が埋まらないまま創立20周年だったり(まあ10数年前まで定期が年5回だったしな)4管なのに未だにどこかが定員割れのままで腰の据わらない音が出たりってのも情けないときはあるよ。
ウォルトンのベルシャザールを九響&大フィルが合唱部分で協働したけども、その近年進境著しい九響を3管に改変して飛躍の基礎固めをしたのが前首席指揮者の小泉さんだということを、だからこその確信が彼にはあることを、我々は頭に入れておかないといけない。土地柄はどうなんだという疑念もあるが、シンフォニカー振って大阪府から賞とか貰ってた和裕だし京都人だから把握してるんじゃねえか。たぶん ←

あとね、オケを問わず小編成だと「今日は少ないねえ」って舞台を見ながら話すおばさんたち=家庭の財布を握る人々の声はげんなりするけど無視出来ないよな。そこのバランス。

大阪センチュリー交響楽団 第149回定期演奏会

2010年03月26日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.03.26(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第146回定期演奏会
指揮/パスカル・ヴェロ
ソプラノ/佐々木典子
オルガン/土橋薫
コンマス/太田雅音
曲目:
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より序曲
モーツァルト/歌劇「フィガロの結婚」より 愛の神よ、照覧あれ
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より ああ、この裏切りから逃げなさい
モーツァルト/歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より序曲
モーツァルト/歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より 岩のように動かずに
モーツァルト/歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」より 許して、いとしいあなた、お願いよ
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン」
サン=サーンス/交響曲第3番ハ短調op.78「オルガン」第2楽章第2部より(アンコール)

26.March.2010 7:00p.m.The Symphony Hall
Century Orchestra Osaka 149th SubscriptionConcert
Conductor/Pascal Verrot
Soprano/Noriko Sasaki
Organ/Kaoru Dobashi
Concertmaster/Masane Ota Concertmaster of the Century Orchestra Osaka
Program:
W.A.Mozart/Opera"Le nozze di Figaro"Overture
W.A.Mozart/Opera"Le nozze di Figaro"Porgi amor qualche ristoro
W.A.Mozart/Opera"Don Giovanni"Ah fuggi il traditor
W.A.Mozart/Opera"Cosi fan tutte"Overture
W.A.Mozart/Opera"Cosi fan tutte"Come scoglio immoto resta
W.A.Mozart/Opera"Cosi fan tutte"Per pietà, ben mio,perdona
C.Saint-Saëns/Symphony No.3 in C minor op.78,"Organ"

8割ぐらいかな。
09/10年度センチュリー定期ラストはヴェロさんです。小泉さんが首席客演指揮者を務めている仙台フィルの常任指揮者ですね。
手足を長く舞うように使う指揮振りはちょっと矢崎彦太郎風かな。

モーツァルト。
プロフィール見てもお分かりいただけるようにヴェロさんはオペラ指揮者でもあるわけで、しかもモーツァルトが得意っちうことで。これらに限らずモーツァルトは木管が死んでたらお話にならない。ヴェロさんはそこのところをかなり意識した音楽作り。振ってる最中も木管中心に指示出し。佐々木さんの熟女の魅力溢れる豊かな声の周りをセンチュリーさんの音が煌めく美しいひと時だった。

休憩挟んでオルガン。
なんやね、今季の関西のプロオケ定期では大フィルさん京響さんとオルガン付き聴かされてる。最後がこれかと思いきや関フィルさんもやる。どういうことやねんと。
それはさておき。今は無き新星日響でヴェロさんを初めて聞いたとき、ルーセルだったかな、線は細いけど温厚な紳士がニコニコ振ってるはずだったのが次の楽章に入るや別人が乗移ったかのようにこめかみに血管浮かせる勢いで暴れだしたのを見て驚いたんだけども。
今回のオルガン付、第1楽章はそれぞれのセクションを縁取りくっきりと演奏させてきた。劇的な雰囲気は希薄で、常に柔らかな陽光に照らされた穏やかさのようなものがそこはかとなく漂う。英次がやってたあの悲劇的感覚の第1楽章とは対極にある。綺麗だなあ、カミーユ天才だなあと涙ぐみながら聴いていて第2楽章。やっぱり別人や。動きが倍速になって暴れ倒しとる。あくまでバランスは第1楽章同様、混濁させずに美しいまま、音だけがものすごい熱を帯びてゆく。ブルックナーやショスタコやってるうちに金管の一体感増してきたよな。傑出したオルガニストでもあったサン=サーンスのオルガンとオケのバランスの工夫も一番感じられたいい演奏だった。

