映画から自己実現を!

映画を通して 人間性の回復、嫌いな自分からの大脱走、自己実現まで。 命をかけて筆をとります。

④『フォレスト・ガンプ 一期一会』~あなたの大切な頑張りで誰かに復讐しようとしていませんか?~

2024-02-05 06:45:03 | 日記

 

23.友との約束

 

フォレストは陸軍の除隊を告げられます。

 


フォレストのナレーション:

「こうして僕の軍隊生活は終わってしまった」

「僕は故郷へ戻った」


 

フォレストは久しぶりに母に会いました。

 


フォレスト:「戻ったよ、ママ」

フォレストの母:「分かってるわ」

フォレストのナレーション:「僕の留守中に大勢の客がうちに来ていた」

フォレストの母:

「大勢のお客が来たのよ」

「『うちの商品を使ってくれ』って」

「『ラケットを宣伝してくれ』って」

「2万5000ドルの小切手を置いていった人も」

フォレスト:

「自分のラケットがある」

「やあ、ルイーズ」

フォレストの母:

「それは分かってるけど、2万5000ドルの小切手よ」

「持っていれば、手になじむかもよ」

フォレストのナレーション:

「ママは正しかった。世の中は本当に不思議だ」

「バッバとの約束を守るために、僕はすぐ家を離れた」

「僕はバッバの家族に会いにバイユー・ラ・バトルへ行った」

バッバの母:「あんた、気は確か?それともバカなの?」

フォレスト:「バカをする者がバカです」

バッバの母:「そうね」

フォレストのナレーション:「もちろんバッバの墓参りもした」

フォレスト:

「やあ、バッバ、フォレスト・ガンプだよ」

「君の言った通りに全部計算したよ」

「僕の持ってる金は2万4562ドル47セント」

「少し使ったからね」

「こういう宣伝をした」

「『僕が中国へ行った時、愛用したのはライト印のラケット』」

「誰にでも分かる嘘だからママは構わないと」

「とにかく、そのお金でガソリンとロープと網、エビ捕り船を買った」

フォレストのナレーション:

「散髪に行って背広を買って、ママとレストランで食事」

「バス代とドクター・ペッパー3本」


 

『キャスト・アウェイ』でも主人公は救出された後にドクター・ペッパーを飲んでいましたね。

監督が好きなんだろうと思います。

持っているお金でフォレストは漁船を買いました。

 


漁師:「驚いたな、あんたバカかね?」

フォレスト:「バカをする者がバカです」


 

 

 

 

24.エビ捕り船

 


フォレストのナレーション:「エビ捕りの方法はバッバから聞いていたけど、捕るのは難しかった」

フォレスト:「5尾だ」

漁師:

「あと2尾でカクテルが作れる」

「船に名前を付けないからツキがないのさ」

フォレストのナレーション:

「船の名なんて初めてだけど、付けるとしたら1つ」

「世界で一番美しい名前だ」


 

船のネームプレートには『JENNY』と描かれてありました。

ジェニーの近況のシーンが入ります。

ジェニーはディスコで仲間とマリファナを吸っていました。

肌もかさかさで目には強いアイシャドーがギラついていました。

薬でハイになり、マンションのベランダから飛び降りようとしていました。

ジェニーの『虚無感』は現実逃避に変わり、精神は死の手前まで追い詰められていました。

ベランダの強風にふと寒さを感じたジェニーには包み込んでくれる温もりを必要としていました。

涙を流し震えるジェニーは明るい夜空の月を眺めます。

ジェニーは誰かに助けを求めているようでした。

 


フォレストのナレーション:

「手紙は来なかったけど、いつも彼女のことを想い、幸せでいるようにと祈っていた」

「僕は彼女を想い続けた」


 

晴れやかな晴天の下、フォレストが諦めずにエビ漁を続けていると、知った顔が目につきました。

ダン小隊長でした。

 

 

 

フォレストは船から岸辺のダンに向かって手を振ります。

嬉しさのあまり船から海へ飛び込み、船は航行したまま、無人となりました。

 


フォレスト:「ダン小隊長!こんな所で何を」


 

未だにフォレストがダン小隊長と呼ぶのは名誉を重んじるダンへの思いやりなのだと思います。

もう皆さんフォレストの『バカ』な行為に騙されてはいけません。

ロバート・ゼメキス監督はすべて意図的ですよね。

 


ダン小隊長:「海で運試しをしたくてね」

フォレスト:「脚が無いのに?」

ダン小隊長:

「分かってる」

「手紙をくれたろ?」

「フォレスト・ガンプ船長の姿をこの目で見たくてね」

「それに言っただろ?『お前が船長になったら、俺は一等航海士だ』とね。約束を守ったのさ」

フォレスト:

「言っとくが、お前を『サー』とは呼ばんぞ」

「分かってます」


 

船員のいない船が波止場に突っ込んできました。

 


フォレスト:「あれが僕の船です」


 

25.希望の戦場

二人は朝と昼と夜となく、かつての戦場のように航海に出かけました。

『大統領殿』〜ランディ・ニューマン〜の曲が流れてきます。

 


ダン小隊長:

「いい予感がする」

「エビがいる。左へ舵を回せ」


 

ダンは敵を捜す隊長のごとく、脚を失った後の人生が嘘のように生き生きしています。

 


フォレスト:「どっちです?」

ダン小隊長:

「あっちだ、あっちだ!」

「舵を左へ回すんだ!」

「ガンプ、何してる!反対だ。左だ!」

「今度こそ大漁だぞ」

「見てろよ」


 

フォレストは網を引き上げますが、エビは中々捕れません。

 


フォレスト:「1尾もいませんよ」

ダン小隊長:「勘が外れたのさ」

フォレスト:「どこにいるんです?」

ダン小隊長:「神に祈るんだな」


 

実直なフォレストはさっそく教会へお祈りに行きます。

コーラスで黒人女性に混じってゴスペルまで歌う派手っぷりです。

 

 

 

 


フォレストのナレーション:

「毎日曜、教会に通った」

「小隊長も時々来たが祈るのは僕の役目だった」

フォレスト:「だめだ」

ダン小隊長:「頼りない神だな」

フォレストのナレーション:「本当に偶然だったがその時、神の力が働いた」


 

ある嵐の日の中、フォレストたちは漁をしていました。

ダンは戦場そのままに嵐に向かって叫んでいました。

まるで自分の運命に逆らうかのように抗うようでした。

 

 

 

 


ダン小隊長:「この船は沈まんぞ!」

フォレストのナレーション:

「僕は怖くて震えていたが、ダン小隊長は荒れまくった」

ダン小隊長:

「こんなものが嵐か?」

「笑わせるな!もっと風を吹かせてみろ」

「貴様と俺の対決だ!」

「俺は逃げも隠れもせんぞ!」

「俺を打ちのめせ」

「貴様の力でこの船を沈めてみろ!」

TVナレーター:

