猫語のブログ〜ねこさんの、ぼくによる、ねこさんのためのよみもの〜

「猫語の教科書」をだいざいに、しもべいくせいほうほうなど。

かなしき事故

2023-07-02 | 日記
かなしき事故

ねこのみなさんごきげんよう。
たいへんむしあつくなってまいりました。
ぼくのぴんくのおはなは
いつもあせをかいてぬれています。

こんかいは、うるさいしもべについておはなしします。
うるさいしもべのため、ねこさんがつかれてしまうことは
よくあることです。
そんなときのためにかきます。

ぼくのしもべは、まえにもおはなししましたが
ぼくのくろおめめがほそいうちにふらりとでていき
ぼくのくろおめめがまんまるになるころにかえってきます。

しかしたまに、ぼくのおめめのほそいうちからまんまるになるまで
ずっとおたくにいることがあります。

ねこさんはせいじゃくとせいじゃくのあわさったところから
うまれたようなそんざいですから、
ねこさんをまんまるにたもつためには
じゅうぶんなせいじゃくがひつようです。

ですので、ねこさんのすぐそのあたりが
ぱたぱたびったごっとん、
がりごりごんぶんぶどんがっしゃーん
などといちにちじゅうそうぞうしくては、
せいじゃく成分をじゅうぶんにほじゅうできません。

せいじゃく成分がきれてまいりますと
おねんねがはかどらなくなり、
しまいにはつかれきってしまって
おみずをのみにいくつもりでたちあがっても
おみずにたどりつくまえに、
くずれおちるように
ごろんとさんになってしまいます。

ぼくのしもべはふつつかですので、
ぼくがゆかにくずれおちるときのおとをきいて
たびくんはごろんとさんになったの、
などとのんきなことをいいながら
にこにこしています。

そうではない、
ぼくはつつよくうったえたいところですが
このようなときはおこえをだすおきもちにも、
とうていなれないものです。

まさにむきりょく、むかんどうのままよこたわるすがたは
おちてるさんといってもかごんではないありさまです。

このようにむきりょくになってしまわれたねこさんは
どうすればよいのでしょうか。
どうすれば、おみずをのみにゆける
ねこさんにもどれるのでしょうか。

こたえはとてもかんたんなことですから
ちょっとひょうしぬけするかもしれませんが、
それはつまり、なにもしないことです。

しもべをもつようになってまだ日の浅いねこさんや
ねこさん歴そのもののあさいわかいねこさんは、
それでよいのかぎもんにおもうかもしれません。

でも、だいじょうぶです。
ただ、そこでおちてるさんになったまま
なにもしないがいいのです。

なぜならねこさんは
そこにねこさんとしてあるだけで
かわいすぎてとうとういからです。

むきりょくにおちてるさんをしているときでも
かわいさはねこさんのおけなみのうすぐらいところで
はじけてきらきらと舞い落ちています。

なのでそのうちしもべが釣れます。
釣られたしもべは
ねこさんをなでずにはおられません。

このときにしもべは
かわいい、かわいい、といいますね。
ねこさんをふくらませる成分のうち
東の横綱がせいじゃくなら
西の横綱はしもべのかわがりだと
いうことが、ながねんのぼくしらべから
わかっています。

かわいがり成分をきゅうしゅうし
ねこさんがふくらんできたら
さっそうとたちあがり、
ちゅーるさんをご所望すればよいのです。
これで、せいじゃく成分がたりないばかりに
つかれきったねこさんはすっかりもとどおりです。

しかし、ここでおわらせてはいけません。
ふつつかなしもべはまたすぐにうるさくなり、
ねこさんはまたつかれきってしまいますので
まだきりょくがじゅうぶんのうちに
しもべをねかしつけてしまいましょう。

ねかしつけかたはこうです。

まずしもべを、しもべのすにつれていきます。
(やりかたは、ねこさんのあつまりたいおきもち
でしょうかいしています。)

そしてよこにならせるとどうじに、
しもべのかたほうのてを、
あんよとあんよのあいだでとらえて
そのままおなかでおさえこんで
こうばこをくみます。

こうすると、しもべはてのひらにかんじる
ねこさんのおなかのおけなみのやわらかさと
しもべよりもわずかにたかいねこさんのぬくもりに
しだいにいしきがとおのいていきます。
また、このようかたてのじゆうをふうじることで
スマフォブロックにも有効です。

しばらくはこのじょうたいでねこさんも
おめめをとじたりしていましょう。
しもべがねているしもべになれば
ねこさんのせいじゃくがやくそくされますから
それまでのしんぼうです。

ちょっとぶさほうにさわられたりつっつかれたり
ぐりぐりされてもおめめをつぶっていれば
だいたいやりすごせるものです。

しかし、せんじつ、かなしき事故がおこりました。

しもべのためにせいじゃくをじゅんぶんほじゅう
できなかったぼくは
その日いつもよりおつかれでした。
しもべのかわがり成分を吸収し
ちゅーるさんをおめしあがりになって
ようやくぼくというねこさんはふくらみましたが
それでもちょっとまんまるではないかんじがあったのです。
かわいがり成分だけでは足りないようでした。

ですのでぼくは、せいじゃく成分をほきゅうするため
そうそうにねかしつけようとごういんにしもべを
しもべの巣につれていきました。

このひのしもべはねつきがわるく、
いつまでもぼくのしっぽっぽとあそんだり
ぼくのおせなかをぶさほうになでくりまわしたり、
ぼくのあんよとあんよのくっついたばしょに
ゆびをさしこんでみたりとおちつきませんでした。

しかしねかしつけるため、とぼくはおめめをとじて
じっとたえしのびました。

ことはしもべがぼくのおかおをのぞきみようとしたときに
おこりました。

しもべのあたからはえているみじめなおけなみが
ぱさぱさぱさと、ぼくのあんよの
にくきゅうをかすめたのです。

ねこさんは、あんよをすきかってにさわられるのは
まったくごえんりょしたいものときまっていますね。

ふだんのぼくでしたら、しもべをたしなめるため
おててをふりあげてすぶりをするだけにとどめますが、
このときはまんまるになりきってなかったために
ねこさんのうつくしきやせいが
むきだしになってしまい、
やわらかなピンクのきらめきをすりこんだような
にゅうはくしょくの、三日月宗近のように
研ぎ澄まされて孤高の輝きをはなつおつめが
しもべのほほをかすめてしまったのです。

しもべはとつぜんのおつめとのせっしょくにおどろきめをみはり、
ぼくはしもべの顔油のついたおつめをみてぼうぜんとしました。

しもべの顔油はたちがわるいので
ふだんならさわってしまうようなへまは
ぜったいにいたしませんのに、
おつかれのときはこのようなかなしき事故が
おこることがあります。

この事故の最もかなしい点は、
しもべにとっては、まったくかなしくない事故である
ということです。

むしろラッキーでハッピーなちょっとスリルのある
ドキドキハプニングであり、
しもべはもう一度おつめのかんしょくを
あじわってみたい、とさえおもっているのです。










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