流石に演奏時間が短すぎたし、オルガンの音もこれだけで終わったらもったいないよね、ということで第2楽章冒頭と終盤を接続したものをアンコールとして再度演奏。
最高。
次はいよいよ150回や。

大阪センチュリー交響楽団 第148回定期演奏会

2010年02月12日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.2.12(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第148回定期演奏会
指揮/小泉和裕
ヴァイオリン/堀米ゆず子
コンマス/後藤龍伸*、太田雅音
曲目:
メンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲ホ短調op.64
ブルックナー/交響曲第6番イ長調(ハース版)

12.February.2010 7:00p.m.The Symphony Hall
Century Orchestra Osaka 148th SubscriptionConcert
Conductor/Kazuhiro Koizumi Music Director of the Century Orchestra Osaka
Violin/Yuzuko Horigome
Concertmaster/Tatsunobu Goto*,Masane Ota Concertmaster of the Century Orchestra Osaka
Program:
F.Mendelssohn/Concert for Violin and Orchestra in E minor,op.64
A.Bruckner/Symphony No.6 in A major

ブル6となるとやはり人気が下がるのか、客入りは8割半ばといったところ。

メンデルスゾーン。
先の京響定期では3人のソリストの一人だったゆず子。技術の素晴らしさは言うまでも無く、表現が的確で演奏に迷いがない。気を衒わず正攻法のアプローチってそれ小泉さんと同じじゃん。ということで芸風が合ってる二人による堂々たるメンデルスゾーン。美しいというよりも立派な出来。リストもそうでしたが、メンコンの伴奏でここまでみっちり演奏しちゃう指揮者とオケが面白かった。背景に徹するなんてありえないんですな。大好き。

休憩挟んでブルックナー。
小泉さんは8日に九響定期でブル6を予行済み。
前にも書きましたがブルックナーの中期までの交響曲はセンチュリーさんの基本編成に数人足すと催行人員を満たせるわけです。7番以降は金管倍増に合わせて弦も増やさないといけないので無理ですが。今回は弦を1プルトずつ増やして金管をそれぞれ1人ずつ増員してきました。
センチュリーさんのブルックナーと言えばCDにもなっているシンフォニカーとの合同演奏による8番がある意味金字塔というか指揮した大町陽一郎の生前建立墓碑のようでもあって、まあ懐かしいのですが、小泉さんとのブルックナーも4作目、ブルックナーに慣れたというよりも小泉節に慣れきった感があります。
冒頭のホルンが若干不安定で不安になりました。人数増やしてるとはいえバランスこれでいいのかよとツッコみたくなる金管の咆哮。各セクションが混ざり合うような瞬間を沢山見せた児玉/シンフォニカーと違い、小泉/センチュリーは各楽器が前景後景に矢継ぎ早に交替しつつトドメに全合奏で大爆発を繰り返すという、機動性とか運動性とかという言葉が脳裏をよぎる出来具合です。速い速い。欧州におけるブルックナー演奏の最新の傾向をようやく日本でやる指揮者が出たのか。・・・単に小泉和裕という指揮者の地だと思う。私淑してるカラヤンでもここまでやらないもの。第2楽章が繊細さのカケラもなく声明のように野太くアジア的だったところはやりやがったな!と喜びました。センチュリーさんでやることないと思うけど。
小泉さんは色々とブルックナーについては神秘だの人間性だのとありきたりなことを口にしますが、出来上がるものはそういうところから遠いものが豪快に仕上がってくる。それが面白い。あえていうならブルックナーかくあるべしだとかブルックナー指揮者はこうした人だとかという朝比奈御大に慣れて硬直したおぢさん(すなわちオレ)の感覚にはまだまだ辛いものがある。逆にそういう感覚が希薄な東京で都響とやったブルックナーなどはかの地では好評なわけで。コンクリートの森、高層ビルの山脈に生きる人々の心に沁みるブルックナーなのかも知れぬ。いや九響も好評だったらしいので違うのか。福岡は都会だな。にしても関西人は幸か不幸か分からんな。ひょっとすると紛い物だったかも知れない御大のブルックナーを本流だと信じたためにブルックナー享受の回り道をしているのかも知れぬ、ああこの恐怖が快感。
センチュリーさんにその気があればいつかこのシリーズは再演したほうが良いよね。
バボーと叫ぶ人がいるので「ああ関テレのサクラだからバボちゃんの宣伝か」と思いましたがどうやらブラボーと言ってるつもりらしい。フライングブラボーを防ぐことは難しいので、せめて美しいブラボーのかけ方講座をプレトークでやるべきだね。

