2日間にわたって開催された豊年祭の締めくくりは、村民が出演する演芸会である。正式な名称は「豊年祭奉納演芸」である。本州の地方で開催される村祭(秋祭)では、境内で各種の演芸が行なわれていて、それを鑑賞するのが住民の楽しみとなっている所も多い。福島県の村歌舞伎、島根県や宮崎県の村神楽などがある。特に、福島県檜枝岐村で開催される村歌舞伎は著名で、多数の観光客が集まってくる。それら演芸は村の神様に捧げることから奉納歌舞伎、奉納神楽と呼ばれている。しかし、南大東島の演芸会は大東神社の境内ではなく、別の場所で開催されている。村役場が主催しているので、「村民親睦会」とか「演芸おさらい会」と称してもいいのだが、お祭の一環であることから奉納の文字を入れたのであろう。
この日の演芸会は、2023年9月23日の午後6時15分から午後9時までの3時間強であった。少し涼しくなった、夏の夜のお楽しみである。
別表は当日のプログラムで、演目には南大東島特有の拘りが見かけられた。南大東島は八丈島からの開拓者と沖縄本島などからの移住者により成り立っていて、大和文化と沖縄文化が混在している。このため、プログラムにはそれぞれの文化に影響を受けた演目がみかけられた。舞踊では日舞と琉舞が、太鼓演奏では大東太鼓と八丈太鼓がそれぞれ別々の演目となっていた。民謡については沖縄のものが多かったが、これも伝統的な沖縄民謡ではなく、大和文化が混じった沖縄民謡ではないかと思われた。
ステージに立つのは、地元の民謡教室、三線教室の生徒や小中学生で、日頃の練習の成果を発表する場、といった雰囲気もあった。前回の旅行の時は、英会話の発表をする中学生も見かけられた。なお、カラオケによる演歌熱唱のような俗っぽい演目は無かった。カラオケならスナックでやってくれ、ということでしょう。