内分泌代謝内科 備忘録

内分泌代謝内科臨床に関する論文のまとめ

2022/02/05

2022-02-05 07:50:06 | 日記
プランマー病(thyroid autonomy) の疫学についての総説
Exp Clin Endocrinol Metab 1998; 106: S16-22

functional thyroid autonomy (FTA) の 9 割は長期にわたって甲状腺機能正常である。ヨウ素欠乏地域では、甲状腺結節の 1割以上は FTA であり、ヨウ素充足地域では 1割以下である。

40歳以上では甲状腺機能亢進を認める頻度が高くなる。年齢の他、腫瘍の大きさや数が甲状腺機能亢進と関連する。

数十年以上ヨウ素が欠乏した状態にあり、急に生理量を越えたヨウ素を摂取した場合は甲状腺機能亢進になり得る。ヨウ素欠乏地域の甲状腺機能亢進症のおよそ半分が FTA によると言われている。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9867190/

autonomously functioning thyroid nodule (AFTN) 1572症例についての後ろ向き観察研究
Minerva Enfocrinol 1993; 18: 147-154

診断時の平均年齢は 41歳で、女性に多い(男女比 1:5.3)。臨床的な甲状腺機能亢進症となるのは 17%に過ぎず、40歳台以上の男性に多い。

Fumarola A, Sciacchitano S, Danese D, Andreoli M. Il nodulo autonomo. Aspetti clinici [The autonomous nodule. Clinical aspects]. Minerva Endocrinol. 1993 Dec;18(4):147-54. Italian. PMID: 8190054.

AFTN 49症例についての後ろ向き観察研究
Thyroid 1998; 8: 871-880

73.5%が診断時に甲状腺機能亢進症(多くは潜在性)を認めた。24.4%は経過観察中に甲状腺機能亢進症を認めた。甲状腺中毒症は 12.2%で認めた。甲状腺中毒症の有無は腫瘍の大きさと関連していた。

やはり、AFTN の 8-9割は潜在性甲状腺機能亢進症で、症候性のものは少ないよう。


シチリア島北部のヨード充足地域と欠乏地域で AFTN の有病率を比較した疫学研究
J Clin Endocrinol Metab 1983; 56: 283-287

ヨード欠乏地域ではヨード充足地域に比べて AFTN が有意に多い (4.4% v.s. 2.7%)

有意なのかもしれないけど、大した差ではない。あと、AFTN は思った以上に多い。

https://scholar.google.com/scholar?hl=ja&as_sdt=0%2C5&q=autonomously+functioning+thyroid+nodules&oq=autonomously+#d=gs_qabs&u=%23p%3DndxaMCNa3BMJ