地理総合の研究 付2018年センター地理AB本試・追試解説 

「地理講義」の続き。「地理総合」に「2018年センター試験地理AB本試・追試の問題と解答解説」を追加。

14.スイスの移牧 地理総合

2019-01-28 18:52:12 | 地理講義

スイスの移牧とは乳牛を、冬は山麓の畜舎で乳牛を飼育し、夏には高地の牧場alpで飼育する。6月には山麓の畜舎から、高地の牧場まで牛を移動させる。Alpaufzugとは、山麓から高地の牧場への上りの移動である。9月には高地から山麓までの移動があり、Alpabzugといわれる。

アルプアウフツーク(Alpaufzug)
スイスで乳牛を山麓の畜舎から高地の牧場まで、6月に乳牛を追い上げる。この乳牛の上り行列がAlpaufzugであり、その牛の行列を見るために多くの観光客が集まる。
山麓の乳牛飼育農家が、高地の共同経営牧場に乳牛を移動させる。家族と牧夫とで乳牛を一般道路から山道へ、そして牧場に追い上げる。その平均的な牛の数は100頭、高度差は500m、距離は5kmである。牛にとって上り道は過酷である。子牛や妊娠中のメス牛は、トラックや山岳鉄道で移動させることになる。
牧夫は酪農一家で雇い入れた労働者であり、通常は3,4人である。山麓の畜舎でも高地の牧場でも重要な働き手だが、長時間の重労働のために牧夫は減り、ドイツ人などの外国人牧夫が増えている。
6月に乳牛を高地牧場に移動させて、9月には高地牧場から山麓の畜舎に下る。この帰り道の牛の行列がAlpabzug(アルプアプツーク)である。着飾った牛を見るために大勢の観光客が沿道に押し寄せる。
乳牛の移動休憩地である中間放牧地を使う農家は少ない。多くの農家は高地牧場と山麓の舎との上り下りを一気に行い、中間放牧地を利用しないようになった。

高地牧場Alp
山麓酪農農家の共同経営の高地牧場であり、6月から9月まで、農家と牧夫とが乳牛を飼育する。日の出とともにアルプ小屋では搾乳を始める。小屋での搾乳終了後は牧場での放牧、チーズの製造、草刈りと干し草つくりと忙しい。
牛乳はチーズに半分を使い、残り半分は子牛に飲ませる。チーズ作りは牧場を訪れる観光客に牧場チーズ(Alp cheese)として販売する。新鮮な牧草を食べた牛の牛乳であり、低温殺菌していないのでチーズの評判は良い。

 チーズの製造
高地牧場のチーズ小屋で生産されるアルプスチーズよりも、山麓の工場で生産されるチーズの方が、数量が多く、経済的に重要である。アルプスチーズの売れ残りも山麓で販売される。高地でつくられた干し草も山麓に運ばれ、冬の餌となる。
山麓の工場では熟成温度・湿度・pHを調整して様々の種類のチーズを生産する。グリュエールチーズやエティヴァチーズが有名である。チーズは観光用には高地牧場のチーズ小屋でアルプスチーズが生産されるが、本格的なチーズ工場は山麓にある。なお、冬季の限定生産のチーズとしてヴァシュラン・モン・ドール・スイスがある。

 

 


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