あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

風の子守唄

2021-03-21 | 私が歌手

あなたには大ヒット曲が

できるはずだと言う人がいた。

数年の間、それを意識して

歌作りをしたがついぞ生まれず。

新曲が生まれるたびに

その人物に聞いてもらった。

「おしい。方向性はあっている。

でもこの歌ではありません」

と何度目かに言われたのが

「生かされて」だ。

ヒントをくれと食い下がって

もらったのが

「こだま」と「こども」。

単なる語呂合わせか?

と思った。

ますます混乱するばかり。

「大ヒット曲」は自分の縁では

なさそうだと諦めた頃、

東日本大震災が起こった。

それを契機にできた「風の子守唄」。

生きるも死ぬも辛すぎたであろう

あの時。

せめて大地を渡る風が

子守唄を奏でてくれるようにと

祈りを込めた。

私の声は眠たくなると

何人にも言われて思った。

眠ることができれば人は

また前を向いて生きることができる。

眠気をさそうアルバムが

あってもよいと。

震災の後しばらく

テレビからコマーシャルが消えた。

ある日、テレビから聞こえて来た

言葉にはっとした。

「こだまですか」

金子みすずの詩から引用されていた。

風の子守唄は被災地で亡くなった

2歳の少女への鎮魂歌だ。

もしかしたら大ヒットするのは

この歌か?と思った。

逡巡していたアルバム化を

実行することにした。

レコーディングを始めたが

後1曲必要だと感じていた。

偶然みつけた創作ノートの詩を

読み直したらこれしかないと思えた。

作曲をやりなおして

「あめつちの詩」が生まれた。

アルバムのタイトルにした。

アルバムが完成後、

例の人物に持参した。

聞くまでもなく

「ああ、できましたね。

この歌です!ありがとう!」

と泣かんばかりだった。

きつねにつままれたようだった。

相変わらず大ヒットには縁がない。

在庫もたくさんある。

それでも私を突き動かした

一連の出来事があって

被災地にも赴いて

歌を聞いてもらうことができた。

どうして他人任せなんだ?

まやかしに引っ掛かる人だなど

良い感想は持って

もらえそうもない。

それでも必要な時に誰かしら

何かしらに遭遇し、

私を突き動かす。

信じて乗ってみようと思う方。

私自身の中では痛い目に

あったことも含めて

ありとあらゆることが

それなりの理由を放ちながら

整然と収まっている。

むしろそんなことあるわけない

と心を閉じる事が

私には退化なのだ。

方向を転換させつつ

あれやこれやに感化されながら、

ひたすら進みたい。

風の子守唄

「風の子守唄」 作詞・作曲・歌 新屋まり  編曲・ピアノ 吉野妙  キーボード 倉田香織 2013年8月2日 場所:広島市アステール中ホール

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