5月に4~6番がCDとして出されます。ライブではなくセンチュリーオーケストラハウスでのスタジオ録音。CD化されるとまた違う感想を持てるかな。ファンクラブ頒布CDの幻想交響曲は思いのほか細かい動きをやっていて面白かったし。
実演を聴かなかったが英次のブル9はシェーンベルクの浄夜とマーラーのアダージェットのハチミツ漬けみたいな軟体音楽でシビれました。あれはよく眠れる。

ちなみにこの公演のために聞き込んだのは小泉さん以上に即物的にやってるからということでヤノフスキ/フランス放送フィルとA・ボッシュ/アーヘン交響楽団。ぜひ聴いてください。小泉/センチュリーはヤノフスキに近いかもしれないがこれは入手困難か。LeChantduMondeのCMX378081.84でCD4枚組です。

色んなタイプの指揮者を同じ会場で聴ける大阪はシアワセや。

大阪センチュリー交響楽団 創立20周年記念 特別演奏会Ⅱ

2010年02月05日 | 大阪センチュリー交響楽団
10.2.5(金)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 創立20周年記念 特別演奏会Ⅱ
指揮/沼尻竜典
演出/小須田典子

オンド・マルトノ/原田 節
合唱/ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団(合唱指導:本山秀毅)
合唱/岸和田少年少女合唱団(合唱指導:松尾卓郎)

ジャンヌ・ダルク/カティア・レフコヴィチ
修道士ドミニク/ミシェル・ファヴォリ
聖処女-声(プロローグ)/谷村由美子
マルグリート/渡辺玲美
カトリーヌ/竹本節子
声-伝令官Ⅲ-ルニュー・ド・シャルトル-ギョーム・ド・フラヴィ-ペロー-酒樽かあさん/田村由貴絵
豚-声-書記/高橋淳
伝令官Ⅰ-驢馬-農民-司祭/望月哲也
声-伝令官Ⅱ-ジャン・ド・リュクサンブール-ベッドフォード-ウルトビーズ(粉ひき)-執行官/片桐直紀
こどもの声/横河千裕(岸和田少年少女合唱団員)、小山恵理(岸和田少年少女合唱団員)
曲目:
オネゲル/劇的オラトリオ「火刑台上のジャンヌ・ダルク」(日本語字幕付き・セミステージ形式)

会場入りすると誰もが目を惹かれるステージ。オルガンをさえぎるようにそびえる白いプラミッド状の舞台装置。紫色のライティング。
撮影禁止だと言われていても思わず写メを撮る者続出。
おぢさんはこの舞台を見た時点で涙が出た。先行き見えない中でせめてこの企画ぐらいはやろうとかなりの予算をつぎこんだこの心意気。
その割りにやはり曲になじみがないのか客入りは20周年記念なのに少ない。6割強かな。7割かな。

当初ジャンヌ役はマリナ・ハンズと発表されていたが早々にカティア・レフコヴィチに代わることになり、そして当日、ドミニク役エリック・リュフがミシェル・ファヴォリに代わってるという(笑)。ミシェル・ファヴォリなんて火刑台上のジャンヌ・ダルクの名盤であるボド指揮チェコフィル盤でドミニク役だった人でしょ。70歳現役だったのかよと。驚きですよ。

