時には、旅の日常

管理人:taろう/旅先で撮ったスナップにコメントを添えて、他にも気の向いた事を綴っていきます。

松阪散策-02~松坂城跡・御城番屋敷

2022-05-29 17:09:22 | 近畿/日本
松阪が輩出した、伊勢商人の商家を訪ねた後に、松阪城跡へと向かいました。

<<松阪散策-01>

今日なお発展を続ける複数の大きな企業グループを創業した伊勢商人を幾人も輩出した松阪は、今日も三重県の経済の一翼を担う経済都市の一つですが、その土台は、松坂城を築いた稀代の戦国武将の施策に由るところが大きいです。
その武将が築いたお城の跡から、城下に現存する武家屋敷を巡り、松阪駅へと戻ってきました。



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松阪市役所の前から大手通を少し西へ進むと、幾重にも組まれた石垣の連なりに突き当たります。
松坂城跡に到着です。

仰ぎ見る石垣の規模は大きく、城下町・松坂の繁栄ぶりを、ここからも窺い知ることができます。



お城らしく、城内へと続く道は、鉤状に曲がりくねっていました。
石垣の美しさを眺めながら、緩やかな上り坂を進みます。

松坂城は、1588年(天正十六年)に、戦国武将の蒲生氏郷により、築城されました。
氏郷は織田信長の居城である安土城の築城にも携わったことから、その手になる松坂城もまた、名城との評価を受けているのでしょうね。
松坂城跡は、国の史跡に指定されています。






まず、月見櫓跡へと上り着きました。
「月見」と命名されるだけあり、開けた眺望に目を奪われます。

広い空と同様に、足下にはこれまで歩いてきた松阪の街が広がる様子を、一望できます。
この日は快晴であったため、とても気持ちの良い眺めでした!



月見櫓から、石垣の縁を歩けそうであったので、高所恐怖症をこらえつつ、動画撮影してみました。

柵の類などは一切なく、躓いたり足を踏み外せば転落不可避…無意識に息が荒くなってしまいました;;
お耳汚しで、申し訳ありません(^^;)

天守等が建っていた本丸は更に一段高所にありますが、ここでも既にかなりの高台であることが、動画からも分かるかと思います。



動画撮影に歩いた場所の直下は、このようになっています…。
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

眼下に歩いている人の大きさから、この石垣の規模が良く分かりますね!
カメラを持つ手も、心なしかジンワリしていましたw



月見櫓からさらに高みを目指して、本丸へと歩を進めます。

本丸へと進む石段は、流石にお城のメインルート、威厳を感じさせる広さですね。
松坂城の石垣は、自然石を積み上げる「野面積み」という工法が主に用いられています。



石段を上りきると、本丸です。
現在は、本丸跡として、広い更地が広がっています。

蒲生氏郷の築城により拓かれた松坂(明治以後に「松阪」と改称)はその後、江戸時代初期の1619年(元和五年)に紀州藩領となり、松坂城には二の丸に紀州藩の陣屋が建てられました。
以降、明治の廃藩置県まで、松坂は紀州藩領となっていました。




本丸の西の一角に、天守が建っていました。
今日では、天守閣跡の石碑が建つのみです。

この天守は、1644年(正保元年)に台風のため倒壊し、以後再建されることはなかったとのことです。



本丸跡、天守跡を、一望。

本丸跡の敷地は、かなりの広さをもっています。
正面に見えている天守跡には、三層の天守が建っていたとのことです。
天守に隣接して敵見櫓を、天守の東の対面に金の間櫓をそれぞれ配し、これらを多聞という長屋で繋げた「連立式天守」を構成して、最も厳重な防備の構造であったそうです。



天守に隣接する敵見櫓の辺りから、対面の金の間櫓を望む、パノラマ展望。
正面に見えている低い石垣上を、こちらの敵見櫓から天守に至るまで、多聞がずっと建てられていたのですね。
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

松坂が紀州藩となり、二の丸に紀州藩の陣屋が建てられて以降、本丸は放置されて荒廃し、明治になると残存していた櫓等も全て取り壊されて、現在は石垣が残るのみとなりました。
もしこれらの建物が残っていたら、さぞかし壮麗な姿を目にすることができたことでしょうね。





東から本丸へと目指してきましたが、本丸からは南へと転じて、石垣に囲われた道を下っていきます。

本丸の南側には現在、松阪出身の国学者である本居宣長の旧宅「鈴屋(すずのや)」が、当初の所在地から移築されています。

次の目的地である、三の丸へ向かいます。

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三の丸へやって来ると、美しく手入れされた生け垣に囲まれた、風情のある石畳が出迎えてくれます。
この場所が次の目的地の、「御城番屋敷」です。
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

この石畳の両側に、趣のある瓦屋根が印象的な長屋が二棟並んでいます。
この御城番屋敷は、現存する武家屋敷建築で最大の規模とのことで、国指定の重要文化財にも指定されています。



長屋の1戸が、一般公開されていて、屋内に上がって見学が可能となっています。

御城番屋敷は、その名のとおり、松坂城を警護する「松阪御城番」という役に就いていた武士20名とその家族のための組屋敷として建てられました。
今日もなお、その子孫の方々が居住なさっている現役の家屋でもあり、この屋敷二棟と周辺施設等の維持管理がなされているというのが、凄いですね!

