なはの雑多ブログ

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アストロガンガー inWorld

2021-11-07 15:13:56 | 解説集

止まらないオルガBBというのをご存知でしょうか?
少し前に流行った「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の「止まるんじゃねぇぞ…」でお馴染みのオルガが、やたらマッチョで、ガタイが良くなった姿で超高速で走るやつです。

他にも肩幅のでかい奴が走る動画としてオルガ以外にも様々なキャラで作られています。何故かポプテピピックで偶然似たようなシーンが出てきており、参考にした可能性もありますが、これもあって一緒にネタにされています。

さてこれらのネタ、元ネタがオルガ、鉄血のオルフェンズ、という訳ではありません。
アストロガンガーという昭和のロボットアニメが元ネタとなっていたりします。

アストロガンガーとは1972年に放送されたロボットアニメで、
あの伝説的な出来の悪さで有名になったチャージマン研と同じ、ナックによる制作ということで、ニコニコ動画で同じくネタにされるようになりました。

実は鉄人28号の次(と言っても10年くらい空白有)に放送されたロボットアニメだったりするんです…あのマジンガーZより2ヶ月早く放送されています。
にも関わらず、ガンガーは意思を持った巨大ロボットでもありながら、主人公カンタローと合体することで戦えるようになるロボットでもある、という普通なら片方しか無い設定が両方アリの複雑な設定だったためか、あまりヒットとまでは言えない知名度でした。

ただこの両方アリ設定の自体は20数年後のエヴァンゲリオンともやや類似しており「早すぎたエヴァンゲリオン」とも言われています。

こう書くとライバルのようにも見えますが主題歌はマジンガーZ・アストロガンガーともにアニソン界の帝王、水木一郎さんによるものなんですけどね…

↑主題歌。ばっちり水木一郎アニキの力強い歌声ですねぇ…

このアストロガンガーの最終話のクライマックスのシーンで、ガンガーの攻撃で得物のショーテルを取り落としてしまい、予備武器と思われる直剣を構えた悪役のブラスターデビルと、落としたショーテルを利用しようとしたガンガーが両者同時に駆け出す、というシーンです。
そしてこれを高速再生したのが、この走るガンガーBBで、さらにこれをネタにされた当時流行っていたオルガの「止まるんじゃねぇぞ…」とかけ合わせて出来たのが、止まらないオルガBB、という訳なんです…

↑この動画では元ネタ・オルガ・その他と色々まとめられています。

もうめちゃくちゃ、と思うかもしれませんが、昭和のしかもあまり知られていないアニメが、こうやって発掘されて流行っていたガンダムの最新作のキャラと合体されるものですから恐るべし…

日本では昭和のあまり知られていないアニメ、と書きましたが、実はこのアストロガンガー、お隣の韓国で大ヒットしていたことはあまり知られていません。
また韓国のみならず中東やイタリアになどでも放送されていたそうで、アストロガンガーは割と世界的に愛されたアニメだったりするんです!韓国版の紹介がメインですがそちら2つについても少しだけ紹介します。

韓国では自国制作の「テコンV」(テコンドーをモチーフにしたロボットアニメでこの中では一番ヒットした)や同じく日本から輸入された「マジンガーZ」と同様、70年代当時を代表するロボットアニメの1つとされており、今も当時の世代を中心に絶大な人気を誇っているんです。

韓国では日本から遅れて6年後の1978年よりTBCというテレビ局で日曜17時より放送されていました。
当時は前大統領パク・クネの父、パク・チョンヒによる軍事政権真っ只中(翌年暗殺されてしまいます…)で、まだ日本文化は全く開放されておらず、かつての植民地支配に対抗する政府の方針で日本文化の流入に制限をかけていました。
(20年後の1998年にキム・デジュン大統領によってようやく解禁されました)

にも関わらず、ソフト不足(というか技術不足)を補うべく日本のアニメをタイトルを全く別のに変えることで制限を回避した上で多数輸入しており、アストロガンガーもその1つでした。
というか当時の韓国は家電や車なども似た理由で、ほぼ日本からの技術提供で作られていた時代ですからね…