片山さんの素晴らしい解説にもあるように、台本を書いた詩人にして劇作家、時には外交官でもあったクローデルが見聞して蓄えた知恵と識見が多彩に盛り込まれた内容(駐日フランス大使でもあった)を、少壮のオネゲルが持てる音楽語法を縦横無尽に駆使して生まれた音楽劇の傑作。
処刑直前のジャンヌが修道士ドミニクに導かれてそれまでの成り行きをやや錯綜気味に回想してゆく。それを紫→青→緑→赤→白と照明を変えてジャンヌの内心の変化に添わせてみたり、登場する人物やら事物のイラストを写してみたりと初めて見る人にも分かりやすく印象的な演出。ザ・シンフォニホールはクラシック専用ホールですから演技を伴う作品の上演には制約があるけども、作品自体が語り多めで写実的な舞台を必要としていないので十分ですわな。
12月定期もそうでしたが沼尻/センチュリーは時空を切り貼りして場面ごとの雰囲気がずいぶんと異なる作品をたくみに描くわけ。沼尻さんが欲しがる気品のある歌だとかスマートに突き上げるような躍動感を表現できるのは関西ではセンチュリーさんだけですな。ジャンヌの剣の場面、児童独唱が出る直前、なめらかに音を収斂して静寂へと沈んでゆくとき、あたかも静寂それ自体が一つの歌のように感じた。一刻一刻が少女の死へと近づいてゆくことに演奏者がじっと悲しみ耐え潜むような風情で、これをすごいと言わんで何をすごいと言えばいいのか。号泣。
歌手も役者も良かった。おぢさんは豚の裁判官の口上だけを暗記しています。ご披露する場所ないけど。

ホワイエで大興奮でしゃべりまくる評論家陣。ペンの力で一矢報いろよと一絡みしてやった。俺も何をか知らぬが頑張りたい。

自立化。

2009年12月19日 | 大阪センチュリー交響楽団
大阪府戦略本部会議における審議・報告の概要
第27回(21年12月16日)【議題2】大阪センチュリー交響楽団
■議事概要                 http://www.pref.osaka.jp/kikaku/senryaku/2127giji.html
議題2資料 [PDFファイル/154KB]   http://www.pref.osaka.jp/attach/2920/00000000/212702siryo.pdf


ワッハ上方 結論先送り 知事納得せず - 大阪日日新聞(2009年12月17日)

 大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方、大阪市中央区)をめぐり、府は16日の戦略本部会議で、府の方針として表明している通天閣移転案と入居ビルを所有する吉本興業が提案する現地存続案とを比較検討した。担当部局の府民文化部は入館者数50万人を目標に現地存続を主張したが、橋下徹知事は「目標に達しなければ閉館でいいのか」と指摘。最終決定は25日に先送りとした。

 同館をめぐっては、府が年間約4億円の負担を約1億円以下に減額できる見通しの通天閣への移転案を表明。これを受けて現地のビルを所有する吉本興業は賃料の大幅な値下げなどによる現地存続案を提案していた。

 この日は、府民文化部が両案の比較表を提示。現地存続案の2011~12年度の運営費が移転案とほぼ同額であることや、13年度以降に新たな官民協力の新事業が展開できることを評価し、「(吉本興業の)提案をあえて拒否し、移転に伴う約2億6千万の費用を負担し、移転する決断はできない」と報告した。

 これを受け、橋下知事は「(あり方については)コストの問題だけでなく、入館者数が上がらないと意味がない」と発言。目標入館者数について「達しないと閉館になるという前提で、どういう数字を出すかだ。それを見ないと方針が決められない」と述べ、次回会議で提示するよう求めた。

 また同会議では府の補助金大幅カットで自立化を模索する大阪センチュリー交響楽団について、自立化に協力した上で11年度から補助金を打ち切る方針を決定。理系に特化しスリム化することなどを盛り込んだ大阪府立大の改革案については、了承した。


国の支援も薄くなるし・・・最近流行の言葉で言えば「ラストイヤー」ですな。

大阪センチュリー交響楽団 第147回定期演奏会

2009年12月17日 | 大阪センチュリー交響楽団
09.12.17(木)19:00 ザ・シンフォニーホール
大阪センチュリー交響楽団 第147回定期演奏会
指揮/沼尻竜典
舞楽/天王寺楽所 雅亮会
コンマス/後藤龍伸
曲目:
西村朗/オーケストラのための<蘇莫者>(委嘱作品・世界初演)
フランク/交響曲 ニ短調