「ハリケーン『カルメン』は多大な損害を与え、特に沿岸のエビ漁業は壊滅的な被害を受け、漁船がこのような姿をさらしています」

「関係者の話では嵐に耐えたエビ捕り船はたったの1隻」

フォレストのナレーション:

「それからは大漁続き」

「エビはシュリンプ・カクテルやバーベキューに必要で、僕らのバッバ=ガンプ社のエビは売れに売れた」

「持ち船も増えてジェニー号は12隻」

「大きな倉庫に社名入りの野球帽」

「バッバ=ガンプ社の名は有名になった」

バス停の中年男性:

「待てよ」

「君がバッバ=ガンプ・エビ会社の社長だと言うのかね?」

フォレスト:「ええ、景気のいい会社です」

 

 

 


 

男性は大笑いしました。

 


バス停の中年男性:

「こんな大ボラを吹く奴は初めてだよ!」

「こいつが百万長者だとさ」


 

男性は笑いながら去って行きます。

不思議とフォレストの近くには人が寄ってきます。

お婆さんが一人、ベンチでフォレストの話を聞いていました。

 


お婆さん:

「とにかく楽しいお話だったわ」

「あなたがとてもうまく一生懸命話したから」

フォレスト:「ダン小隊長の写真を?」

お婆さん:「ええ、拝見したいわ」


 

フォレストはお婆さんに『FORTUNE』誌に掲載されている自分とダンの表紙を見せます。

 


フォレスト:「これです」


 

お婆さんは目を点にして驚きました。

 


フォレスト:「もう少し小隊長の話を」


 

また漁船でのエピソードに戻ります。

 

 

26.感謝

 


ダン小隊長:

「フォレスト...」

「命を救ってくれた礼を言うよ」


 

そう言ってダンはきれいな夕陽を背景に、まるで人魚のように自由に海へ飛び込みました。

脚を失った身体がまるでピチピチした魚のようでした。

ダンが飛び込んだ水しぶきがカメラ一面にまぶしく撒き散らされます。

とても美しい瞬間です。

そしてダンは何か満ち足りたように海中を背泳ぎで泳ぎました。

とても感動的な場面です。

 

 

 

 

 


フォレストのナレーション:「口では言わなかったが、小隊長は神と仲直りしたのだ」


 

フォレストがダンとベトナムで会ってからこれまで、全く変わらなかったダンに対する敬意は、私たちも見習わなければならない、見逃せない態度だと思います。

フォレストのそばにいると皆が癒やされるのは、相手の存在そのものを無条件で認める彼の優しい心があるからだと思います。

ダンはエビ捕り漁で成功したという理由で、フォレストに礼を言ったのではありません。

彼の自信や自尊心を取り戻す手助けをしてくれたからに違いありません。

 

 

27.母の遺言

アメリカ史は続きます。

 


TVナレーター:「フォード大統領の暗殺未遂事件です」


 

フォレストに母の様態が悪いと連絡が入ります。

フォレストは急いで母のもとに駆けつけます。

2階のベッドに主治医といっしょにいました。

 


フォレストの母:「まあ、フォレスト」

主治医:「まっすぐ背骨が伸びたな」

フォレスト:「病気なの?」

フォレストの母:

「じき死ぬのよ」

「ここに来て座って」

フォレスト:「なぜ死ぬの?ママ」

フォレストの母:

「そういう時が来たのよ。そういう時がね」

「いいわね。死を怖がらないで」

「生の一部なんだから」

「誰も逃げられない運命なの」

「私がお前のママになったように。私なりに努力したわ」

フォレスト:「最高のママさ」

フォレストの母:

「自分の運命は自分で決めるの」

「神様の贈り物を生かして」

フォレスト:「僕の運命って?」

フォレストの母:「それは自分で見つけるのよ」

「人生は『チョコレートの箱』。食べるまで中身は分からない」


 

それはフォレストの母の息子への最後のレクチャーでした。

自分の存在意義は自分で決める。

だからこそ、生気をもってエネルギッシュに生きていけるのだと思います。

はかなくして自死を選ぶ人も多くいらっしゃいます。

本人以外にそれを止めさせる権利はないのだと思います。

残されたものはつらいですが。

その代わりに...生きる選択をしてもらいたいがためにこういったヒューマンドラマが生まれるのだと思います。

きっかけや手助けや励ましを差し伸べることしかできない。

それは本人への敬意を示すことであり、運命でもあるのかなと思います。

もし当人の心がひどく侵されていて、落ち込んでいる場合、精神科の薬を服用することで自死したい感情から解き放つことはできるので、精神科医に連れて行ってほしいと思います。

 


フォレストのナレーション:「ママは何でも僕が分かるように説明した」

フォレストの母:「別れるのは悲しいわ」

フォレストのナレーション:

「ママは癌だった」

「火曜日に死んだ」

「花のついた帽子を買ってあげた」

「この話はそれだけだ」

フォレスト:「7番のバスが来ましたよ」

バス停のお婆さん:「またすぐ次のが来るわ」


 

 

 

 

そう言ってお婆さんはハンカチで涙を拭きました。

 


フォレスト:

「僕はフットボールのスターで戦争の英雄」

「有名人でエビ捕り船の船長」

「それに大学卒。市議会は僕に特別の仕事をくれた」

「小隊長との仕事はそれっきり」

「でも小隊長は僕の金をどこかのフルーツ会社に投資してくれて『一生食うに困らない』と」


 

投資先がベンチャー時代のアップルコンピュータなんですね。

 


フォレスト:「お陰で一つ心配が減ったわけです」

フォレストのナレーション:

「ママは言ってた。『必要以上の金は意味のない無駄な金』と」

「それで一部をごっそり教会へ寄付」

「一部は入り江の漁師共済病院へ」

「小隊長は僕がイカれてると言ったけど、バッバの取り分を彼のママへ」

「彼女は料理人暮らしをやめた」

「超リッチマンになった僕は無料で大好きな芝刈り」

「でも夜、何もする事がなく、誰もいない家にいるとジェニーの事を想った」


 

28.やすらぎのForest

 

フォレストは夜にジェニーの幻影をよく見るようになります。

 


フォレストのナレーション:「ある日、本物が...」

ジェニー:「やあ、フォレスト」

フォレスト:「やあ、ジェニー」


 

このシンプルな挨拶のような何気ない自然な優しさをジェニーは求めていたのでしょうか。

ジェニーはフォレストの優しさを取り込むかのように、懐かしい匂いを思い出すかのように抱きしめました。

 


フォレストのナレーション:

