痛みは不憫だ。

　「痛み」という感覚は、大事なものだ。
　痛みによって、怪我や病気などの異常を知ることができる。
　怪我や病気になる前に、休養を取れというサインだったりもする。

　そんな大切な感覚なのに、痛いのが好きだという人はまずいない。
　…特殊な嗜好を持っている一部の方々とて、楽しめるのは耐えられる範囲内の痛みだけだろう。

　私は時々左の腰が痛くなる。
　それは靴が傷んでいるとか、体が上手く使えてない（軸が定まっていない、ドローインが浅い、等）ことの目安になっている。
　とても便利なのだが、だからといってその痛みに感謝できるか、お友達になれるかというと、それは難しい。

　トレーニングの後の筋肉痛のように、成長を実感できるような痛み（実際には、筋肉痛がなくても筋肉は成長する。筋肉痛は、組織の損傷を防ぐためのリミッターとしての意味合いが強いらしい）にしたって、痛みそのものはやっぱり不快だし。

　痛いのは嫌い。不快。
　だからこそ、痛まないように休養したり、栄養を摂ったり、動きを工夫したり、治療したりする。
　やっぱり「痛み」は、嫌われてこそ存在意義を全うできるのだ。

　…これを不憫といわずに何といおうか。