アストロガンガーはチャンガの宇宙戦争(韓国語:쨩가의 우주전쟁)というタイトルに変えられ、キャラクターの名前も全く別のものとなりました。また流入制限がある中だったため、放送当時は日本製アニメであることを伏せて放送していました。

主題歌も水木一郎が歌っていた日本のものを歌詞を変えて韓国語にした上で使っていました。後述しますが、割と日本でのものを忠実に翻訳しているのが特徴です。
また白黒映像なのは何と1978年当時の韓国ではカラー放送が始まっていなかったからです。カラー放送開始は2年後の1980年のことになります。

東京オリンピックの直前に始まり70年代には既にカラーテレビが普及していた日本と比べてだいぶ遅い気がしますが、当時の軍事政権の政策によるものだったとか…
西側諸国なので意外に思われるかもしれませんが、同じく軍事政権だったギリシャとかもカラー放送開始はかなり遅かったそうですし…

さて、韓国での人気ぶりを象徴するものとして、2018年にはかなり大きめのフィギュアが発売され往年のファンを中心に話題を呼びました。
日本では案の定「これアストロガンガーじゃんww」となりましたけどねw まあその後日本向けにもきちんと販売されています。

そして、日本でCMなどにおいて昔のアニソンが替え歌になったりで使われることも多いですが、韓国でも同じような現象があり、ドラマのテーマソングやCMソングなど様々な分野で今も幅広く使われています!

このように少女時代が一部分のみとは言えカバーして銀行のCMに使われていたり…新韓銀行という銀行らしいですが歌詞は変えられてるみたいです

ヒムセンヨジャトボンスン(力の強い女 ト・ボンスン)というドラマのテーマ曲に替え歌で使われていたり…どうやら何か超人的な主人公の女性が戦うドラマらしいです。歌詞もチャンガの部分をボンスンに変えて、サビのところを「ボンスン ボンスン ヒムセンヨジャトボンスン」に変えたこと以外は下にある韓国語の歌詞とほぼ同じです。なおこの予告編以外でアストロガンガーの主題歌は使われていない模様…残念

当時の世代で無いであろう子供達がお遊戯会で踊っていたり…だいぶ現代的になった感じ

消火器の正しい使い方みたいな安全警報の動画でも BGMに使われていたり…

他にもOP曲自体ではないですが、「어디산가 누군가에 무슨 일이 생기면」(どこかで誰かに何かが生じれば間違いなく現れるホン班長)というドラマがあり、このタイトルもアストロガンガーの主題歌の冒頭の部分をもじったものです。

このようにお隣の韓国では日本とは真逆の非常にメジャーな存在として今も愛されているんですよ…オルガのも凄いですがこれも中々凄い現象です…向こうでは70年代に幼少期を過ごした中高年世代では知らない人がまずいないというレベルだそうですから…

正直上にリンク貼った我々オタクにはどう見ても縁が無さそうな韓ドラの美女が出てる予告映像でありながら、メロディがどう聞いてもアストロガンガーなのですから、日本でオルガとかけてネタにしてる我々オタクからしてもびっくりですし、何より元々の曲を歌った水木一郎さんが向こうでの愛されぶりを見たらどう思うのでしょうか…

続いて中東でのアストロガンガーの紹介です。アラビア語のページのわかりにくさや怪しそうなページの多さなどもあって韓国版と比べると資料が中々見つけられず補足程度の僅かな紹介になってしまうのですが、それでも少し見つけたので紹介します。

アラビア語圏ではスペースインベーダーズ(غزاة من الفضاء)という全く違うタイトルで放送されており、ガンガーについてはジョンカー(جونكر)という名前に改められていました。
ただし主人公のカンタローやヒロインのりえなどの名前は同じだったそうです。アラビア語版の翻訳・制作はレバノンで行われて中東各地で放送されていたそうです。声優もレバノンでは有名な俳優を起用していたとか…

OPの動画がこちらです。こちらでの主題歌も水木一郎が歌っていた日本のものを歌詞を変えて使っていたそうです。
アラビア語は発音が日本語と比べて長めとなっており、文法が日本語と近い韓国語の場合は上手く元の曲のメロディに合わせることが出来るのに対し、アラビア語の場合は尺が合わず中々上手くいかないようですね…

