
鼻持ちならぬ右翼偏向主義者というイメージの著者だが、作品は別物であろうという根本的テーゼが私にはある。事実、学者として、翻訳家として、また物書きとして、多彩に活躍するところを見れば、その豊かな教養と才能は多くの人が認めているのだろう。(それだけに、某雑誌や某新聞での偏向言説に首を傾げるわけだが)
本作は、漢詩に凝縮された日本神話・古代史を解説するものであり、もはや翻案の域を出て、著者の紡いだ歴史物語のようでもある。
天皇家や藤原家の世継ぎ争い。いまでいう近親相姦。これらも美化せず物語っており、本書においては右翼偏向の臭みは気にならなかった。
大いに想像力で補完されてはいるが、著者はヒストリーとストーリーは表裏一体であるという。それで私は腑に落ちた。著者のスタンスにである。
南京大虐殺はなかった、などというのは彼の書くヒストリー=ストーリーなのである。そういうストーリーに需要があるからだろう。
とすると、某雑誌・某新聞は、ある意味で歴史小説を掲載していると考えてよい。そうすれば、呆れ、怒りも和らぐ。
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