「弱虫でいいんだよ」(辻信一著;ちくまプリマー新書)
文化人類学者で環境活動家である著者が、「ゆっくりでいいんだよ」(ちくまプリマー新書)に続けて書いた本。〈弱いよりも強い方がいいのだろうか?今の社会の価値基準が絶対ではないとしたら…。動植物の性質や古代文化から強さの陰に隠れている弱さの価値に光を当てる〉として、弱さについて様々に考えを述べています。8月に行った「松元ヒロ」ライブで、存在を知りました。
「強い」「弱い」「勝ち」負け」「早い」「遅い」等という単純な二元論では、表現できないのにそのような思考に陥りがちな人間。競争主義がはびこり「自己責任」が強調される政策が続く中、共同意識が薄れこのままでは社会が崩壊するとの警告を発していると思いました。お互いの弱さ・違いを認め合うこと、誰もが依存し合いながら生きていること、金子みすゞの詩にあるような「みんな違ってみんないい」ことをどれだけ一人一人が理解し社会の仕組みにしていくのかが、重要だなと思います。
ナマケモノの生態・インドの昔からの言い伝え「口は一つなのに、なぜ耳は二つあるのか」など、動植物に関わり世界を旅してきた著者ならではの展開(初めて知ったことが多かった)も、読者を引きつけてくれます。
各章の節の書き出しで、その節に関わる著名人の言葉が紹介されており、それを読みつなぐもなかなか考えさせられるなと思いました。
おすすめの一冊です。
http://booklog.jp/users/na1129jr/archives/1/4480689508
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