これも『源氏物語』同様、子供に借りたものである。
いっきに読むか、定期的・継続的に読めば良かったのだが、ジムでエアロバイクを漕ぐとき(ジムでは大抵トレッドミルで走っているので、これは例外的なトレーニング)に紐解いていたために、長期間かけて読了してしまった。(23巻とはいえ、この手の漫画は分量も薄く、いっき読みできなくはないのだが。)
前半のエピソードなんかは記憶の彼方に飛んでしまった。それでも、場面場面だけ見ても面白いのは否定できず、人気沸騰にも頷かされた次第だ。
死んでいく剣士のみならず、鬼にも悲愴な過去があり、走馬灯のように描かれる挿話に涙を誘われる。幅広い年代に受け入れられた所以を読んで理解した。例えるなら、『北斗の拳』のサウザーやラオウに涙した、われわれの世代にもウケる作り方なのである。
しかし、そういうエピソードにスポットを当てる一方、人物描写は粗く、戦いの場面が大半を占め、ときどき訪れる平穏な時間はギャグ漫画みたいなちゃらけた雰囲気に彩られる。もっと丁寧に人物や修行の様子を描いてほしかったなと感じた。(YouTube等に慣れた若い読者には、丁寧な描写より即物的でスピーディーな展開が好かれるのだろうけれど。)
戦闘場面も、とても漫画で描ききれる単純な動きではなく、アニメや映画を想定して作られたのかなと感じた。
『いま何やったの?』
『これ、どうなってんの?』
と、絵だけでは消化不良が連続した。作者が求める枚数が認められず、コマ数が減らされた結果なのかもしれない。いずれにせよ、アニメや映画も機会があれば観てみたい。
話はずれるが、古来、鬼とは異形の者、つまり異人=異民族=先住民等を比喩的に表した場合もあった。同じ人間を討伐=虐殺したとは言い辛く、鬼を退治したと言い換えた。という腹案を持って読むと、『鬼滅の刃』もまた、神話の様相を呈してくる。
世相として、いま鬼は新型コロナウィルスなのであろう。共通の敵=鬼を持ったタイミングが、この作品の評価を、実際以上に高めたように思う。ちょうど、ファシズムと闘った欧米諸国で、カミュ『ペスト』が好評を得たように。
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