【福島原発事故 その時私は】
[3・17]コンクリポンプ車を提案 出口 秀夫さん(66)
◆弱い装備「こりゃダメだ」 再三の門前払い めげずに説得
原子炉への注水にはもっとすごい装備が出てくると思っていたんだよ。でも出てくるのはヘリとか、消防車とか、デモ隊を散らす警察の放水車とか、そんなのばっかり。こりゃダメだと思ったよ。
大型コンクリートポンプ車を造るドイツのプツマイスター社の日本法人の社長をやってたから、ポンプ車の特徴は分かっている。誰も気付いてないなら、恥をかいてでも、自分が動かなくてはあかんと思った。
最初に行ったのは東京・築地の朝日新聞本社。マスコミなら何とかしてくれると思ったから。十七日の朝四時半に起きて、始発電車に乗り、埼玉県春日部市の自宅から一時間かけて向かった。守衛に「誰かに会わせて」と頼んだけど「取り次ぐことはできない」と、追い返された。
それから、近くの築地警察署に寄った。用意していたポンプ車の仕様書を見せて「こうすりゃ、大丈夫だから。上の人に伝えてよ」と説明したんだが、署の人 は「本官に言われましても…」。ギャンギャン言っているうち、東京電力の電話番号を教えてくれたから、その場でかけてみた。
ホットラインかなと期待したけど、出たのはお客さま係。ポンプ車というのは(旧ソ連)チェルノブイリ原発の(全体をコンクリートで覆う)石棺作業でも使 われたんだと一生懸命に説明した。向こうでは「当社はチェルノブイリの研究もしておりますから、みんな分かっていると思います」なんて言っていた。体裁良 くあしらわれた感じだったな。
その後も、読売新聞に行ったり、国会議員を紹介してもらおうと知人の会社を訪ねたりしたけどダメ。家に戻ったら夕方になっていた。居間で寝転がったら「チキショー!」という気持ちがわいてきて、また外に出た。
春日部市内の東電の事務所でも仕様書を見せて説明した。丁寧に応対してくれたけど、「上司に言っておきます」と言うだけ。打つ手がなくなったので、選挙 熱心な昔の上司の奥さんに電話して「誰か議員を紹介して」と聞いてみた。それで公明党の野上純子都議を紹介してもらえた。
野上さんに「ヘリとか放水車とかより、こっち(ポンプ車)の方が断然いい」と言ったわけ。そしたらすぐに動いてくれた。門前払いの繰り返しで不満がたまっていたこともあって、野上さんに「これで分からなければ日本政府も屁(へ)だ」と言ってしまった。
間もなく党代表の山口那津男さんから電話があって「あなたの案は(原子力災害)対策本部で採用されました」と。びっくりしたけど、あきらめずに良かったなと思った。
大型ポンプ車が日本に入ったのは、私が手掛けた一九九四年が最初だと思う。海外ではポンプ車がタンカーの重油漏れ事故でも活躍している。日本でも災害用に用意しておけばもっと対応がうまくいくんじゃないかな。
https://www.youtube.com/watch?v=4bDtrdHhPRU
国内最大の生コンポンプ車で原発冷やす
- 2011/3/22 16:00
東京電力は2011年3月22日、放射能漏れの恐れがある福島第1原子力発電所4号機を冷やすため、国内最大のブーム長を持つ生コンポンプ車を投入する。鉄板を敷き詰めた現場にポンプ車を入れ、早ければ同日午後から注水作業を始める計画だ。
作業に使う予定のポンプ車はブームの長さが52m。全国コンクリート圧送事業団体連合会によると、52mのブームを持つポンプ車は国内に3台しかない。そのうちの2台を所有する中央建設(三重県四日市市)が3月17日、原発の冷却に使えないかと政府に申し出た。
消防車による放水とは違い、建屋の上空に延ばしたブームの先端から地上30mにある使用済み核燃料プールなどに向けて水をピンポイントで注ぎ込める。ポンプ車から100m以上離れた場所でブームを遠隔操作できることも特徴だ。
同社が東京電力から出動の依頼を受けたのは20日午後8時過ぎのこと。2台のポンプ車は同日夜、同社のオペレーターとともに三重県四日市市を出発して、翌21日に福島県内に到着。待機場所で操作手順の確認などを繰り返して本番に備えた。
■生コンなら1時間で150m3圧送
ポンプ車はドイツのプツマイスター社が製造した「M52 Multi-Z」。ピストン式のポンプを備え、比重2.3の生コンを1時間当たり150m3圧送できる。比重1の水ならば圧送能力をさらに高められる可能性がある。
ポンプ車は、消防車のような水を蓄えるタンクを搭載していない。現場の詳細な計画は不明だが、ポンプ車に水を送る仕組みと燃料を補給する体制が整えば、連続注水が可能となる。大きなポンプ車が原発に近づくためには、がれきの撤去など進入経路の確保も欠かせない。
同型のポンプ車は丸河商事(岐阜県恵那市)も1台所有している。こちらも既に福島県内に到着して待機している。
【追加情報】
福島第1原子力発電所の注水作業に当たるため、現地に集まったポンプ車は計4台あることが判明しました。本記事中にある中央建設の2台、丸河商事の1台に加え、プツマイスター社も横浜港にあった1台を派遣しました。
この1台は、東南アジア向けの輸出用。横浜港から現地に向かう途中で車両トラブルが発生したものの、部品交換を済ませて現地に到着しました。ブームの長さは58mあり、国内最長の52mを上回ります。
(日経アーキテクチュア 瀬川滋)
2011年3月11日に東北地方三陸沖で発生し、東北地方を中心に甚大な被害を齎せた東日本大震災におきまして、内閣府から「ドイツ国プツマイスター社製トラックポンプの輸入を航空機で行って欲しい」との要請を受けました。 弊社は、ロシア国ボルガ・ドニエプル社が運航するアントノフ124型航空機のチャーターを4回手配し、プッツマイスター社の トラックポンプ4機の輸入に関しての調整を行い、2011年4月2日早朝に成田空港にその第一便が到着致しました。その後、第2便が4月11日、第3便が 4月12日に、第4便が4月14日到着しています。 弊社は、東日本大震災で被害を受けられた皆様に対し、心よりお見舞い申し上げますと共に、過去に培った航空業界の経験を活かし、災害復興に対して最大限の協力を行っていこうと考えております。 |
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