「ジェニーが戻ってきた」

「他に行く所がなかったのか、それとも疲れていたのか、何年も眠らなかったかのように眠り続けた」

「でも彼女が家にいる!」

「毎日散歩しながら僕はとめどもなくしゃべった」

「ピンポンの話、エビ捕り船の話、ママが天国へ行った話」

「僕がしゃべるのをジェニーは静かに聞いてた」


 

散歩先にジェニーの生家にたどり着きました。

ジェニーは履いていた靴を昔の生家に投げつけました。

そして取り憑かれたように辺りの石を何個も投げつけました。

倒れた後、ジェニーは泣き崩れました。

ジェニーは不幸の原因が家庭環境にあったとようやく知ったのです。

愛情を与えてもらえなかった家庭。

愛情飢餓感はここで生まれ、大人になってもずっと渇きっぱなしの人生。

人に依存するようになり、利用される人生。

自身の『無価値感』を払拭しようと理想像をつくりあげるも、努力は届かない。

次第に燃え尽き、『虚無感』を覚え、回避行動に移り、現実逃避に病む人生。

もう死ぬことでしか逃げられないようになってしまいました。

唯一ジェニーの中に残っていた温かみ。

それは幼い時にフォレストのそばで安心して寝たこと。

フォレストとの時々の再会と揺るがず、絶え間のない温かな手紙。

ジェニーの心の光でした。

フォレストはジェニーの傍らに優しく腰を下ろしました。

 

 

 

 

 


フォレストのナレーション:

「投げる石が足りない時もある」

「彼女の戻った理由はどうでもよかった」

「僕らはまた昔のように『豆と人参』になった」

「毎朝、僕は彼女の部屋に花を飾った」

「彼女は僕にこの世で最高の物をくれた」


 

それはバッバ=ガンプ社の帽子の色と同じ、ナイキのスニーカーでした。

 


フォレストのナレーション:

「ダンスも教えてくれた」

「ジェニーと僕は本当の家族のようだった」

「生涯で一番幸せな毎日だった」


 

ある夜、雑誌を見ているジェニーを見ているフォレスト。

ジェニーが寝るために2階の寝室へ行こうとしている所をフォレストは呼び止めました。

 


フォレスト:

「結婚しよう」

「僕はいい夫になるよ」

ジェニー:「分かってるわ」

フォレスト:「結婚はしたくない?」

ジェニー:「私なんかと」

フォレスト:

「僕を愛せないのかい?」

「僕は利口じゃないけど、愛は何かは知ってるよ」


 

それは以前にフォレストがジェニーに言われた言葉でした。

ジェニーにとって「愛」とは『もらう』ものでした。

子どもの頃からずっと、求めて求めて求め続けてきたものでした。

決してジェニーから『与える』ものではありませんでした。

ジェニーには『与える』愛がなかったのです。

人は自分を好きでないと、人に心から優しくすることはできません。

愛を『与える』ことはできません。

それは愛する唯一の資格です。

ジェニーはまだ自分の人生を受け入れていません。

まだ自分の境遇を呪っています。

人は自分の不幸をも受け入れることで初めて前に進むことができます。

自分を愛するとはそういうことです。

自分に対する『無条件の愛』『無償の愛』

そのようにして初めて自分の中の土壌から芽が出はじめて、『自我』が育ちます。

そこからたくさんの愛を人に『与える』ことができるのではないでしょうか?

ジェニーはフォレストが寝ている寝室にやってきました。

ジェニーは黙ってフォレストの横で添い寝しました。

 


ジェニー:「フォレスト、愛してるわ」


 

ジェニーとフォレストは身体を重ね合います。

次の朝、ジェニーは再びフォレストの元からいなくなりました。

ジェニーにあげた栄誉勲章を置いて。

今のジェニーにとってフォレストはあまりにも眩しすぎたのだと思います。

自身の身体しか『与える』ものがなかった。

フォレストを愛しているにもかかわらずです。

フォレストはジェニーがいなくなった寝室をじっと見つめます。

彼は何を思うのでしょうか。

幾日も考え続けます。

 

 

29.前に進むために

彼は再び走り出しました。

脚装具が取れてようやく走れるようになった幼少期。

ジェニーに挑まずに走れと言われたべトナムの戦場。

走ることが好きで『バカ』だと言われても走ってきた。

フォレストは走ることで自分を作り上げてきました。

 


フォレストのナレーション:

「その日、何の理由もなく僕は少し走りたくなった」

「道の外れまで」

「ついでに町の外れまで」

「郡の外れまで走る事にした」

「ここまで来たんだからついでに州を横断しよう」

「その通り僕はアラバマ州を横断した」

「何の理由もなく走り続けた」

「海まで」

「どうせここまで来たのだから、回れ右して走り続けよう」

「反対側の海に出ると、どうせだから、また回れ右して走った」

「疲れたら眠り、腹が減ったら何か食べた」

「もよおしたら、その辺で...」

バス停のお婆さん:「そんなに走り続けたの?」

フォレストのナレーション:

「走りながらママやバッバ、ダン小隊長の事を想った」

「そして誰よりもジェニーのことをいつも想った」

TVニュース:「今日ですでに2年、アラバマ州の庭師、フォレスト・ガンプは走り続けてアメリカ大陸を横断しています」

TVナレーター:「『走る男』フォレスト・ガンプは4回も大陸を横断。再度ミシシッピ川を渡ります」

記者A:「動機は?」

記者B:「世界平和のため?」

記者C:「ホームレス救済?」

記者D:「環境問題?」

記者E:「動物愛護?」

フォレストのナレーション:「理由もなく走る事が不思議らしい」

記者F:「なぜです?」

フォレスト:「走りたいからだよ」

フォレストのナレーション:

「走りたかった」

「僕のしてる事を見て、なぜか納得する者もいた」

一般人:

「目からうろこが落ちた」

「彼こそ何かを悟り、人生に答えを見つけた人だ」

「あなたに従います」

フォレストのナレーション:

「道連れができた」

「人数はさらに増えた」

「さらに大勢が加わった」

「僕は『人々に希望を与えた』と」

「そんな事、僕には分からない」

「でも助けを求める人はいた」

ステッカー販売の男:

「すまんが助けて欲しいんだ」

「ステッカーの販売なんだが、あんたのひらめく頭でいい文句を考えてくれないか」

「気をつけろ!犬のクソを踏んだぞ!」

フォレスト:「よくある事さ」

ステッカー販売の男:「クソを踏むのが?」

フォレスト:「仕方ない」

フォレストのナレーション:「その男はステッカーの文句を思いつき、大儲け」


 

『SHIT HAPPENS』ステッカーは1980年代、流行した車のステッカーでした。

 

 

 

 


フォレストのナレーション:

「Tシャツを商売して全財産をスッた男もいた」

「だが僕の似顔絵も描けず、カメラも持ってない」


 

