ベラルーシの部屋ブログ

東欧の国ベラルーシでボランティアを行っているチロ基金の活動や、現地からの情報を日本語で紹介しています

チロ基金から新年のご挨拶

2024-12-31 | チロ基金

 チロ基金より新年のご挨拶を申し上げます
 旧年中は大変お世話になりました
 今年もどうぞよろしくお願いいたします

 旧年は日本文化情報センター創立25周年を無事に迎えることができました。チロ基金を支援してくださっている皆様方のおかげです。

 2025年は引き続き日本語能力試験がベラルーシで実施されることを願って、日本語教育に尽力して参る所存です。

 ベラルーシをめぐる情勢は困難なままですが、今年こそは平和な時代が訪れるよう祈念しております。


今年の文部科学省奨学金留学生募集の結果

2024-12-19 | 日本文化情報センター

 今年の6月に行われた文部科学省奨学金留学生のコンクールの結果が、今日通知されました。

 日本文化情報センターからは3名が大学生プログラムに参加し、2名が1次審査(書類審査、筆記試験、面接)を通り抜けて、ベラルーシ国内では候補として選ばれたのですが、残念ながら日本国内の2次審査では、不合格となってしまいました。

 今回は残念な結果となりましたが、上記3名は来年のコンクールに再挑戦するつもりです。また新たに1名が新しく参加表明しています。

 ベラルーシ人がなかなか日本の大学に留学できない(選ばれない)理由ですが、それは数学にあるのです。

 大学院への留学と違って、大学と専門学校への留学には、筆記試験の中に日本語と英語以外に数学が必須なのです。そして当然ですが、数学のレベルは日本の高校3年生のレベルが要求されます。

 ところが、ベラルーシの学校制度が、高校は3年間ではなく2年しかないため、学習内容が日本の高校の学習内容と比べて少ないのです。例えば、日本では高校で微積分を勉強するので、外国人向け留学コンクールの数学筆記試験にも毎年必ず微積分の問題が出題されます。

 しかし、ベラルーシ人は高校で微積分を勉強しないので、留学コンクールの筆記試験の微積分を全く答えることができないのです。
 他にも日本だと小学6年生で勉強する確率の問題ですが、ベラルーシの学校では小中高の学習内容にありません。確率の問題も留学コンクール筆記試験にほぼ毎年出題されますが、ベラルーシ人は解き方も答え方もわかっていないのです。

 他にも数列についても基礎的なことしか学校で習わないので、ちょっと難しい問題になると記号の意味すら理解できていません。

 これはベラルーシ人が全員、数学劣等生というわけではなく、高校が2年間しかないので習ってない分野があり、しかもそれはベラルーシの教育省が決めたことであって、ベラルーシ人の子供の責任ではないのです。

 このように不利な条件下で、世界中で行われている日本の文部科学省の留学コンクールに参加しているので、他国の高校生と比べるとコンクールでベラルーシ人が選ばれないのは当然なのかもしれません。

 そのため日本の大学へ留学するために数学ができなくてはならず、子どもに数学の家庭教師をつける保護者もいます。

 私も先日、確率の問題を日本語の授業の中で教えましたが、たとえばサイコロをふって1の目が出る確率は6分の1ということを説明しても、確率の問題は ⬜︎分の△ という答え方をするというところから教えないといけなくて、大変でした。

 微積分をロシア語で教えるのは私には無理なので、日本語で教えてもいいのですが、それだと生徒のほうが理解できないだろうと思って、今のところしていません。

(というか、微積分の解き方なんて私自身が「そういや学校で勉強したっけ・・・。・・・(思考停止)」という状態で、カチコチに固まった脳みその記憶を掘り返しても何も出てこないですよ。)

 このようにどんなに日本語ができても数学ができないと日本の大学と専門学校には留学できないのです。それは理解できるしその通りだと思うのですが、ベラルーシの教育制度と学習内容が日本の(世界の)基準に合っていないので、非常に不利になっていると思います。

 とにかく私は私ができることをするのみです。来年の留学コンクールで自分の生徒が選ばれたらうれしいですが、日本語より数学をどうしようとみんな悩んでいます。

(書類集めもベラルーシの現状が続く限りものすごく大変だし・・・。詳しくはこちら。)