豪勢な題名からして胡散臭い。内容が名前負けするのは『別冊宝島』のコンビニに並ぶ本の通例だが、思えば私は陸軍の将校に関して、個別には大した知識もないのだ。52名の列伝を流し読みして、その概要を知るのも悪くないと思った。興味を感じる指揮官を見つけたら、ちゃんとした本を探して調べれば良い。
というわけで内容には期待せず、目次を見るような心構えでひもといた。夜行バスの徒然に読む本としてはちょうど良かったかもしれない。
しかし読了してさしたる感慨もなく、あまり印象にも残らなかった。予想通りとはいえ、販促手段みえみえな大言壮語する題名や、所々で挿入されるIfの小説は空々しい。
いまパラパラとめくってみて、仁将と呼ばれた今村大将や、人参厚かったという安達中将、部下を逃がして自決した水上中将、兵卒からの叩き上げで兵の信頼厚かった金光大佐……日本陸軍のイメージの悪さを覆す指揮官が、少しはいたのだということは興味深い。最悪の戦地で、兵と共に自ら鍬をふるって畑や陣地をつくった指揮官がいる一方、一参謀の分際で勝手な命令を立案し現場を苦しめた者も少なからずいる。日本陸軍から学ぶべきことは少なくないであろう。
本書から学ぶべきことは多くなかったが、よき統率者とは如何に? と考える際、上に挙げた幾人かの生い立ちや戦記を見てみたい。というきっかけを得たのは良かった。
