技術士(総合技術監理・機械部門)のブログ

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運動のシミュレーション1

2007-10-07 17:04:21 | 工学
Scilabの準備も整い,動的解析について学習していく
タイトルは 運動のシミュレーションであるが特に意図はしていない

1 序章
工学において,特にエンジニアにおいて通常重要なのは材料力学である
材料の種類の知識も必要であるが,材料の強度がわからなけらば設計の仕事はできない
ところが大学から来た新人は,得てして材力を忘れている
材力はそんなに難しくないし,逆に複雑な構造計算は手計算ではできないので有限要素法などに頼る事に成る
しかし,大まかな強度チェックなど材力なしには設計は進まない
機械の設計となると,次には機械要素の知識が必要である
ベアリング,軸,はめあい,キーなどの知識であるが,これも材力の基礎がわかれば問題ない
そして,最後に出てくるのは機械力学の知識である
モータにより機械は動く,動力と運動の関係,力,トルクなどの関係がわからなければならない.通常の動力設計もエクセルシートなどで簡単に設計できる
必要に応じ,振動力学の出番となり,さらに制御系の設計問題となる.

これから扱うのは,運動から振動,制御への展開をScilabを使って学習してみるという試みである.前回にお断りしているように,自分のおさらいも含めたものであるため,内容について上記振動力学等の体系を網羅するものではない.ご質問などがあれば,コメントいただければ回答はさせていただくが,適切な対応が出来るかどうかわからないので予めご了解いただきたい.

2 モデル
 シミュレーションするためには,対象がなくてはならない.ここで言うモデルとは数学モデルのことであり,模型や実物のことではない.実物の動きを動力学的に表現したものである.制御のためには,少々古いが「計測と制御」Vol.37 No.4 木村英紀先生による「制御とモデル」pp228-234(1998)の考え方で,実体駆動形モデリングとデータ駆動形モデリングというモデルが考えられるが,ここでは前者の考え方をモデルとして扱う事にする.後者の例は,データ列が出てくる対象があり,その入出力関係がデータとして与えられる場合に,それをモデルとして扱うことが可能であるため,モデルと呼ぶが,内部状態がわかるようなモデル=前者のモデルをここでは扱う.
 また,実体駆動形でもモデルということは,不確かさ,複雑さ,非線形などの制約により,モデルを近似することがある.実体がある機械であっても,摩擦などによる不確かさや,構造の複雑さ,重力による非線形などがどうしても入り込む.しかし,それらの要素が支配的になる場合は,それの解析を部分的に行うことで設計は出来る場合がほとんどであり,現象のシミュレーションとしては線形で,まず確認することは常識であり,それで設計はほとんど完了し,実際の現象もそれで説明できることが多い.という考え方から,モデルとしては まず,線形であるものを扱う.
 一方,解析する領域としては,周波数領域と実時間領域とで解析する.制御系,振動系の場合,どちらの解析も重要であるが,シミュレーションとしては時間領域ということになるので,解析とシミュレーションの意味はそんなところで解釈したい.

1回目はここまで