新・南大東島・沖縄の旅情・離島での生活・絶海の孤島では 2023年

2023年、11年振りに南大東島を再訪しました。その間、島の社会・生活がどのように変わっていったかを観察しました。

貨物の種類

2023-06-30 19:20:14 | 旅行

  貨客船「だいとう」が運搬する貨物は、島民の生活、島にある産業に関連する全ての分野に及んでいる。離島であるからといって商品の種類が少なくなるということは無い。ただ、人口が少ないため品数、品種が少なくなることは致し方ないことであるが。
 一段目の写真はプロパンガスのボンベであり、島の家庭の熱源はプロパンガスに依存しているようだ。空になったボンベは那覇にまで返送され、充填されて戻ってくる。取り扱っているのはJAおきなわである。
 二段目の写真は、到着した冷凍食品を確認している宅配業者である。冷凍食品は専用の冷凍コンテナーに混載され、ヤードで荷主ごとに分類されている。冷凍食品を大量に消費する業者は那覇の問屋から直接発送してもらっているようで、流通機構は内地と変わらない。
 岸壁の少し高い位置には白いタンクが設置されていた。オイルタンクかと思ったら、これは砂糖きびから粗糖を製造する際に副産物として発生する糖蜜を貯留するタンクであった。大東製糖で製造した糖蜜を順次貯留し、ホースで専用運搬船のタンクに注入するのである。製造された粗糖、糖蜜などは、「だいとう」で運搬するのではなく、専用の運搬船で運搬されている。専用船が利用されるのは、製糖作業が冬季から春先に集中しており、内地の千葉、横浜、大阪などの製糖会社に運搬しなければならないである。南大東島ばかりか石垣島、宮古島などの沖縄の各離島も同様に、専用船により運搬している。

 


ガソリンスタンドと輸送タンク

2023-06-26 12:00:00 | 旅行

  島には公共交通機関が無いため、仕事、買物、子供の送迎などには自家用車は必需品である。自家用車を運用するにはガソリンが必要である。また、農作業のための農業機械、公共工事のためのトラックにも軽油が必要である。このため、島にはJAおきなわが運営するガソリンスタンドが設置されている。唯一の独占企業であることから、営業時間は午前7時30分から午後5時まで、土日祝日は休業となっている。都内のガソリンスタンドのように、24時間年中無休という運営に比べると長閑なものである。しかし、狭い島のことであるため、この程度の営業時間で十分なのであろう。
 燃料は二段目の写真にあるような専用のタンクに充填され、貨客船「だいとう」で運ばれてくる。輸送には船賃がかかるため、当然のようにガソリン、軽油の価格は内地よりも高くなる。2023年9月22日のガソリン代は1リットル当たり188円であった。当該日付の全国のガソリン価格は記録が無いため不明であるが、ネットにある「ガソリン価格比較サイト gogo.gs」によれば、2023年9月25日付けで「9月25日時点のレギュラーガソリンの全国平均は、177.2円となり先週から2.4円の値下がり、・・・」と掲載されている。すると、22日頃の全国平均価格は179.6円であったと推測される。島のガソリン代は全国平均に比べて少し高いが、それほどビックリするほど高いものではなさそうだ。しかし、家計を預かる主婦にとって、1リットル当たり10円程の価格差には不満を持たれるのではなかろうか。
 ガソリンスタンドでは定期便の運休を想定して予備のガソリンを備蓄しているのだが、台風やしけによって貨客船「だいとう」が運休になるとたちまちガソリンが払底してしまう。1か月も定期船が運休になると給油制限もしくは給油不能となり、島では大変な騒ぎになるらしい。離島での生活は大変なのである。

 