見学可能となっているこの1戸は、松阪市が借り受けて復原整備をしたものとのことです。







外見から抱いた想像よりも、はるかに広々とした間取りであった、屋内の様子。
ゆったりとした間取りで、一部屋の広さも今の家と比べると、相当ゆとりのある広さのように感じられました。
屋敷を挟むように、表と裏の両側に庭もあります。

質実剛健といった感じの内装や調度類からも、武家らしい矜持を感じ取ることができます。

この御庭番屋敷、映画「るろうに剣心 最終章 The Beginning」のロケ地の一つにもなっています。




御庭番屋敷の見学を終え、今度は石畳を進んで、松坂城の方向を眺めた風景。
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

生け垣の美しさが、際立ちます!
松坂城の立派な石垣は、これ程距離が離れていても、十分にその存在感をもって、この眺めに趣深さを与えてくれています。

御城番の方々はかつて、自分たちが住んでいるこの場所から毎日お城を仰ぎ見て、警護の任にあたる誉れを新たにしていたのでしょうね。
そして、今日もなおここに住み続けて屋敷を維持管理なさっている子孫の方々も、この景観を誇りとされているのでしょうね。



西に傾き始めた午後の陽射しに映える、屋敷の瓦屋根と生け垣。
影となった石畳との、明暗のコントラストに魅せられます!
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

生活上の利便性を一部犠牲にせざるを得なかったり等、今日、この歴史的景観を保ち続けることは、かなりのご苦労があることと察します。
維持管理にあたる方々の努力には、本当に頭の下がる思いです。

素敵な景観に心を洗われて、御城番屋敷を後にします。



御城番屋敷が面している石畳の端からは、松坂神社へと至る参道が、神社へ向けて延びています。

鳥居と常夜灯が建つ、趣ある並木道を散策したかったのですが、時間の関係で、この日の散策はお預け。
再訪の機会に、ゆっくり巡ろうと思います。



御城番屋敷を出てからも、石畳は少しの間延びていて、風情のあるレトロな家並みが続いています。
(画像クリックで、別ウィンドウが開きます)

石造りの側溝、昔ながらの円筒形をしたポスト…ノスタルジーを掻き立てられますね。



松坂城から松阪駅へと戻る道中、大手通へと戻って来ました。
松坂城跡の前に訪れた、「旧長谷川治郎兵衛家」を望みます。

表玄関に面する通りから眺めた時とは異なり、旧商家の広大な敷地を実感する奥行を感じることのできた、大手通からの眺めでした。



更に松阪駅へと進んでいくと、松阪を代表するブランドといってもいい「松阪牛」をその至高のレベルにまで極めた存在の、「和田金」のビルがどっしりと聳えています!

松阪牛料理店の元祖的存在であるだけに、このビルの存在感には、絶対的な凄みを感じます。
このビル全体が、個室の客室となっているとのこと。
提供する松阪牛は、全て分社化した自社牧場産であり、市場を通さないので、販売もしている精肉の価格も安定しているそうです。



松阪牛のステーキをいただくためにスタートした松阪駅へと、ようやく戻ってきました!

スタートは近鉄側の北口でしたが、今度はJR側の南口への到着です。
こちら側はJR東海の管轄で、松阪の市街地中心への表玄関としての役割も、こちら側の南口が担っていて、駅舎も大きいです。

何となく、駅舎の感じがJR四日市駅に似ているなぁ…と、ふと思いました。



ステーキランチを含めた、この日の松阪を歩いた行程は、この地図のとおりとなりました。

延べ4km程歩いたことになります。
松阪牛のステーキのおかげで、スタミナ切れでバテることなくw、松阪駅へと戻ってくることができました。
とても美味しかった松阪牛さん、どうもありがとう(^o^)




松阪牛のオブジェは、松阪駅にももちろん存在します!
記念撮影もできますw

時節柄、牛さんもマスク着用でお出迎えしてくれます^^




松阪から近鉄の名古屋行急行に乗車し、四日市市内の実家へ帰省します。

松阪牛の極上ステーキランチと歴史ある松阪の街巡り…充実した、帰省時の寄り道でした♪
是非また、お金を貯めて、この素敵なグルメと歴史の街を再訪したいと思います。

松阪散策 了



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