新・南大東島・沖縄の旅情・離島での生活・絶海の孤島では 2023年

2023年、11年振りに南大東島を再訪しました。その間、島の社会・生活がどのように変わっていったかを観察しました。

スナック「よしみ」

2023-05-31 17:10:01 | 旅行

  歓楽街の以前の場所で、同じ看板、同じ内外装で営業していた。しかし、以前にカウンターの中で頑張っていたりえママは療養のため那覇に転居していた。恰幅の良い、明るいママさんだったが、再会できず誠に残念。現在は居抜きで借りた別の人が運営していた。カウンター席が5席、4つのボックス席がある広い店だった。
 三段目の写真は、ボックス席で歓談している男女であるが、女性はお店のホステスではありません。近所の「じゃんじゃん」のママさんです。自分のお店が暇になったので入店してお馴染みさんと雑談しているのでした。私が「よしみ」とは別のスナックで飲んでいたら、やはり他の店のママさんが入店してくることがあった。どうも、各スナック同士ではお互い気楽に行き来しているようであった。暇なママさんが入店して酔客と遊んでもらえればホステスの代わりとなって売上げが増え、暇なママさんは馴染み客を自分の店に誘導でき、お互いが助け合っているのではないかと思われた。

 


パブ「ウエーブ」

2023-05-29 19:09:53 | 旅行

  他の飲食店がスナックと表示しているのに対して、この店はホステスが常駐している島で唯一のパブである(私が観察した範囲なので、他にもパブがあるかもしれない)。スナックとパブ、バーの相違は簡単で、女性がカウンター越しに対応してくれるのがスナックで、女性(ホステス)が席の隣に座ってくれたりカラオケでデュエットしてくれるのがパブ、バーであると考えれば良い。要するに、店内に若い女性がいるが、飲み代の安いのがスナック、高いのがパブ、バーである。
 この店は、元々はフィリピンパブとして営業していたと聞いた。店内にはカラオケのステージもあり、昔の設備がそのまま残っていた。前回の旅行の時に出会ったフィリピン人のママさんが現役で働いていた。ホステスは沖縄本島や本州から働きに来ているようで、地元の女性はいない。島では独身男性が多いが女性と出会う機会が少なく、この店で見初められて結婚し、地元に永住したホステスも多いらしい。
 不思議なことであるが、この店は商工会が発行した観光パンフレットには掲載されたことがあるが、観光協会が発行したパンフレットには掲載されたことはない。また、観光協会が運営するホームページにも掲載されていない。別に、観光協会と仲が悪い訳ではなさそうで、その理由はこの店の置かれた立場によるものと思われた。この店は他の飲食店(特にスナック)とは異質であり、酔客は地元の人に限られているのではないかと推測された。他の食堂、スナックであれば、地元の顧客も観光客でも誰でも来店してくれるのは大歓迎である。しかし、「ウエーブ」では馴染み客とホステスとの会話が営業であり、そこに一度限りの観光客が入店すれば雰囲気が悪くなってしまう。これがパンフレットなどに店名を掲載したくない理由であると思われた。

 


スナック「ジャンジャン」

2023-05-27 12:30:42 | 旅行

  歓楽街の入口近くに位置し、割烹喜作の隣りで営業しているのがスナック「ジャンジャン」である。席数が35の何の変哲もないスナックであるが、これまで続いているのは固定客が付いているのであろう。以前にお会いした中国大連出身のママさんが引き続き働いていた。11年前に撮影した当人の写真を見せたところ、大変驚いていた。突然現れた見知らぬ客から昔の写真を見せられたので、それは驚くことでしょう。ママさんは写真を他の顧客に見せて、「昔の私よ」と自慢していた。前回の旅行の時のママさんの顔は、フックラとしていて初々しさが残っていた。今回の撮影では頬が少し痩せていて、歳月の流れを感じさせられた。

 


スナック「アプローズ」

2023-05-25 13:18:35 | 旅行

  前回の旅行の時、営業していたのだが気が付かずに入店することが無かった店である。その理由は、一段目の写真にあるように、入口が横にあって見つけ難いことであった。通りに面した左半分は弁当店の「百ちゃん」の店舗となっていた。つまり、家屋の道路に面した部分は二つの飲食店が営業していて、後側が住居になっているようだ。この店の特徴は、店内が極端に細長いことである。カウンターの幅で左方向に空間が伸びていて、袋小路のようなボックス席が設えてあった。この日、10名位の中学校の同級生らしきグループで盛り上がっていた。狭くて行き詰まりのような部屋であっても、人数がピッタリ合えば、酔客同士が適度に密着でき、親睦会などの利用には便利かもしれない。