廃業した割烹「喜作」

2023-06-24 14:34:38 | 旅行

 在所集落の中央で、歓楽街の入口に立地するのは島で一番大きな料理店の「喜作」である。鉄筋コンクリート造り二階建てで、県道に面していることから嫌でも目立つ店舗である。南大東島の旅行案内や旅行記には必ず取り上げられている。店主は元々農業に従事していたが、飛行場建設に農地が収用されたため、飲食業に転業したという。店舗には座敷もあって宴会ができるようであった。私はこの店を利用したことはなかった。前回の旅行の時、ホテルの宿泊料は朝夕食込みであったため、夕食のために「喜作」に入店することはなかった。今回は利用してみよう、と勇んでいたのだが廃業していた。夫婦で店を切り盛りしていたのだが、老齢のため運営ができにくくなったのが理由である。有名店なので一度は利用したかったが、誠に残念である。
  那覇市にも同じ「喜作」の店名を使った居酒屋が営業しているが、これは経営者の四男が運営している。また、「喜作」の店舗の道路を挟んで反対側にある居酒屋「ちょうちん」は実弟であるらしい。
  「喜作」での名物は島の近海で釣り上げた魚料理であり、ナワキリ(和名、クロシビカマス)という魚を料理していて有名であった。内地でも釣り上げられることがあるが、市場には出回らないため、一般には馴染みが薄い。この魚を目当てに南大東島に渡航する人もいるらしい。また、この地方でなければ入手できないインガンダルマ(和名、バラムツ)という深海魚を提供してくれるのでも有名であった。この魚は人体では消化できない脂分を大量に含んでいて、販売が禁止されている。「喜作」では、人体の健康に被害が出ない程度の少量をコッソリと料理してくれる、という噂があった。本当かどうかは、私は検証していないので不明であるが。
 なお、2024年4月からは、閉店した「喜作」の一階には居酒屋の「ろくさん」が入居したという。「ろくさん」は歓楽街の中央付近で小さな店を運営していたが、顧客に人気があったので大通りに進出したらしい。

 


新規開店した居酒屋「ろくさん」

2023-06-22 14:47:26 | 旅行

 前回の旅行の後で新規に開店した居酒屋は、スナック「ジャンジャン」の右隣にある「ろくさん」である。「ろくさん」を居酒屋と呼ぶことが正しいかどうかは難しいところである。定食や一品料理などを提供しているので食堂の機能を持っているが、酒が出るので居酒屋という分類になる。島の食堂の何れも夜になると酒を出すため、居酒屋に変身してしまう。酒だけを提供するスナックとは違っていて、食事と酒の両方を提供するのが島の居酒屋ということになる。
 私が滞在した3日間、夕食はこの「ろくさん」で済ませることになった。それは、豊年祭の期間中はほぼ全ての食堂が休業してしまったからであった。「ろくさん」は無休で営業していたので、私と同じような夕食難民が毎夜集まり満員であった。「ろくさん」は頑張って営業している、というよりは、他の飲食店は休みが多すぎるのである。
 オーナーは地元の男性であるが、妻の江さんは中国大連の出身で、2016年に結婚のため来日した。隣のスナックのママさんも大連出身で、江さんの知人であった。そのママさんの斡旋で来日したらしい。江さんは55歳で日本語の勉強を始めたとのことであるが、結構なめらかな会話であった。
 11年前に私が島を訪問した時、この店舗は飲食店のような木造の建物であり、この時は休業していたと記憶している。その後、この店舗には「小料理まい」という居酒屋が開業した(2014年2月付けで、観光客がブログに「小料理まい」の店の画像を投稿している)。「まい」が「ろくさん」に変わったのは数年前(2019年頃)らしい。現在のオーナーがこの店舗を居抜きで借りて「ろくさん」を開業した。建物に「ステーキ」という看板が掲げられているが、これは店名が変わった時に掲示したものである。店舗は狭くて縦に細長く、座席数は23席程度であった。床面積が狭いのに席数が多いので、客が密集して賑やかな雰囲気になっていた。
 二段目の写真の左に立つのが大連から来日した江さん。島内の飲食店の多くは床面積が広くて座席数が少ないため、この写真にあるように店内が客で混雑することはない。こ の日のイベントはビンゴ大会であった。三段目の写真は大会風景で、毎月の例会となっているようだ。私も参加したが、見事に外れた。
 なお、「ろくさん」は、2024年4月からは閉店した「喜作」の一階に転居した。島では唯一の、午前1時頃まで営業している居酒屋兼定食屋であるので繁盛しているらしい。

 


新規開店した居酒屋「のら」

2023-06-20 19:41:42 | 旅行

 スーパーミナミの道路反対側には「音酒創菜のら」という無国籍料理の居酒屋があった。今回、この店に入ろうとしたが、豊年祭の間は休業するとのことであった。西部劇の砦のようなデザインで、特徴のある建物である。11年前にも入ってみようとしたが、その時も休業していて料理を味わうことができなかった。その時の店舗の看板を見ると、「飯処NOMO」であった。ネットで検索すると「食べログ」などの飲食店案内のブログでは、この店は予約制で、予約しなければ営業しない、と投稿されていた。また、入店した人の感想では、刺し身、天ぷら、ナポリタン、チャンプルーなどがメニューに掲載されていた、とのことであった。要するに、何でも有りの飲食店であったようである。2018年頃に前のオーナーから現在のオーナーが店舗をそのまま引き継いだ。店内には入ったことが無いが、内装もそのまま継続して引き継いだのではなかろうか。
 現在、2024年10月からは閉店していて、12月中には廃業するらしい。一度入店してみたのだったが。