土俵脇には机が設置され、村長を始めとする役場の三役が陣取っていた。大相撲のロイヤルボックスのようなもので、取り組みを一番前で観戦できる特等席である。豊年祭の主催者は村役場であることから、三役が臨席する必要があるのではなかろうか。両国で開催される大相撲では、都知事が最優勝力士を表彰する慣習がある。南大東島でも同じように、村長が優勝選手を表彰するのかどうかは知りませんが。
一般相撲の各取り組みでは、勝った選手に必ず賞品が渡されていた。賞品はいずれも大きな箱であり、行司が高々と掲げて選手に渡していた。控えの場所には、これから渡させる賞品がずらりと並べられていた。賞品の提供者は地元の企業や商店のようで、熨斗紙には提供した企業の名称が印刷されていた。それぞれの賞品は段ボール箱に入っていて、中身はトイレットペーパー、清涼飲料水、缶ビールなどの値段の割りに嵩が大きいものであった。箱が大きければ見栄えが良く、渡す方も受け取る方も「賞品」といった感じが出るからでしょう。溜まり場で待機している選手の横には勝ち取った賞品が積まれ、その日に獲得した賞品の数が一目で判る。
一般相撲では賞品の他に「懸賞」も出されることがある。場内アナウンスで、「次の取り組みでは○○株式会社さまより金5万円の懸賞が出ます」と放送されることがある。すると、場内では「ウォー」という歓声が上がる。「待ってました」と言うような感じである。懸賞が出る取り組みは、その試合に出場する選手が務めている企業からのようで、自社の従業員への励ましのためではなかろうか。こうして、相撲場は盛り上がることになる。