トラックが水たまりを跳ねて、フォレストは泥水を被ります。

 


Tシャツ販売人:「これで拭けよ。売れないTシャツだ」

フォレスト:「いい1日を!」

フォレストのナレーション:「その男もアイデアを思いつき、大儲けしたそうだ」


 

おなじみのスマイルマークの「HAVE A NICE DAY」Tシャツですね。

 

 

 

 


フォレストのナレーション:

「とにかく話したように、道連れが増えた」

「ママは言ってた『過去を捨ててから前へ進みなさい』と」

「走ったのはそのためだ」

「僕は結局3年と2ヶ月14日と16時間走りつづけた」


 

 

 

 

フォレストは突如走るのを止めて、後続で走る人たちに言いました。

 


一緒に走ってきた人:「待て、何か言うぞ」

フォレスト:

「僕はとても疲れた」

「うちに帰る」


 

 

 

 

フォレストが逆方向に向かって帰ろうと歩いた時、モーゼが海を2つに分けたように人々は道を開けました。

 

 

 

 


一緒に走ってきた人:「俺たちは?」


 

 

 

 

 

30.胸を張って

 


フォレストのナレーション:

「こうして走る日々は終わり、アラバマへ戻った」

「ある日突然、ジェニーから手紙が『サバンナへ来て欲しい』とそれでここへ来たんです」

「僕をテレビで見て...」

「9番のバスでリッチモンド通りまで、そこで降りて左へ歩いて、ヘンリー通り1947番地のアパートです」

バス停のお婆さん:

「バスに乗る事はないわ」

「ヘンリー通りなら、あの道を少し行った所よ」

「あの道よ」

フォレスト:

「あの道?」

「ありがとう」


 

フォレストは大急ぎで走り出しました。

 


バス停のお婆さん:「幸運を祈ってますよ」


 

フォレストがジェニーのアパートの部屋のドアを開けると、とても明るいジェニーがいました。

 


ジェニー:

「フォレスト!」

「元気?入って」

フォレスト:「手紙が...」

ジェニー:「届いたのね」

フォレスト:「今ここに住んでるの?」

ジェニー:「仕事から戻って片づいてないの」

フォレスト:

「いい所だ」

「エアコンもある」


 

フォレストはお土産にチョコレートを渡しました。

 


フォレスト:「少し食べたよ」


 

このジェニーの変わりっぷりは見ていてすごいですね。

あの病んでいたジェニー。

元気さとフォレストに会えた嬉しさでいっぱいです。

涙が込み上げてきますね。

 


ジェニー:

「あなたの記事を切り抜いたのよ」

「ほらね」

「走ってるあなた」

フォレスト:

「たくさん走った」.

「ずっとね」

ジェニー:

「どう言ったらいいか...」

「今まであなたにした事を全部、許して」

「私はずっとどうかしてたのよ」


 

ジェニーの家に一人の子どもが現れました。

 


ジェニー:

「アラバマの友達よ」

「ガンプさんにご挨拶を」

男の子:「こんにちは」

フォレスト:「こんにちは」

男の子:「テレビ見てもいい?」

ジェニー:「音を低くしてね」

フォレスト:「ママなのかい?」

ジェニー:

「そうよ」

「名前はフォレスト」

フォレスト:「僕と同じ?」

ジェニー:「父親の名を付けたの」

フォレスト:「父親が僕と同じ名前?」

ジェニー:「あなたがパパなのよ」


 

ジェニーはフォレストを愛情深くじっと見つめます。

フォレストはとても驚いてたじろぎます。

 


ジェニー:

「私を見て」

「私を見て」

「あなたは何もしなくていいのよ」

「いいわね?」

「いい子でしょ?」


 

フォレストはとても心配そうにしてジェニーに尋ねました。

 


フォレスト:

「本当にすばらしい子だ」

「でも、頭はどうなの?」

「どこか...」

ジェニー:

「とても利口よ。学校でも一番」

「話をしてやって」


 

とてもジーンとくる親子、家族の場面です。

実は今まで、フォレストが幼少時代からバカにされてきても、悲しむ場面は一度もありません。

いくらお母さんの愛情をたっぷり受けていても、実際は辛かっただろうと思います。

ジェニーが何度も離れていくのも、自分の境界知能のせいにしていたにちがいありません。

人は困難があると、一点に原因を集中させます。

フォレストは境界知能ゆえ、人と分かり会えない寂しさ、孤独感があったのだと思います。

名誉やお金では心の問題は解決しないのですね。

フォレストはそっと息子の隣に座りました。

まるで兄弟のようでした。

二人は隣の部屋のリビングでTVを見ているんですね。

ジェニーがそれをドア越しに見ている映像がとてもキレイなんです。

ジェニーが優しくのぞいている感じが出ていて、とても美しいシーンなんです。

 

 

 

~PART⑤へ

 

 


③『フォレスト・ガンプ 一期一会』~あなたの大切な頑張りで誰かに復讐しようとしていませんか?~

2024-02-05 06:05:52 | 日記

 

16.戦闘

 


フォレストのナレーション:「ある日、いつものように歩いていると、突然何の訪れもなく、誰かが雨を止め、太陽が顔を出した」


 

すると、突然、部隊は敵に銃撃されました。

 


兵士:「敵はあの茂みだ!」

ダン小隊長:「本隊!こちら『リマ6』!」

兵士:「救急班!」

ダン小隊長:

「森の中から攻撃を受けてる」

「敵の武器はAKライフル銃とロケット砲」

「敵兵の数は30人前後」

「こちら負傷者多数。ブルーラインまで後退する」

「後退だ、後退しろ!」

バッバ:「フォレスト、走れ!」

ダン小隊長:「後退だ!」

バッバ:「フォレスト、走れ!」

ダン小隊長:「何してる!走れ!」


 

ダン小隊長はフォレストに後退するように体を持ち上げます。

 

 

フォレストのナレーション:

「ジェニーの言葉通り僕は走った」

「走り過ぎて独りになった。ここではマズい事だ」

フォレスト:「バッバは?」


 

フォレストは親友が心配になり、前線へ戻りました。

フォレストのナレーション:「バッバは親友だ。無事を確かめねば」

フォレスト:「バッバ!」

フォレストのナレーション:「バッバを捜しに戻る途中、倒れてる奴を見つけた」

フォレスト:「『テキサス』!」

フォレストのナレーション:

「ほったらかしには出来ない」

「彼をかつぎ上げて走った」


 

フォレストのこの行為を、人は『馬鹿だから』と解釈するかもしれませんが、私は違うと思うのです。

しっかりとした愛情で育てられた人は、他の人より日常の不安や恐れの気持ちが少ないのだと思います。

そういう人はしっかりと現実を直視できます。

そして『愛の人』はその育まれた、いいイメージを『意志』に変えて、『行動』を取ることができるのだと思います。

『行動』までしっかり導いてくれるこのイメージを心理学者ディヴィッド・シーベリーの言葉で『機能的心象』といいます。

自身が守られていると信じて疑わない人は迷いがないのだと思います。

 


