2012年6月7日、国会事故調で参考人として出席した東電清水元社長は、重要免震棟の存在について「あれがなければと思うとぞっとする」という発言を行った。
恐ろしい発言だ。
が、さりげない発言であったためか殆どニュースにはなっていない。免震重要棟は2010年7月に完成している。事故のわずか8ヶ月前だ。本当の運が良かったとしかいいようがないだろう。この運の良さがなければ、福島からの全員撤退首都圏3000万人への避難勧告は現実のものとなっていたかも知れない。
また全員撤退問題について『第1原発では最悪の場合10人ほどを残して退避することが検討されていた』ことも明らかになった。(これは委員会側からの発言だったような気もするが)。国会事故調は東電側の主張を認め全員撤退は無かったと判断しているようだが『10人ほど』で最悪の状況に対して一体どのような対応が可能だったのだろうか。実質的には全員撤退と変わるところが無かったのではなかろうか。
以下、目についた記事。国会事故調での安全対策に対する斑目委員長の発言や、以下の記事を見ると今回の原発事故はやはり『人災』なのだろう。安全に対しても国民も含めみんなが『ゆでガエル』状態だったのか。
産経web---『全電源喪失、「対策不要」業界に作文指示、指針改定見送り 放射能漏れ 産経新聞 6月4日(月)11時39分配信』
『東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が平成4年、対策が不要な理由を文書で作成するよう電力業界側に指示し、東電が作成した文章をほぼ丸写しした報告書をまとめ、安全指針の改定を見送っていたことが3日、分かった。安全委は事実関係を隠蔽(いんぺい)してきたが、国会事故調査委員会が受理した同部会の内部資料で判明。規制当局側が業界側と癒着し、不適切な指針を容認してきた実態が明らかになった。
この作業部会は「全交流電源喪失事象検討ワーキンググループ」。海外で全電源喪失の事例が起きたことを受けて3年に設置され、有識者の専門委員のほか東電、関西電力、日本原子力研究所(当時)の外部関係者が参加した。
長時間の全電源喪失は原発の過酷事故につながる重大事態だが、2年に策定された国の安全設計審査指針は「長時間(30分程度以上)の全電源喪失は考慮する必要はない」としており、作業部会はこの妥当性について非公開の会議を開き検討した。
会議では、全電源喪失対策を指針に盛り込むことについて、関電が「指針への反映は行き過ぎ」、東電が「(過酷事故の)リスクが特に高いとは思われない」と反発。新たに対策が必要になると設備などでコストが増えるためとみられる。
これに応じる形で作業部会は4年10月、当時の安全委事務局だった科学技術庁原子力安全調査室経由で、東電と関電に「今後も長時間の全電源喪失を考えなくて良い理由を作文してください」と文書で指示。規制当局の安全委が、規制方針にかかわる文書作成を業界側に丸投げした格好だ。
これに対し東電は同年11月、「わが国の原発は米国の基準に比べると設計の余裕があり、十分な安全性が確保される」などと回答。報告書案にほぼそのまま盛り込まれ、5年6月に「重大な事態に至る可能性は低い」とする最終報告書が作成され、指針の見直しは見送られた。
安全委は福島第1原発事故を受け昨年7月、作業部会の議事などを公表し、関連資料はすべてホームページで公開したとしていた。しかし、全電源喪失の対策が不備だった経緯を調査している国会事故調が今年に入って、業界側とのやりとりを示す内部資料が隠蔽されている可能性を安全委に指摘、提出を求めていた。
原発の全電源喪失 原発に送電線経由で送られる外部電源と、ディーゼル発電機などの非常用電源がともに失われる緊急事態。国の安全設計審査指針では国内の原発で発生しても30分程度で復旧するとされ、長時間の発生は考慮する必要はないとされていた。しかし、東京電力福島第1原発事故で長期間にわたり発生し、原子炉の冷却機能が失われ炉心溶融などの深刻な事態を招いた。』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120604-00000533-san-soci
毎日web---『<保安院>全電源喪失の恐れ スマトラ受け東電に指摘 5月15日(火)11時30分配信』
『経済産業省原子力安全・保安院が06年、04年のスマトラ沖大地震を受け、原発が津波で全電源喪失する恐れを東京電力に指摘していたことが分かった。保安院の担当者は「この時点で何か対応していれば福島第1原発事故を防げた可能性もある」としている。15日、閣議後の記者会見で枝野幸男経産相が明らかにした。
保安院によると、保安院は06年1月、原子力安全基盤機構や東電など電力会社とともに内部の勉強会を開催。スマトラ沖大地震による津波でインドの原発が、原子炉の熱を海に逃がす海水ポンプの機能喪失で停止したため、国内の原発への影響や対策を検討。同年8月、想定を超える津波による浸水で全電源喪失や、福島第1原発で海水ポンプが使用不可能になる危険性が指摘された。
しかし、東電は想定外の津波を視野に入れなかった。今月14日の国会の事故調査委員会で東電の勝俣恒久会長は「経営陣に伝わっておらず対策の検討はしていない」と述べた。【岡田英、奥山智己】』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120515-00000035-mai-soci
