リバーリバイバル研究所

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ダム水力発電収益は国に返すべき? 再生エネルギー促進に矛盾と福井県

2012-09-06 12:34:57 | アユの流し目/雑記帳
ダム水力発電収益は国に返すべき? 再生エネルギー促進に矛盾と福井県

☆テキスト版
ダム水力発電収益は国に返すべき? 再生エネルギー促進に矛盾と福井県

(2012年9月6日午前7時02分)

福井県が小水力発電を計画している浄土寺川ダム=福井県勝山市 福井県が小水力発電を計画している浄土寺川ダム=福井県勝山市

 福井県が2014年度に小水力発電の運用開始を目指す浄土寺川ダム(勝山市)で、ダムの維持管理費などに充てるための売電収益が出た場合、一部を設備導入時に受けた国の補助金の返納に充てなければならない見通しとなっている。ダム利用に関する国土交通省の実施要領に定められているためだが、売電による収益が得られることで再生可能エネルギー導入を促す国の方針とは矛盾する。県は「時代に合わないルール」と改善を求めている。

 返納ルールを定めているのは、国交省が1981年に通達したダム管理用水力発電設備の設置事業に関する実施要領。余剰電力の売電収益から発電設備の維持管理費を差し引いて剰余金が生じた場合、整備費の国庫補助率に相当する割合を国庫に戻すよう求めている。

 県が本年度から設備設計に着手した浄土寺川ダムの小水力発電は、放流水の落差と流量から出力42キロワットと想定。年間では約30万キロワット時の発電電力量が得られる。ダムの管理用電力を賄った上で、余った約20万キロワット時を固定価格買い取り制度で売却できる見通し。

 ただ、発電設備の整備費約1億円のうち4割分の国庫補助を受けるため、売電収益で4千万円を返納する必要がある。

 年間の売電収益を700万円とみた上で、実施要領の条件を当てはめて県が試算したところ、毎年240万円を17年間にわたり返納する必要があるという。買い取り期間の20年間を通してみると、返納額は売電収益の合計額の約3割を占める形となる。

 国交省河川環境課は「都道府県がまかなう事業費を国が補助しており、その分は収益から返してもらうという趣旨」と説明。自治体にとっては、再生エネ導入で重視される採算性を低下させてしまう仕組みともいえるが「性格が違う問題」との見解を示している。

 県は、13年度政府予算に向けた国への重点提案・要望で、発電設備だけでなくダム全体の維持管理費として、売電収益の全額を活用できるよう制度改善を求めた。同省は「ダムで生み出した収益を管理に使うという考え方は理解できる」とする一方、現時点で実施要領を見直す方針はないとしている。

 県砂防防災課は、国が再生エネの普及を進めている点を挙げ「ルールが時代に合わなくなっている」と矛盾を指摘。返納の規定に関し「無利子貸し付けのようなもので、本来の補助金としての役割を果たさず、政策誘導になっていない」とし、提案への配慮を求めている。
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