 


島の飲食店の悩みと問題点

2023-05-23 18:22:02 | 旅行

 島には十数店の飲食店が営業していて、それぞれ贔屓客がいてそれなりに繁盛しているようだ。店を大きくすることは望み薄だが、地道に経営していけば生活はできる。そんな平和な地元の飲食店であるが、それなりに悩みがある。また、本州には無い問題もあるようで、それらを項目に分けて説明する。
 【極めて良心的な明朗会計】
 前回の旅行の時、村役場の職員に「地元のスナックで安心して飲める店を紹介して欲しい」と尋ねたところ、「どの店も同じ値段ですよ。ぼったくることは絶対にない。もし、ぼられたら役場まで苦情を申しつけて下さい」と返事された。この回答はその通りであり、どの店でも明朗会計で、ぼられることは無かった。狭い島なので、ぼったくるような行為をすれば直ぐに島中に知れ渡ってしまう。新宿歌舞伎町のようなスナック、バーは、ここでは成り立たないのである。
 【酒代の値上げができない】
 前回の旅行の時、ビール(中ビン)はどの店でも千円であった。この島独特のルールで、お通し代やテーブルチャージは一切無い。従って、千円札一枚を持ってスナックに入れば、ビール一本で何時間も遊ぶことができる(店主からは嫌がれるが)。今回の旅行でもビール代はどの店も千円であった。11年間、ビール代は値上がっていなかった。日本国内ではデフレの嵐が続いていたが、南大東島でもデフレの影響を受けていた。
 ママさんからは、「この値段では儲からないけど、私の店だけ値上げする訳にもいかないので値段を据え置いているの」と聞かされた。価格協定のように、各飲食店のビール代が統一されている裏では、ママさんの悩みがあるようだ。しかし、他の酒代は微妙に値上げされていた。前回の旅行の時に撮影した写真の中に、偶然にもメニューが写っている写真があった。11年後のメニューと比較してみた。
       銘柄        2021年     2023年
   ジョニーウオーカー赤    9000円    12000円
   ジョニーウオーカー黒   12000円    13000円
   久米仙(泡盛・久米島)   6000円     8000円
   菊之露(泡盛・宮古島)   6000円     8000円
 この店の酒代が特別に高いということはなく、他の店もほぼ同じような酒代であった。この酒代の変化からすると、それほど大幅な値上げではない。ママさんが価格を変更するのは微妙に難しいところである。
 【チップ】
 酒代の値上げが難しくなると、スナックの方でも収入向上のための方策を考えざるを得なくなる。その方策とは「チップ」をねだることである。チップと言っても現金を貰うのではなく、「お茶を貰ってもよろしいですか」と尋ね、小さな缶入りのお茶をねだることである。原価数十円のお茶が千円の売上げになる。このチップの請求はどのスナックでも実行しているのではなさそうである。
 【店内でのケンカ」
 酒の出る飲食店のことであるため、店内でケンカが始まることもある。以前は警官を呼んで被害状況を報告していたが、駐在所の警官が一人勤務になったことから呼び出さないことになったらしい。店内でケンカが始まると、先ずは客全員でケンカしている二人を店外に押し出し、店の被害を少なくする。同時に、ケンカしている当人が務めている会社の社長を呼出して仲裁に当たらせる。社長が到着し、二人の頭を殴って喧嘩両成敗するとお終いになるそうだ。社長の指示には逆らうことはできず、これでケンカは納まるとのことだった。
 【店内喫煙】
 本州の飲食店では見ることができない島独特の習慣は、店内での喫煙である。どの店舗でもテーブルには灰皿が用意されていた。どうも島の喫煙者率は高いようで、女性でも喫煙する人が多いようである。このため、「店内禁煙」「店内分煙」などの表示をしたらたちまち来店者がいなくなる。また、各店舗の床面積が狭いため、喫煙室を設置できないという理由もあるようだ。何れにせよ、これから暫くの間、島は喫煙者にとって天国のようなものである。