毎日web---『福島第1事故:放出の放射性物質は90万テラベクレル 毎日新聞 2012年05月24日 21時35分(最終更新 05月24日 23時35分)』
『東京電力は24日、福島第1原発事故で放出された放射性物質の総量(ヨウ素換算)は推定約90万テラベクレル(テラは1兆倍)と発表した。東電が総放出量を公表するのは初めて。2、3号機からの放出が約4割ずつと大半を占め、福島県飯舘村など北西方向に汚染が広がった昨年3月15?16日の2日間で、全体の約3分の1の34万テラベクレルが放出されたとしている。
事故直後の3月12?31日に原発周辺で計測された大気、土壌、海水中の放射性物質濃度から総放出量を逆算。格納容器の圧力変化や建屋爆発、格納容器内の気体を逃がすベント(排気)などの時刻と突き合わせて、どの原子炉からいつ、どれだけの放出があったかを推定した。
解析によると、2号機の圧力抑制室の圧力が急低下した15日、2号機から16万テラベクレルが放出。14日に水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋から大量の白煙が上った16日には3号機から18万テラベクレルが放出された。』
http://mainichi.jp/select/news/20120525k0000m040107000c.html
読売online---『原子力機構、HPで女性を「放射性物質」…削除 (2012年6月5日11時40分 読売新聞)』
『独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)の東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所のホームページに、「放射性物質」などの用語を女性が怒る様子に例える記述があり、苦情が相次いでいたことがわかった。
ホームページを運営する機構は4日、「誤解を招く表現があった」として該当部分を削除した。
削除されたのは、原子力に関する専門用語を分かりやすく説明するために開設しているコーナー。夫婦げんかをしている女性の様子のイラストを掲げ、「奥さんの“怒鳴(どな)り声”が『放射線』」「怒鳴り声を上げてしまうような奥さんの“興奮している状態”が『放射能』」「怒って興奮している奥さんそのものが『放射性物質』」と記述していた。』
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120605-OYT1T00448.htm?from=main5
→全く危機感のない意識が伝わってくるが、結構解り易いたとえに見える。女性からは顰蹙をかいそうだが。
恐ろしい発言だ。
が、さりげない発言であったためか殆どニュースにはなっていない。免震重要棟は2010年7月に完成している。事故のわずか8ヶ月前だ。本当の運が良かったとしかいいようがないだろう。この運の良さがなければ、福島からの全員撤退首都圏3000万人への避難勧告は現実のものとなっていたかも知れない。
また全員撤退問題について『第1原発では最悪の場合10人ほどを残して退避することが検討されていた』ことも明らかになった。(これは委員会側からの発言だったような気もするが)。国会事故調は東電側の主張を認め全員撤退は無かったと判断しているようだが『10人ほど』で最悪の状況に対して一体どのような対応が可能だったのだろうか。実質的には全員撤退と変わるところが無かったのではなかろうか。
以下、目についた記事。国会事故調での安全対策に対する斑目委員長の発言や、以下の記事を見ると今回の原発事故はやはり『人災』なのだろう。安全に対しても国民も含めみんなが『ゆでガエル』状態だったのか。
産経web---『全電源喪失、「対策不要」業界に作文指示、指針改定見送り 放射能漏れ 産経新聞 6月4日(月)11時39分配信』
『東京電力福島第1原発事故の原因となった長時間の全電源喪失について、国の原子力安全委員会の作業部会が平成4年、対策が不要な理由を文書で作成するよう電力業界側に指示し、東電が作成した文章をほぼ丸写しした報告書をまとめ、安全指針の改定を見送っていたことが3日、分かった。安全委は事実関係を隠蔽(いんぺい)してきたが、国会事故調査委員会が受理した同部会の内部資料で判明。規制当局側が業界側と癒着し、不適切な指針を容認してきた実態が明らかになった。
この作業部会は「全交流電源喪失事象検討ワーキンググループ」。海外で全電源喪失の事例が起きたことを受けて3年に設置され、有識者の専門委員のほか東電、関西電力、日本原子力研究所(当時)の外部関係者が参加した。
長時間の全電源喪失は原発の過酷事故につながる重大事態だが、2年に策定された国の安全設計審査指針は「長時間(30分程度以上)の全電源喪失は考慮する必要はない」としており、作業部会はこの妥当性について非公開の会議を開き検討した。
会議では、全電源喪失対策を指針に盛り込むことについて、関電が「指針への反映は行き過ぎ」、東電が「(過酷事故の)リスクが特に高いとは思われない」と反発。新たに対策が必要になると設備などでコストが増えるためとみられる。
