副題“アメリカ陸軍史上、最も勇敢だった日系人部隊の魂の物語”とある。知られざる戦史にスポットライトを当てたドキュメントかと思いきや、小説である。『小説風だから読みやすいよ』と出張先で上司に渡された。
私は私で積ん読のものを消化すべく幾つかを持参していたので、あまり予定外の読書はしたくなかった。しかも本書は600ページ近い厚さである。とはいえ断るわけにはいかない。私自身、経験があるが、勧めたものを読んでもらえないと非常に残念である。それに、日系人部隊が大戦中にどんな苦労をし、また何故に勇敢に戦い得たかは知りたかった。
持参のものは諦めて、私は出張先での余暇時間をこの本に集中させた。
序盤は良かった。真珠湾攻撃での衝撃的な展開、苦境に立たされる日系人、それゆえに熱烈に兵隊に志願する若者たち。
しかしその難しい立場にあって苦闘した彼らの戦記も、結局はアクション映画のように、無内容で陳腐な描かれ方をしてしまい、読んでいてまったく作中人物たちの顔が見えなかった。小説というよりはB級映画の台本でも読んでいるみたいだった。
頭を使わずに流し読みできてしまうから、楽である。エンタメである。しかしエンタメにしてしまう題材ではないはずだ。ここ最近、質の高いドキュメントや戦記文学を読んでいたので、目が肥えた悪いタイミングで読んでしまった。
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