フォレストのナレーション:

「バッバを助けに戻るたびに声がした」

「『フォレスト、助けてくれ』」

「バッバはどこにいるのだろう」


 

バッバを探している最中に脚が重症で動けないダン小隊長を見つけました。

ダン小隊長は無線で連絡を取り続けていました。

ダン小隊長:「敵に包囲されてる。空から掃射してくれ」

フォレストは横の兵士が死んでいるのを確認しました。

 


フォレスト:「こいつは死んでいます」


 

ダン小隊長はフォレストを跳ね飛ばし言いました。

 


ダン小隊長:

「彼だけじゃない、皆やられちまった」

「何する」

「何する!おれの事はほっとけ!」


 

フォレストは無線機とダン小隊長を切り離して、抱えあげて安全な場所まで連れて行きます。

 


無線機:「『リマ6』へ空から応援を送る」

フォレストのナレーション:「その時何かが尻を噛んだ」

ダン小隊長:

「隊を見捨てる事はできん。さっきの場所へ戻せ!」

「お前だけ早く逃げろ!」

「聞こえないのか?」

「早く俺を下ろせ!」

「お前は逃げろ」


 

ダン小隊長の先祖の戦死の想像シーンもそうですが、皆、背中から地面に倒れて後頭部を打ちます。

ここにもなにげにリフレイン効果のユーモアが発揮されていますね。

 

 

 

ダン小隊長:

「誰がおれを運べと言った?」

「どこへ行く?」

フォレスト:「バッバを」

ダン小隊長:

「空からのナパーム攻撃がある」

「ここにいろ!命令だ!」

フォレスト:「バッバを見つけなきゃ!」


 

フォレストは信念の人です。

馬鹿だから上官の命令にしたがっていたのではありません。

ちゃんと自分の意志を持っているんですね。

味方のナパーム弾が落ちようとしている所にまたフォレストはバッバを捜しに戻ります。

 


バッバ:「フォレスト...」


 

そこには瀕死のバッバが倒れていました。

 


バッバ:「おれは大丈夫だ。心配ない」


 

フォレストがバッバの腹部を見ると焼けただれていました。

 


フォレスト:「バッバ、大変だ」

バッバ:「大丈夫、助かるよ」


 

辺りからはベトナム語で喋る敵兵がうろついていました。

味方のナパーム弾攻撃が始まりました。

フォレストはバッバの巨体を抱え上げ、安全な場所に連れていきます。

 


フォレストのナレーション:「これが最後だと知っていたら、もっと何か考えて話したのに」

フォレスト:「やあ、バッバ」

バッバ:

「やあ、フォレスト」

「フォレスト、なぜこんな事に?」

フォレスト:「撃たれたのさ」

フォレストのナレーション:「それからバッバは一生忘れられない事を言った」

バッバ:「うちへ帰りたい」


 

この一言はフォレストにとって、大切な言葉として胸に刻まれます。

人は苦難が訪れると故郷に思いを寄せるのだなと悟ります。

のちにジェニーにもアラバマに戻るように言いますね。

人にはそれぞれ安寧の地、回復の場所があるのだと思います。

 


フォレストのナレーション:

「バッバは僕の親友だった」

「親友はどこにでもいるわけじゃない」

「エビ捕り船の船長になるはずが、ベトナムで死んでしまった」

「言えるのはそれだけだ」


 

バス停のベンチには中年男性に変わって座っていました。

 


中年男性:「弾丸だったのか?」

フォレスト(バス停にて):「弾丸?」

中年男性:「噛み付いた物さ」

フォレスト(バス停にて):

「そうです。僕の尻に噛み付いたんです」

「皆は『100万ドルのケガだ』って」

「金は軍隊が取ったらしく、僕は見てません」


 

 

17.ダン小隊長の絶望

 


フォレストのナレーション:

「ケガして1つよかったのは、好きなだけアイスクリームをもらえた事だ」

「それに僕の隣のベッドには友達がいた」

「ダン小隊長、アイスクリームです」

「アイスクリームですよ」


 

ダンは脚を切断し、名誉の戦死もできず、生きる意味を失っていました。

フォレストが差し出したアイスクリームを取り、尿瓶の中に捨てました。

ダンの絶望感とフォレストのアイスクリームがとても対照的ですね。

ユーモアがあるシーンですね。

脚を切断して動けなくなった様子がユーモラスに表現されています。

ダン小隊長は入浴のために介護されて連れて行かれました。

フォレストに郵便が届きます。

 


兵士:「ガンプ、ガンプ」

フォレスト:「僕です」


 

ジェニーに送った手紙が宛先人不在ですべて返送されてきました。

リラクゼーションルームで傷を癒やしているフォレスト。

松葉杖の負傷兵士が卓球を教えてくれました。

 


松葉杖の負傷兵士:

「やるか?教えてやるよ」

「ゲームに勝つコツは1つだ。何があろうと絶対に球から目を離さない事だ」

フォレストのナレーション:「僕はなぜかピンポンと性が合った」

松葉杖の負傷兵士:「ほらな、バカでも出来る」

フォレストのナレーション:「僕はピンポンに凝り、相手のいない時でも一人で球を打った」


 

尿瓶に球を次々と入れてコントロールを磨きました。

次のシーンでは負傷兵士が集まって、フォレストの球さばきを見る慰安会のようでした。

 


フォレストのナレーション:

「皆は僕の事を『水を得た魚のようだ』と」

「どういう事かな?」

「ダン小隊長まで見物に来た」


 

ダン小隊長は窓を向いて不貞腐れていました。

こういった生きる希望を失った人をこのように『雑に』ユーモラスに扱っている所にこの作品の深さが感じられます。

人の悩みが不思議とちっぽけなものに見えてきます。

お笑いもペーソスといった感情を織り交ぜると不思議な効用を見せるものですね。

 

 


フォレストのナレーション:「ピンポンにとりつかれてラケットを持って寝た」


 

真夜中、突然ダン小隊長がフォレストの首を掴み、思いをぶつけてきました。

 


ダン小隊長:

「人間には持って生まれた運命ってものがある」

「最初から決められてるんだ」

「部下と戦死すべきだったのに、俺のこのザマを見ろ!」

「両脚がないんだぞ。よく見ろ!」

「もう二度と歩けないんだぞ。貴様に分かるか?」

フォレスト:「分かります」

ダン小隊長:

