母は87歳。
9月で88歳だ。
88と言えば米寿かもしれない。
お祝いするんだろう。
そんなことを話したら「せんでええ」
(やらなくていい)と本気で
嫌そうだった。
面倒くさいのだろう。
最近では出かけることが減った。
デイサービスは週に2回だが
「そがーに いかりゃ~せん」
(そんなに行かれない)と
月6回と決めて間引いている。
月初めに行く日にちを提出する
のだそうだ。
自分でやっているので立派だが、
母が行かないと決めた日も
施設のお迎えが来てしまう。
行かない旨を施設に電話しようとしたら
するなと私を止める。
月初に行く日を提出したんだと
言い張る。
これまで何度もお迎えがあった。
そのたびに母は「ま~!行かんのにっ」
と眉間にしわを寄せて声を上げる。
私を使って「行かない日だ」と
伝えてくれと言う。
キャンセルは直前にして欲しいと
ケアマネさんに言われた。
何度それを母に言っても
改善する気がない。
改善しないとお迎えが来るから
と言ってもきかない。
お迎えが来たらいらっとして
私に悪態をつき私に伝言させるのだ。
もういい加減にしてくれと
私も吠えた。
そもそも今日が何日の何曜日かを
把握していない。
1日何回も聞いてくる。
脳が不具合度激しい日は
デイサービスへいつ行くのかを
確認しようとして何時間でも
3年日記をめくっているが
分かるはずがない。
起点の日が分らないのだから。
何月かもわからない時がある。
「これから冬になるのに」と言うから
「お母さん!まだ夏が来ていないの!」
「これから夏が来て、秋が来て
それから冬!」と叫ぶ私だ。
「そうかいの~」と笑っている。
長閑なものだ。
かと思えば妙に脳がぴかっと
している日もあるから
対処に困ることもある。
覚えていなくて良いことに限って
妙につっこみが入るから
私はタジタジすることがある。
母がデイサービスに行くと私は
解放感に包まれる。
というのもどこへ行くのか、
何をしに行くのか
何時に帰るのかとチェックが入る。
いつの間にか私は母の見守り役に
なったと母も私自身も思い込んでいる。
例えば洗濯物はないのか
と聞かれて、
お昼ご飯を作り片づけて
誰からの電話かと聞かれ
早々に洗濯物を取り込めと言われて
生きている。
他人に私の話をする時は必ず
「いつも家に居ない」という。
そして「歌ばっかりやっている」
という。
母の印象がそうなのだから
実際にそのようにしようと決めた。
が、見守り役だからたいてい
行きたい場所を先延ばしにしている。
用事をまとめてこそこそ出かける。
退屈そうな母を見かねて先日、
買い物に誘った。
片道50分。
着いたらトイレへ。
買い物中の私を探せなかった母は
車の前に立っていた。
そのまま車内で待つ羽目になり
お互いに不機嫌だ。
私だって十分に買い物できなかった。
もう誘うなと言われた。
望むところだ。
母には苛立つことばかりだが、
もしかしたら私が第3次反抗期
なのかもしれない。
何十年も反抗期をやっているが
今度こそ最終的な自立前ってこと(笑)
私にとって母は本音を話せる貴重な人
でもある。
最近では母は富に面倒くさがりになった。
歯医者にも美容院にも病院にも
「いかん」とむべもない。
母にとってはお風呂も
面倒なことのひとつだ。
先週なんだかんだ言いながら
やっと入った。
お湯上りに「パンツに足が入らん」
「そが~に太ったんかいの?」
(そんなに太ったんだろうか?)と言う。
脚を入れる穴を間違えてるってば。
お~笑い。
今日はパンツを履き替えたと言う母。
このパンツがえらい小さい。
ゴムが入っていないとしきりだ。
「小さいけ~あんたのパンツかの?」
と言う。
ズボンを下ろして見せてくれた。
ピンクの新しいパンツに、
飛び出したお腹がギリギリ
収まってはいるがいかにも窮屈そうだ。
パンツ姿を前から背後から眺めてみた。
微妙にレースがあしらってあるが
私のではなさそうだ。
そういうと「ほうか。」と納得した。
母も私もひと笑いした。
母に黙って汚らしいパンツを
廃棄しているがそれでも先日、
また薄汚れたのが洗濯されていた。
「も~汚い!捨てて」と私は言った。
「ほいでもこれが履きやすいんで」と
母は抵抗したが気にしていたようだ。
しまっていた新しいパンツを
はいたんだろう。
買った時よりお腹が出っ張ったのだ。
思い出し笑いが止まらない。
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