17.December.2009 7:00p.m.The Symphony Hall
Century Orchestra Osaka 147th SubscriptionConcert
Conductor/Ryusuke Numajiri Principal guest conductor of the Century Orchestra Osaka
Bugaku/Tennoujigakuso Garyoukai
Concertmaster/Tatsunobu Goto Concertmaster of the Century Orchestra Osaka
Program:
A.Nishimura/Somakusha for Orchestra(Commissioned Work,World Premiere)
C.Franck/Symphony in D minor

 もうひとつは景観、やはり街の雰囲気。ある著名人から「文化は醸成するもんじゃない。醸成なんか醤油と同じようにするな」と、変な、訳の分からないことを言われているけれど、やはり、その街の空気感や雰囲気が大事。
 私は、今、行政の中で、「空気感」という言葉を使っています。みんなは「それなんやねん」というようなことになったのですが、「空気感」というのは、みんなは何となく分かってくれると思うのですが、どうですか。その地で生まれるものは、その街の空気感が、ものすごく重要だと思うのです。
 大阪城で、桜満開の時に、あそこでヒップホップ歌う奴は、まあいないと思うよね、やはり、そこでは琴を弾いたりとか、和服だったり、そういう雰囲気があると思う。
 「クラシック」だったら、「クラシック」が生まれるような街の雰囲気とかあると思うのです。

橋下知事と語ろう 橋下文化行政に物申す!(詳細4)より
http://www.pref.osaka.jp/fumin/taiwa/bunka-4.html

年末でくそ忙しいわけ。なのでせっかくのプレトーク間に合わなかった。世界初演を前に作曲者自らが語ろうというのにもったいない。開演ギリギリに着席してプログラムを読みふける。年の瀬も押し迫ってきた12月半ば、現代音楽プラス馴染みの浅いフランス作品のプロとあって客席は寂しい。忘年会シーズンでもあるし・・・7割いますかね。どうですかね。

蘇莫者。
知事の感覚でいけば大阪に合う伝統的な大阪の音楽はせいぜい江戸期に発生した近世邦楽まで。実際ほとんどの人がそういう感覚でしょうしね。日本人の習俗を遡っても室町中期が精一杯だし。
しかし西村朗&センチュリーさんはそんな感覚で留まっていなかった。インドベトナム中国朝鮮から流れ込んだエッセンスが昇華した雅楽を西村朗の手で再創造した音楽を西洋の音楽システムの頂点であるオーケストラがやる。しかも舞う人の装束・振り付けは古来そのままでやる。ここ大阪がシルクロードの果てであることも視覚に力強く訴える。2009年、年の瀬の大阪市北区大淀が1200年の時空を超えて、いや、ぶった切って聖徳太子のおわした時代と豪快に接続される様を見よ。
芸術では腹は膨れませんわな。芸術に出来ることはせいぜい時間を折り畳んで時間に打ち勝つことだけなんですわ。
音響的にはもう西村トーンと言うべきものが出来てるので、いくつかの旧作の焼き直しのような部分はありますが、普段以上の打楽器の多用でより重層的多層的な響きが生み出されて面白かったのではないかと。まあ舞がついてないと面白さが半減するとは思う。上手から舞手が顔を出したときのあの神秘的な空気感がたまらん。

休憩挟んでフランク。
オルガニストにして交響曲作曲家であるブルックナーの中期交響曲シリーズを音楽監督である小泉さんがやってる以上、首席客演指揮者としては同じくオルガニストにして作曲家、フランスの交響曲史に燦然と輝くフランクの交響曲を取り上げないわけにはいきませんわな。
ブルックナーと共通するのはがっちりとした構築力、違うのは音色のエロティシズムと開放感。
センチュリーさんと沼尻さんですからややエロが足りない気がしましたが、両端楽章で同じフレーズが現れるたびに表情を上手く変えて飽きさせないあたりはさすが。金管頑張った。

来年の京都公演は確実に行けないみたい。悲しい。ジャンヌに全てを賭けよう。

追記:團 伊玖磨作曲の盧舎那仏讃歌というものがあってですね・・・。