これはまだ11月のこと。
11月にも奈良に行ったのだった。宿泊は『ふふ奈良』、思えば6月の開業から半年経たないうちに4度も宿泊している。いつの間にか予約困難になり、年度内の予約をとろうと検索をかけてみたら、ほとんどが満室であった。
『滴翠』での朝食後、ふらふらとそのあたりを散策してから部屋に戻ることにする。
今年は紅葉が早かったらしく、思っていたよりも紅葉した木々の数が少ない。
早朝の奈良公園、若草山の美しさは、他の何にもかえがたいものがある。
京都の魅力とは違う、土の香りに満ちた穏やかな空気。
早朝とはいえ、まだ紅葉の残る時期であるせいか、立派なカメラを構えた人々がたくさんいる。
そういう人たちの合間を縫うようにして、わたしは携帯でちょこちょこと写真を撮りながら、歩いていく。
遠目に見ても近くに見ても、晴れて穏やかな湖面に景色が映っていると、よりいっそう素晴らしく感じられる。
奈良には何もないなんて、誰が言ったんだろう。
ボートがたくさんある(そういうことじゃない)
まるまるとした鴨が泳いでいる。そういえば近所のフレンチだかのシェフが、休日に猿沢池で太った鴨を見ると、「美味そうな鴨やなあ、と思う」と言っていたような気がする。わからないでもない。
水琴窟の近く。
カメラマンが多すぎて、ひとところにじっとしているのが難しい。彼らは(おそらく)写真に命を懸けているので、めったなことでは動かないし、場所を譲るなどとは考えもしない(おそらく)。
なので、カメラマンの皆さまが右を向いて撮っている隙に、左を向いて撮る。
上を向いて撮る。
ひとしきり歩きまわって、客室に戻ることにした。
夏の暑さではなかなかそれも一苦労だけれど、秋冬の気候ならば、歩きまわるのもまったく苦にならないから良い。
一本だけ鮮やかに色づいた紅葉が印象的な、気持ちの良い朝歩きであった。
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