横横浜市の河川、外来種増加で生態系に黄信号
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横浜市の河川、外来種増加で生態系に黄信号
配信元:産経新聞
2012/05/16 11:05更新
神奈川県横浜市内を流れる河川で、外来種が増加していることが、市の環境科学研究所(磯子区)の調査で分かった。国外からの外来種が過去最多の24種に上り、うち4種が初めて確認された。生息域も拡大しており、同研究所は「淡水魚のうち半数が外来種。将来、元からいた在来種が駆逐されないか注意する必要がある」と警戒を強めている。
調査は水中の生物から河川の水質を評価するため昭和48年から3年に1度実施されており、今回で13回目。昨年7~9月、同市を流れる鶴見川▽帷子(かたびら)川▽大岡川▽境川▽宮川▽侍従川-の6水系41地点で実施した。
今回初めて確認された外来種は、生態系を乱す可能性のある「要注意外来生物」に指定されているカラドジョウ、巻き貝の一種、インドヒラマキガイ、ヒルと同じ平らな形をした「扁形(へんけい)動物」のアメリカツノウズムシとアメリカナミウズムシの2種の計4種。
鶴見川水系で見つかったカラドジョウは中国や韓国原産。在来のドジョウとよく似ており、養殖用ドジョウに混入し侵入したとみられる。東南アジアやインド原産のインドヒラマキガイは、貨物船が安定のために積み込み、荷物積載の際に捨てるバラスト水と一緒に持ち込まれた可能性がある。アメリカ原産のアメリカナミウズムシは在来種と違い、汚れた水質でも生息できる。
外来種は生息範囲も拡大しているとみられ、平成14年頃から鶴見川などで確認されていたフロリダマミズヨコエビは今回、大岡川水系でも確認。要注意外来生物のタイワンシジミは11地点で見つかり、17年の2地点から大きく増えている。
外来種には海外だけでなく、国内の他地域から人為的に持ち込まれたものも含まれる。「国内外来種」と呼ばれ、調査では在来の淡水魚、アブラハヤと交配している可能性のあるタカハヤなど6種が確認された。
また、ホタルなどでも地域的に系統の異なる個体との交配が起こっている可能性が高く、同研究所は問題視している。
白柳康夫担当課長は今回の調査で委託業者から「光るパターンが横浜のものと異なるホタルがいる」との報告を受けた。ホタルを増やすため、地元産とは系統の異なる市販されている他地域のホタルの幼虫が放流されたことが原因として考えられるという。
白柳担当課長は「善意の行動であっても、安易に生物を放流すると、地域の生態系を乱すことになりかねない。行政として今後注意を喚起し、遺伝子レベルでの調査も検討していきたい」と話している。
■外来種
もともといなかった地域に、人の手で他地域から持ち込まれた生物。カミツキガメや淡水魚のブルーギルなど、海外由来で生態系や人、農業などに被害を与える可能性が高い105種(平成23年7月1日現在)を国が「特定外来生物」に指定し、飼育や保管、輸入などを規制している。規制対象外だが生態系に悪影響を及ぼす恐れのある「要注意外来生物」として148種がリストアップされている。
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