社会人という言葉に対して違和感を感じる。
その言葉の意味は、ほとんどの場合、単に契約によって労使関係に入ったということに過ぎないか、あるいは賃金と引き換えに何らかの価値の生産活動に従事するようになった、ということのようです。
社会人とは、賃金と引き換えに労働を提供する人間だけを指すのか。社会人とは企業人のことなのか。もしそうだとすれば、その背後には、「労働を提供する人間の職場=社会」とする考え方があるように感じます。あるいは「企業内・企業間の活動すなわち社会」という風にも言い換えられそうです。
では、たとえばその社会人(男性としておこう)の私生活を支えている主婦は何者なのか。老人ホームに暮らす高齢の人々は何者なのか。企業や職場の外はそのまま社会の外だと言えるのでしょうか。むしろ職場や企業といった場は、社会の一部に過ぎないのではないでしょうか。
ならば社会人とは何なのでしょう? 思うのですが、そもそもからして、私たちはある社会に生まれた人間であるはず。その中でどのような位置を占めていようと、私たちは社会に属する人間なのだから、社会人と言って間違いないでしょう。たとえば、田中くんが学生であり、鈴木さんが医者であり、藤原くんが専業主夫であったとしても、皆それぞれ社会人だと言えないでしょうか。また山田くんも、彼がもしニートであったとしても、社会人だと思われます。
つまり、ある社会の構成員である人間ならば、誰でも社会人であると私は思うのです。