「話が分かったのか?」

「貴様のせいだ!」

「俺は戦場で名誉の戦死を遂げるはずだった」

「そういう運命を貴様がぶち壊したんだ!」

「俺の話が分かるか?」

「こんな事になるはずじゃなかった」

「俺の運命じゃない」

「俺はダン・テイラー中尉だった」

フォレスト:「今だってダン中尉です」

ダン小隊長:

「俺を見ろ。どう生きればいい?」

「どう生きれば...」


 

ダン小隊長はこれから自分を見つめて受け入れることをしなければなりません。

今の彼の心はあの脚がなくなった戦場にいるままです。

現在にはまだありません。

フォレストの『今だってダン中尉です』と言った言葉が心の支えになってくれることでしょう。

フォレストが正直に言ったこういった言葉が、本当に真を捉えていて、演出の巧みさに驚かされてしまいます。

フォレストは先の戦場での仲間の救出で『栄誉勲章』を受けることとなりました。

それをダン小隊長に報告しにベッドにいきますが、彼は何も言わずすでに帰国していました。

 


フォレストのナレーション:「2週間後、僕も国へ戻った」


 

18.栄誉勲章と反戦運動

 


TVのナレーター:「叙勲式に先立ち、大統領はベトナム戦争を更に拡大する必要性を述べ、4人の兵士に栄誉勲章を...」


 

『ミセス・ロビンソン』〜サイモン&ガーファンクル〜の曲が流れ、時代を感じさせます。

式には母の姿が誇らしげに映っています。

 


ジョンソン大統領:

「祖国から感謝のしるしを...」

「負傷をしたそうだな。どこに?」

フォレスト:「ケツです」

ジョンソン大統領:

「危なかったな」

「見たいものだ」


 

フォレストは全国生中継のさなか、ズボンを降ろし大統領にお尻の傷跡を見せました。

 

 

 


ジョンソン大統領:「何て奴だ」

フォレストのナレーション:

「ママはホテルで休むと言ったので、僕は1人で首都見物に出掛けた」

「ママがいなくてよかった」

「町は見物人でいっぱいだった」

「それも大声で叫ぶ行儀の悪い連中だ」

「何を見るのも行列だった」


 

反戦運動家たちの反戦集会とデモだったのです。

皮肉にも、叙勲式を受けたあと、知らずにバスに乗せられて、フォレストは反戦集会に参加することになります。

こういった何気にトラブルに巻き込まれる所はチャップリン作品のようでもありますね。

 


反戦運動家:「負傷兵のバスが来たわ」

フォレストのナレーション:

「演説をしてる男がいた」

「アメリカの国旗のシャツを着てた」

「『F』のつく言葉を連発」

「何でもF...F...ばかり」

「彼がF言葉を言うたびに人々は大喜びした」


 

フォレストは壇上に呼ばれ、言葉を発するように求められます。

そこはワシントンD.C.リンカーン記念館のリフレクティング・プールで行われた反戦集会でした。

何万人もの大集会でした。

 


『F』の男:「前線の話を」

フォレスト:「ベトナムの話?」

『F』の男:「ベト『ファッキング』ナムだよ!」


 

『F』の男は観衆に向かって拳を突き上げます。

観衆は盛り上がり、フォレストのスピーチに注目が集まります。

 


フォレストのナレーション:「僕に言える事はたった1つ」

フォレスト:

「僕に言えることはたった1つです」

「ベトナムでは...」

「.........(マイクが切られ音声が遮断される)」

「僕の話はそれだけです」


 

突如、戦争推進派の警備の男がスピーカーの線を抜いて、スピーチを妨害します。

フォレストのスピーチは肝心なところが聴衆には聞こえませんでした。

これには撮影当時の逸話があるそうです。

 


以下

本作には、ベトナム戦争で大活躍したフォレスト・ガンプが、ひょんなことから、ワシントンD.C.のリンカーン記念館のリフレクティング・プールで行われた反戦集会の壇上でスピーチを行うシーンがある。フォレストが話そうとすると、集会に反対する軍関係者がわざとマイクのプラグを抜いて、フォレストがどんな演説を行ったのかを群衆は聞きとることが出来ないというシーンだ。しかしトム・ハンクスが後日明らかにした話では、フォレストはこのように演説を行っていたという。“ベトナムに向かった人々は、時に足を失くしてママに再会することになったり、時には家に生涯帰れなくなることさえある。それは悪いことだ。ボクが言いたいのはそれだけなんだ。”ロバート・ゼメキス監督は、脚本家のエリック・ロスが出したスピーチのアイディアがどれも気に入らず、映画に関係していない親交のある俳優達にもアドバイスをもらったが、結局、どのアイディアにも納得がいかなかったため、苦肉の策としてマイクのプラグを抜いてスピーチの内容が聞こえないようにし、映画に出てくる幻の演説シーンに落ち着いたという逸話が残っている。

~SCREEN ONLINEより~


 

『F』の男:

「すばらしい、その通りだ」

「君の名は?」

フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ」

『F』の男:「フォレスト・ガンプだ!」


 

 

19.生還の再会

 

ここでとても美しいシーンが始まります。

ジェニーとの再会です。

観衆の奥から、フォレストの名を叫ぶ女性が現れ、リフレクティング・プールに入水して歩いてきました。

 


ジェニー:「フォレスト!」

フォレスト:「ジェニー!」


 

フォレストは壇上から飛び降り、プールに入水してジェニーと再会を喜びました。

反戦運動のプラカード、当時のヒッピーの衣装を着た長髪でヒゲまみれの人々、そのような人々の真っ只中で、ジェニーと生還の再会をするシーンには涙なしには観れません。

何万人もの集会参加者が二人の再会を拍手して祝います。

圧巻のシーンです。

 

 

 


フォレストのナレーション:

「最高に幸せな一瞬だった」

「ジェニーと僕はまた豆と人参に」

「彼女は僕を案内して友達にも紹介してくれた」


 

それはブラックパンサー党の本部でした。

 


《ブラックパンサー党》

ブラックパンサー党(英: Black Panther Party、 BPP)あるいは日本語で黒豹党(くろひょうとう)は、1960年代後半から1970年代にかけてアメリカで黒人民族主義運動・黒人解放闘争を展開していた急進的な政治組織。1966年、カリフォルニア州オークランドにおいてヒューイ・P・ニュートンとボビー・シールにより、都市部の貧しい黒人が居住するゲットーを警察官から自衛するために結成された。共産主義と民族主義を標榜しており、革命による黒人解放を提唱し、アフリカ系アメリカ人に対し武装蜂起を呼びかけた。また、貧困層の児童に対する無料の食事配給や、治療費が無料の「人民病院」の建設を行った。 

~Wikipediaより~


 

フォレストは夜景を窓から見ていました。

 


ブラックパンサー党員:「白いケツめ、俺たちは戦争してんだぞ」

ジェシー:「仲間なのよ」

ブラックパンサー党員:

