これも東村山『ゆるや』で手に取ったもの。漫画である。
水木しげるの(活字による)戦記ものは、『娘に語るお父さんの戦記』というのを読んだことがある。漫画で描いた戦記は、図書館か、まんが喫茶で若い頃に見て以来だ。これなら子供にも読めると思って買った。
作中人物の独特な描き方に、まずは注目してしまう。どこかで見た顔が、たくさん登場するからだ。現代版の『ゲゲゲの鬼太郎』ではなく、オリジナルのやつは、なんとも形容し難い不気味なタッチで描かれていた。表情のみで、見る者に不安や恐怖を与える絵だ。
凄惨な話だが、彼らの妖怪じみた表情が、ときに読む側を優しくいざなう。
多くの仲間を失い、自らは片腕を奪われて帰還した水木しげるは、描くべきこと、言いたいことがたくさんあったろうと思う。見つけたら手にする、という態度でなく、探して、できれば全てを読んでみたい。
人物の表情は、デフォルメされているが、背景の景色や、メカニカルな描写はとても上手く、後から鑑賞したくなるものだ。そういう実力の上にこそ、妖怪じみた表情が映えるのだろうと気づいた。
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