[結城紬]
茨城県結城市や小山市と栃木県の鬼怒川沿いで生産されている紬のトップブランドです。
(結城紬の歴史)
歴史は古く、奈良時代からあります。もともと鬼怒川付近では養蚕が盛んで、良質の繭が作られていました。
尚、農家の副業として、くず繭を利用して紬が織られていました。
その紬織物は平安時代には「常陸あしぎぬ」、奈良時代には「常陸紬」と呼ばれ全国に名をはせました。
「あしぎぬ」は糸の太い絹織物で、紬の原型とされており、正倉院宝物にも収蔵されています。
これが結城紬の前身で、のちに、城主結城家の保護のもとで栄えたので、結城紬の名前が定着しました。
江戸時代に全国的に有名になった結城紬は、無地や細かい縞の男物だったが、幕末には絣柄を織るようになり、次第に精巧な十字絣や亀甲絣が生まれました。
(重要無形文化財の条件)
一反の結城紬が出来上がるまでには約20~30工程もの手作業が必要ですが、「糸紡ぎ」「絣括り」「居座機(地機)」の3つの工程が、昭和31年に国の重要無形文化財に指定を受けました。
○「糸紡ぎ」・・・繭を煮て袋状または四角に広げた真綿を「つくし」という糸巻きのような道具に掛けて、細かく均等に指先で糸を引き出す方法で、1反に350枚程の真綿から紡ぎます。尚、強撚糸は使用しないことも条件です。
○「絣括り」・・・「手くびり」ともいい、経糸と緯糸を絣に括る位置に印を付けた後、この部分を綿糸で強く括ります。
○「居座機(地機)」・・・居座機は地機とも言われ、もっとも古い形の手織機です。織り手が床に座り、機に張る経糸を腰当てに結びつけ、腰の屈伸で糸の張り具合を調節しながら織ります。
この居座機で織られた織物で有名なものは以前紹介した「小千谷縮」です。
小千谷縮も5つの工程を経たものが国の重要無形文化財に指定されています。
復習として、5つの工程は・・・・
・「麻(苧麻)の手紡ぎ糸であること」
・「手括りで絣の模様を出すこと」
・「居座機(地機)で織ったもの」
・「湯もみは足踏みでシボを出すこと」
・「雪さらしを行ったもの」
こう復習してみると、重要無形文化財に指定を受けている工程って似ている部分がありますよね。
それほど、1つの工程には、歴史と伝統が続いているんですね。
(上記の写真は伝統的な茶色の結城紬)
結城紬は藍・茶・浅葱・鼠色が貴重でしたが、現在は多彩な色使いが多く、白生地に織った結城紬に絵羽模様の「染め紬」の訪問着や、夏向きの「結城縮」などもあります。
結城紬は柔らかく軽く、「三代着て味が出る」と言われる程丈夫な織物なのです。
重要無形文化財には上記の3工程がなければ、重要無形文化財合格証の貼られた本場大島紬とは言えませんが、それ以外にも結城紬はあります。
たとえば、絣柄ではない無地の結城紬や、居座機でなく高機(ジャカート機)で織られた結城紬などもあります。