「いいか?黒人指導者を白ブタどもから守る戦いだ」

「奴らは黒人の女を犯し、黒人社会を潰そうとしてる」

ジェシーの恋人の党員:「こいつは?」

ジェニー:

「前に話したフォレストよ」

「ウェスリーよ」

「UCLAの反戦委員会長で私と同棲を」

ブラックパンサー党員:

「わかったか?我々は同志全員に助けの手を差し伸べる」

「我々『ブラックパンサー』は戦争反対だ」

「黒人を憎んでる国のためになぜ黒人が戦場に行くんだ?」

「前線で戦ってやっと国へ戻れば、自分の家で寝てて殺されるんだ」


 

フォレストはウェスリーがジェニーを平手打ちしたのを目撃しました。

怒りが込み上がったフォレストはウェスリーを押し倒して、何度も殴りました。

 


ウェスリー:「君をここへ連れてきたのが間違いだった」


 

フォレストはジェニーに弁解をしました。

 


フォレスト:「あいつ、君を殴った」


 

フォレスト達は本部を追い出されます。

 


ジェニー:「行くのよ」

フォレスト:「ごめんよ、ブラックパンサーたち」


 

外に出て二人は歩きます。

 


ジェニー:「彼はカッとしただけよ」

フォレスト:

「僕は君を殴らない」

「君のボーイフレンドになりたい」

ジェニー:

「...」

「軍服を着ると素敵よ」

「とてもハンサムだわ」


 

ジェニーは笑顔で微笑みます。

フォレストといると安心するのでしょうね。

自分の劣等感を刺激されないというのもあるでしょう。

ですが、しばらくフォレストといると自身の劣等感を彼に投影して嫌な気持ちになるのですね。

ジェニーは自分を受け入れることがまだ出来ていませんでした。

何か大きなものにすがりつく生き方。

今は政治思想や思想家に『依存』状態なのですね。

自分が大きく見える幻想の中にいるのだと思います。

 


フォレスト:

「最高だな」

「僕らの国の首都で君と一緒」

ジェニー:「本当に最高ね」

フォレストのナレーション:

「ジェニーと僕は話しながら一晩中歩いた」

「彼女が方々を旅をした話」

「どうやって心を広げる方法を見つけ、調和を見出したか」

「カリフォルニアにはそういうものがあるらしい」


 

『花のサンフランシスコ』〜スコット・マッケンジー〜の曲が流れます。

 


フォレストのナレーション:

「僕らだけの素晴らしい夜だった」

「終わらないでほしかった」

フォレスト:「行かないでくれよ」

ジェニー:「行かなくては...」

ウェスリー:

「ジェニー、カッとなって悪かった」

「ジョンソン・クソ大統領のせいだ!」

「殴る気はなかった」

フォレスト:

「ジェニー、君は故郷に帰るべきなんだよ」

「アラバマにね!」


 

フォレストにもジェニーは明らかに病んでいるのが分かったのだと思います。

いいえ、ジェニーを愛しているからこそ、故郷に帰って心を癒やして欲しかったのだとおもいます。

 


ジェニー:「フォレスト、私たちの道は違うのよ」


 

ジェニーはまた自身の幻影を追い求めることを選んでしまいます。

自分の価値を探しながらの辛い旅を続けます。

愛情の飢餓のため、大いなるものを求め続けます。

他人に利用される人生がしばらく続きます。

 


フォレスト:「君にこれをあげる」


 

フォレストは受け取った栄誉勲章をジェニーに渡しました。

 


ジェニー:「もらえないわ」

フォレスト:「君の言う通りにしてもらった物なんだよ」

ジェニー:「なぜ優しいの?」

フォレスト:「恋人だもの」

ジェニー:「そう、永遠にね」


 

『虚無感』でいっぱいのジェニーには、フォレストの優しさが心に染みてくるんですね。

ジェニーは帰るべき場所がどこなのか徐々に気づき始めます。

『ターン・ターン・ターン』~ザ・バーズ〜 の曲が流れ、ジェニーは出発しました。

 

 

20.ジョン・レノン

 


フォレストのナレーション:

「そのまま彼女はまた僕の前から消えた」

「ベトナムへは戻らず、僕はピンポンで共産主義と戦う事になった」

「特別奉仕隊に入って、方々で負傷兵を慰問しながらピンポンを見せた」

「腕を買われて、全米代表卓球チームへ」

「アメリカ人の中国訪問は何百万年ぶりとかで、『世界平和を担う者』などと言われた」

「でも僕はピンポンをしただけだ」

「なのに国へ戻ったら有名人になっていた」


 

TVショーにジョン・レノンといっしょに出演しました。

 


司会:

「フォレスト・ガンプさんです」

「ジョン・レノンだよ」

「中国へ行ったなんて...どんな国だった?」

フォレスト:「中国って国は人は何も持ってません」

ジョン・レノン:「何にも?」


 

フォレストはジョンに対して、『何だろうこの人』というような顔をしました。

 


フォレスト:「中国人は教会に行きません」

ジョン・レノン:「宗教もない?」

司会:「想像(イマジン)できん」

ジョン・レノン:「努力の問題さ」

フォレストのナレーション:「数年後、英国から来たその若者はファンのためにサインをしてて、何の理由もないのに誰かに撃たれた」


 

ジョンレノンの『イマジン』の歌詞そのままですね。

オマージュですね。

 


 

~『イマジン』(IMAGINE)  by ジョン・レノン~

 

♫ Imagine there's no countries
想像してごらん 国なんて無いんだと


♫ It isn't hard to do
そんなに難しくないでしょう?


♫ Nothing to kill or die for
殺す理由も死ぬ理由も無く


♫ And no religion too
そして宗教も無い


♫ Imagine all the people
さあ想像してごらん みんなが


♫ Living life in peace
ただ平和に生きているって...

