リバーリバイバル研究所

川と生き物、そして人間生活との折り合いを研究しています。サツキマス研究会・リュウキュウアユ研究会

2014年 ビワマスの産卵撮影記録 その3 ビワマスは産卵 そしてバスは往く

2014-11-29 21:29:44 | 琵琶湖”逍遙”撮影記

26日の撮影はなんとも残念な結果となった。

産卵直前につい欲をだしてカメラの位置を移動させた。

ビワマスを含めてサツキマスなどの産卵時にはオスはメスよりも上流側の位置で放精する。そうしないと受精率が低下する可能性があることを魚が知っているからだと思う。

 そんな経験から、産卵直前にはオスが上流側、つまりは設置したカメラの前に回り込んできて、それから産卵と同時に放精!というプロセスをたどる はずだった!!。

 ところが、産卵の直前にカメラを移動してしまったのでオスが用心して、カメラの反対側にいる間にメスが産卵してしまった。

 水面上から観察していて、ペアが並んだので予備的にシャッターを切った。それがこの写真だ。

まだ オスが上流側の位置にこないので一瞬様子を見たら、この直後に産卵が行われてしまった。

つまり、この写真は産卵直前、メスがまさに卵を放つ直前の影像だが、オスは放精していない。

 

 そして27日 今日こそはと撮影に臨んだ。

26日夕方に確認したよりも大型のメスが産卵床を掘り出していた。

カメラを設置して、あとはじっと産卵を待つ。メスは産卵床を掘り終えてポット(卵を埋める穴)も出来ている。ところがオスが現れない。

 産卵場にオスメスが入り乱れていてオスが産卵に集中できない状態だ。そして まずいことに、この産卵場で一番強いオスはどうやらカメラを設置した場所のメスの相手ではないようなのだ。つまり、メスが産卵しようとするペアのオスがくると大きな、強いオスが追っ払ってしまうので産卵のプロセスが進まないという事態になってしまった。

 参考までに、こんな状態だ。「切ないね と彼女は言った」

 これは長期戦になる。覚悟を決めて、道路の端に座って水面を見ている。

 

なんとか 夕方までには そう思っていたのだが、やっかいな時間帯となってしまった。

小学生の帰宅時間だ。

学校が終わって小学生の一団が集団で下校してくる。ボクがいるのはたまたまバス停のすぐ近く、小学生はまとまってバスを待っていた。

 偏光サングラスをしている強面のおっさんである。子供が寄りつかないと思っていた。ところが…。

 20人くらいの小学生の中で、低学年の少年が聞いてきた。

 なにみているの?

   (ビワマスが卵産むのを写真にとっているのだよ)

 12月までは魚獲ってはいけないとかいてあるけど写真はいいの?

   (写真はいいだよ。つかまえてはいけないということ) 妙なことにこだわるなぁ!

 そのめがねでなにが見えるの?

  (これは 水面の反射 反射ってわかる?を無くするめがねなの!)

 ボクとしてはビワマスに集中したいのだが、バスを待って暇な小学生は何やかやと質問してくる。

 どうやってシャッター切るの?

 これはなに?

  うるさくなってきた!しかたないなぁ。

ほら、いま あそこで身体を横にしているのはメス! いや おかあさんのビワマス?が卵を産む場所を掘っているところなの!

  そんな説明をした。皆道路に並んで静かにビワマスの行動を見ている。(しめしめ これで撮影できる!)

 しばらく静かになったとおもったところで、高学年の少女がこんなことを聞いてきた。

 どうして、ビワマスはあの場所で産卵するのでしょうか? (正確な敬語)

 これには、丁寧にこたえねばならない。

 それはね。あの場所は石の中にも水が通る場所なのだよ。すこし高くなっているでしょ。

 そこにお母さんのマスは穴を掘って卵を産んでから埋めるのだね。

 あの場所なら埋めても水が石の間を通って呼吸!息ができるのだね。

 

 そう ビワマスを見ながら説明して、つい彼女の方を振り返った。その時。  横にいた少年が叫んだ。

すごい!どんどん掘ってる!!!・

 はっとしてビワマスをみると。彼女は盛大に尾びれを振るっている。 そう 穴を埋めているのだ!

 あれは、掘っているのではないのだぁ。産卵して埋めているんだ!!

 そう説明しなくてはならないと思ったが、おじさんは萎えてしまっていた。

  それは、ほんとに一瞬のことで、少女の質問に答えて振り返った刹那のことだった。

     あへ!いってもうた

 あのな。 嘆息!

 おじさんは朝から2時間半もかけて 隣の岐阜県から来たんだよ。

 そして、おにぎりを食べ、お茶をすすりながら、もう7時間ここで水面を見ていたの。

 そう ボクを取り囲んでいた少年少女らに話してみたいとも思ったのだが、その時にバスがやってきて、喧噪を乗せて走り去って行った。

 

   

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2014年 ビワマスの産卵... | トップ | タヌキの路 町田市で20年。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

琵琶湖”逍遙”撮影記」カテゴリの最新記事