当初、あーしよう、こーしようと親バカな計画をした私だったが、そうそう自分の思惑通りにも進まず、育児書も読んだのは最初の頃だけで、いまではその日その日をやりくりしている状態である。
これではまずいのではないか。という不安はあった。それに拍車をかけるように、二歳を過ぎると言うことを聞かなかったり、ひどいわがままをするようになった。
叱るべきか、どう対応すれば良いのか。ふとAmazonで検索して見つけた本書はズバリ、副題にこう謳っていた。
《3歳までは思いっきり甘えさせなさい》
注文した。とことん甘えさせて良いというなら、エネルギーは使うが、こちらも面白いではないか。子供の泣き声が私は苦手なのだ。叱って泣かせると、嫌な背徳感にさいなまれるのだ。
乳幼児期は、土台作りだという。過保護を奨める児童精神科医の著者は、乳幼児期に思う存分に甘えられることで、「自分は大切な存在なんだ」とわかり、自信や自尊心が育つという。またその自信が自律心をも育むと。
その心理学的背景や考察は語られないが、おおむね納得できる内容だった。特に最近手を焼いていた反抗に関してはこう指摘してわかりやすかった。
《反抗というのは「これでもボクのこと好きでしょう。わたしのこと好きでしょ?」という「子どもの確かめ行動」なのです。》
《そんな親の愛を確認することは、自分の存在を確認することでもあります。親から愛されている自分を確認して、自己肯定感や自尊心を育てているのです。》
アイデンティティの基礎がここで作られるのだろう。この本のヒントによって、安心して甘やかすことができそうだ。
と、それはよしとして去来するのは自分はいったいどう育てられたのかという疑問だった。乳幼児みたいな部分が、歪んだ形で残っている気がするのである。こんなものは遺伝させないように気をつけたい。
最後に、ハッとさせられた部分を引用。
《「もう寝なさい」と声をかけると「はーい」と返事をしてさっさと寝る子どもたち。幸せなんですね。
守られているという安心感があるから、目をつぶって眠ることがこわくない。朝になればまた、楽しい一日が始まるとわかっているからです。
でも、もしその日が楽しくなかったら、その埋め合わせをしたくて、ぐずぐずと夜更かししてしまう。》
私はなかなか寝つけない子供だった。そして我が子も。楽しくない日が多いのだろうか。遊びの質も量も、改善せねばなるまい。