 


 

 

 


21.ダン小隊長の生活

 

フォレストが収録スタジオから出ると、何とダン小隊長が車椅子で待ち構えていました。

 


ダン小隊長:「議会から栄誉勲章をもらったそうだな」

フォレスト:

「ダン小隊長だ」

「ダン小隊長!」

ダン小隊長:「聞いたぞ。議会から栄誉勲章を?」

フォレスト:「もらいました」

ダン小隊長:

「あきれたな。お前なんかに?」

「テレビに顔を出して、全国民の前でトボけた事をしゃべるお前に、栄誉勲章だと」

フォレスト:「そうです」

ダン小隊長:

「あきれてものが言えんよ!」

「いや、一つだけ言おう」

「こんな国、クソ食らえだ!」


 

去ろうとするダン小隊長は、スロープに残った雪に車椅子がすべって倒れてしまいます。

ダン小隊長は、名誉のために生きてきた男です。

フォレストが勲章を受けたのを聞いて、悔しくて絡んできたのですね。

そのまま、フォレストはしばらくダン小隊長の世話をします。

 


フォレストのナレーション:「小隊長はホテル住まいで、脚がないのでもっぱら腕を強くする運動をしていた」


 

想像するに、酒をあおる腕の仕草の事だと思われます

 


フォレスト:「このニューヨークで何を?」

ダン小隊長:「政府のお乳を吸ってんのさ」

フォレスト:「僕は小隊長とクリスマスを祝った」

TV:「皆さんに神の祝福を!」

ダン小隊長:「キリストを見つけたか?」

フォレスト:「見つかるんですか?」


 

ダン小隊長は苦笑して答えます。

 


ダン小隊長:

「手足を失った兵隊が病院で話すのはその事だけさ」

「キリストが何とか、キリストがどうとか」

「『お前は彼を見つけたか?』」

「牧師まで俺の所に現れた」

「『神は祈りを聞き給うが自分の努力も必要だ』」

「『神を受け入れれば、神と共に神の王国を歩ける』とな」

「そう言いやがった!」

「『歩ける』『神の王国を歩ける』と言いやがった」

「ケツにキスしやがれ。何が『祈りを聞き給う』だ」

「ペテンだ!」

フォレスト:「僕は天国へ行きます」

ダン小隊長:「その前にひとっ走りして酒を買ってこい」

フォレスト:「イエス、サー」


 

大晦日の夜でした。

二人はバーへ酒を飲みに行きます。

 


ダン小隊長:「入り江に何があるんだ?」

フォレスト:「エビ捕り船です」

ダン小隊長:「エビ捕り船?それがどうした?」

フォレスト:

「金を貯めて1隻買うんです」

「ベトナムでバッバと約束を」

「戦争が終わったら彼が船長で僕が一等航海士になるって」

「彼は死んだから僕が船長です」

ダン小隊長:「エビ捕り船の?」

フォレスト:「そうです。約束は約束です」


 

ダン小隊長は大笑いして叫びました。

 


ダン小隊長:

「皆、聞いたか?」

「ガンプ上等兵がエビ捕り船の船長だとさ!」

「お前が船長になる日が来たら、俺が一等航海士だ」

「お前が船長になったら、おれは宇宙飛行士になる!」

ダンの知り合いの女性:「誰なの?」

フォレスト:「僕はフォレスト・ガンプ」

ダン小隊長:「ズル賢いカーラと長いアンヨのレノーラだ」

カーラ:

「しばらく顔を見なかったわね」

「クリスマスに無料でターキーを食べられたのよ」

「珍客が来てたもんでね」

レノーラ:

「あたしたちもタイムズ・スクエアに行ったの」

「新年って大好き。またやり直せる」

「心を入れ替えてね」


 

何気なセリフですが、いい言葉ですね。

人は何度も失敗や過ちを犯しても、何度だってやり直せるんですね。

限界を決めるのは自分自身ですね。

 


フォレストのナレーション:

「この騒ぎの中で僕はジェニーの事を考えた」

「彼女は大晦日の夜をカリフォルニアで?」


 

彼女の生活はさらに荒んでいました。

コールガールのような服を着て、男の部屋を出ていくジェニーのシーンが挟まれます。

 


フォレスト:「新年おめでとう!」


 

ダン小隊長は車椅子なので他の人より少し背が低いんですね。

バーのカウンターから頭だけが見えています。

色とりどりの紙くずが呆然と『空虚感』に襲われたダン小隊長の頭の上に掛けられた様が私達に悲愴感を漂わせています。

 

 

 

ダン小隊長のホテルに戻り、4人はそれぞれカップルになりますが、フォレストはレノーラを拒否して、倒してしまいます。

 


レノーラ:

「何すんのよ、バカ!ひどいわ」

「戦争でアレを飛ばされたの?」

カーラ:「あいつはバカなの?」

ダン小隊長:

「何だと?」

「『バカ』と呼ぶな!」


 

ダンはカーラを突き飛ばしました。

 


ダン小隊長:
「『バカ』と呼んだら許さんぞ!とっととうせろ!」

「メス豚どもめ!」

「出てけ!」


 

ダンは勢い余って車椅子から出て、無様に倒れてしまいます。

それを見た女たちは嘲笑し、罵声を浴びせて出ていきました。

フォレストは手を貸そうとしますがダンは拒否しました。

 


フォレスト:

「せっかくの夜をすみません」

「あの女、タバコの味で...」

フォレストのナレーション:

「人にはそれぞれ嫌いなものがある」

「小隊長は『障害者』という言葉。僕は『バカ』という言葉だ」

ダン小隊長:「新年おめでとう、ガンプ」


 

この時からフォレストはダンに受け入れられたのだと思います。

 

22.ピンポン外交

そして、フォレストはまた大統領と会うことになりました。

本作品はアメリカ史の紹介でもあります。

 


TVナレーター:「ニクソン大統領が卓球チームを激励」

フォレストのナレーション:

「卓球チームがホワイトハウスに招待された」

「それで僕はまた行った」

「そしてまた合衆国大統領に会った」

「今度は安いホテルだった」


 

 

 

『雨にぬれても』〜B.J.トーマス〜の曲が流れます。

 


ニクソン大統領:「首都訪問を楽しんでるかね?」

フォレスト:「イエス、サー」

ニクソン大統領:「ホテルは?」

フォレスト:「アボットホテルです」

ニクソン大統領:「新築のいいホテルがある」

フォレスト:「そっちへ移りたまえ」


 

それはあの有名なウォーターゲート事件のあったホテルです。

 


《ウォーターゲート事件》

ウォーターゲート事件(ウォーターゲートじけん、アメリカ英語: Watergate scandal)とは、1972年に起きたアメリカ合衆国の政治スキャンダル。1972年6月17日にワシントンD.C.の民主党本部で起きた中央情報局(CIA)工作員による盗聴侵入事件に始まった、1974年8月9日にリチャード・ニクソン大統領が辞任するまでの盗聴、侵入、裁判、もみ消し、司法妨害、証拠隠滅、事件報道、上院特別調査委員会、録音テープ、特別検察官解任、大統領弾劾発議、大統領辞任のすべての経過を総称して「ウォーターゲート事件」という。

~Wikipediaより~


 

ホテル従業員:「警備係ですが...」

フォレスト:

「向かいのビルに電気屋をやった方がいい」

「ヒューズが飛んだらしい」

「懐中電灯の光で眠れないんだよ」

「よろしく」


 

部屋の机には『ウォーターゲートホテル』と書いてありました。

 


TVのニクソン大統領:

「私は合衆国大統領を辞任します」

「フォード副大統領が明日、この執務室で大統領の宣誓を行います」


 

 

~PART④へつづく