デンマークの平均的酪農農家はホルスタイン種の乳牛を、120haの農地で180頭飼育する。4月から11月までの日中は野外飼育であり、12月から3月までは1日中、舎飼いである。労働者は家族夫婦2人だが、事情によっては労働者1人2人を雇う場合もある。
デンマークの牛乳生産量推移
日本では消費の減少と乳価の下落により、国全体の生産量が低下した。デンマークではクオータ制(割当制度)があるため、国全体の生産量は微増傾向にある。
デンマークでは乳牛の管理が行き届き、1頭当たりの牛乳生産量が増加した。乳牛の飼育頭数は減少傾向にあっても、牛乳の生産量は減らない。
経営規模の拡大
年間2,000トン以上を売る農家が増加した。乳牛1頭から年間10トンの牛乳を搾るから、200頭以上を飼育する農家が急増したことになる。大規模化によるコストダウンを考えてのことである。小規模農家は農地を大規模農家に売却するか、家畜の飼育をやめるか、になる。近年、家畜を飼育する混合農業は減り、穀物栽培に集中する農家が増加している。
酪農経営のためには農業系大学で専門知識を学び、経営資源全部を親から買い取らなくてはならない。最近は、酪農の知識がなくても、酪農のプロを雇って農地を買い集めて大規模に酪農を始める農家が増えている。
デンマークのチーズの輸出
デンマークの年間チーズ生産量は30万トン、輸出量は26万トンである。酪農は協同組合主導による輸出指向型農業である。
デンマーク国民1人当たり牛乳生産量は世界第3位である。日本は55位で、牛乳の生産過剰が指摘されている。デンマークでは牛乳をチーズに加工輸出する。