こちらの動画は比較的近年になった合唱で歌ったものなのですが、何とアラビア語版と日本語版の両方を歌っています!日本語もわかる人が歌ったのでしょうか…?それとも頑張ってわからないはずの日本語も歌ってみたのでしょうか…

最後にイタリアでのアストロガンガーの紹介ですが、イタリア語版ではタイトルはそのままアストロガンガ(Astroganga)という名前で本国より8年遅れの1980年に放送されていました。wikiには欧州ではイタリアとスペインでも放送されて人気があったと書かれていますが、残念ながらスペイン語版の動画は見つかりませんでした…
ただし主人公のカンタローはチャーリー、ヒロインのりえはシンディ、という西洋人風の名前に変えられており、吹き替えは現地で映画の吹き替えで経験ある人が主にしていたそうです。

OP動画はこちらになりますが、韓国語版やアラビア語版と異なり残念ながら全く違う曲に変えられています…映像は同じのようですが…パンデモニウムというグループが歌っているそうで、他にもマジンガーZやふしぎなメルモのイタリア語版も歌っていたらしいです。

余談ですがイタリアではアストロガンガーと同じナック制作で、割と後の80年代に制作されたアタッカーYOUというバレーボールのアニメが国民的ヒットを飛ばしてバレーボールのプロリーグが作られるきっかけになる程にヒットしていた、という歴史もあります。現地ではオリジナルの続編が作られたりイタリア語のwikiではキャラごとのページまであります。

最後にOPの歌詞をオリジナル版での日本語韓国語版カタカナ韓国語版韓国語版和訳アラビア語版アラビア語版和訳紹介したいと思います。イタリア語版は曲が全く違うので省略します…イタリアの方ごめんなさい…

韓国語版は比較的元のオリジナル版の歌詞を忠実を翻訳しているのも特徴です。また韓国語版のみサビを繰り返すようにアレンジされています。アラビア語訳は現地のwikiにあったものを翻訳サイトにかけて和訳したのを文法を整えて書いているのでちょっとわかりにくさもありますがご了承ください。

どこかで どこかで なにかがあれば

オディソンガ ヌグエゲ ムスニリセンギミョン
어디선가 누구에게 무슨 일이 생기면
どこかで誰かに何が起きても

حان الموعد حان الموعدحان الموعد حان الموعد حان موعدنا
時間だ時間だ 僕らの時間だ

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ガガガガガガ~ンと大きな力


チァチァチァチァチァ チァンガ オムチョンナンキウニ
짜짜짜짜짜짱가 엄청난 기운이
チャチャチャチャチャチャンガ 大きな力

جاء البطل يفرح شاشتنا
僕らの時間を 皆が喜ぶ

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必ず必ずやってくる


トゥルリモシ トゥルリモシ センギョナンダ
틀림없이 틀림없이 생겨난다
必ず必ずやってくる

اهجم اهجم لا تلين
アタックアタック 容赦しない

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心をはずませ 見上げる空を~


チグヌン チャグン セゲ ウジュルル ヌビョラ
지구는 작은 세계 우주를 누벼라
地球は小さい 宇宙を縫って

نحن معك معك أجمعين
僕は皆と一緒だ

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たくましく 今日も飛ぶ


シクシクハゲ チャルド ナルンダ
씩씩하게 잘도 날은다
たくましく よく飛んで

حطم الأشرار ساند الأحرار
敵を倒し、自由を作る

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ガンガー ガンガー アストロガンガー


チャンガ チャンガ ウリドゥリ チャンガ
짱가 짱가 우리들의 짱가
チャンガ チャンガ 僕らのチャンガ

جونكر جونكر البطل الجبار
ジョンカージョンカー 強い英雄

---------ここから下は韓国語版のみ--------------

ダンダンハゲ チグルル チキョンダ
당당하게 지구를 지킨다  
堂々と 地球を守る

チャンガ チャンガ ウリドゥリ チャンガ
짱가 짱가 우리들의 짱가    
チャンガ チャンガ 僕らのチャンガ



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