これに応じる形で作業部会は4年10月、当時の安全委事務局だった科学技術庁原子力安全調査室経由で、東電と関電に「今後も長時間の全電源喪失を考えなくて良い理由を作文してください」と文書で指示。規制当局の安全委が、規制方針にかかわる文書作成を業界側に丸投げした格好だ。
これに対し東電は同年11月、「わが国の原発は米国の基準に比べると設計の余裕があり、十分な安全性が確保される」などと回答。報告書案にほぼそのまま盛り込まれ、5年6月に「重大な事態に至る可能性は低い」とする最終報告書が作成され、指針の見直しは見送られた。
安全委は福島第1原発事故を受け昨年7月、作業部会の議事などを公表し、関連資料はすべてホームページで公開したとしていた。しかし、全電源喪失の対策が不備だった経緯を調査している国会事故調が今年に入って、業界側とのやりとりを示す内部資料が隠蔽されている可能性を安全委に指摘、提出を求めていた。
原発の全電源喪失 原発に送電線経由で送られる外部電源と、ディーゼル発電機などの非常用電源がともに失われる緊急事態。国の安全設計審査指針では国内の原発で発生しても30分程度で復旧するとされ、長時間の発生は考慮する必要はないとされていた。しかし、東京電力福島第1原発事故で長期間にわたり発生し、原子炉の冷却機能が失われ炉心溶融などの深刻な事態を招いた。』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120604-00000533-san-soci
毎日web---『<保安院>全電源喪失の恐れ スマトラ受け東電に指摘 5月15日(火)11時30分配信』
『経済産業省原子力安全・保安院が06年、04年のスマトラ沖大地震を受け、原発が津波で全電源喪失する恐れを東京電力に指摘していたことが分かった。保安院の担当者は「この時点で何か対応していれば福島第1原発事故を防げた可能性もある」としている。15日、閣議後の記者会見で枝野幸男経産相が明らかにした。
保安院によると、保安院は06年1月、原子力安全基盤機構や東電など電力会社とともに内部の勉強会を開催。スマトラ沖大地震による津波でインドの原発が、原子炉の熱を海に逃がす海水ポンプの機能喪失で停止したため、国内の原発への影響や対策を検討。同年8月、想定を超える津波による浸水で全電源喪失や、福島第1原発で海水ポンプが使用不可能になる危険性が指摘された。
しかし、東電は想定外の津波を視野に入れなかった。今月14日の国会の事故調査委員会で東電の勝俣恒久会長は「経営陣に伝わっておらず対策の検討はしていない」と述べた。【岡田英、奥山智己】』
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120515-00000035-mai-soci
毎日web---『福島第1事故:放出の放射性物質は90万テラベクレル 毎日新聞 2012年05月24日 21時35分(最終更新 05月24日 23時35分)』
『東京電力は24日、福島第1原発事故で放出された放射性物質の総量(ヨウ素換算)は推定約90万テラベクレル(テラは1兆倍)と発表した。東電が総放出量を公表するのは初めて。2、3号機からの放出が約4割ずつと大半を占め、福島県飯舘村など北西方向に汚染が広がった昨年3月15?16日の2日間で、全体の約3分の1の34万テラベクレルが放出されたとしている。
事故直後の3月12?31日に原発周辺で計測された大気、土壌、海水中の放射性物質濃度から総放出量を逆算。格納容器の圧力変化や建屋爆発、格納容器内の気体を逃がすベント(排気)などの時刻と突き合わせて、どの原子炉からいつ、どれだけの放出があったかを推定した。
解析によると、2号機の圧力抑制室の圧力が急低下した15日、2号機から16万テラベクレルが放出。14日に水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋から大量の白煙が上った16日には3号機から18万テラベクレルが放出された。』
http://mainichi.jp/select/news/20120525k0000m040107000c.html
読売online---『原子力機構、HPで女性を「放射性物質」…削除 (2012年6月5日11時40分 読売新聞)』
『独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)の東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所のホームページに、「放射性物質」などの用語を女性が怒る様子に例える記述があり、苦情が相次いでいたことがわかった。
ホームページを運営する機構は4日、「誤解を招く表現があった」として該当部分を削除した。
削除されたのは、原子力に関する専門用語を分かりやすく説明するために開設しているコーナー。夫婦げんかをしている女性の様子のイラストを掲げ、「奥さんの“怒鳴(どな)り声”が『放射線』」「怒鳴り声を上げてしまうような奥さんの“興奮している状態”が『放射能』」「怒って興奮している奥さんそのものが『放射性物質』」と記述していた。』
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120605-OYT1T00448.htm?from=main5
→全く危機感のない意識が伝わってくるが、結構解り易いたとえに見える。女性からは顰蹙をかいそうだが。