あめつちの詩

「あめつち」に響く歌声の持ち主「にいや」こと「新屋まり」が奮闘の日々を綴る。

Tomoさんのラストライブ

2021-12-26 | ライブレポ

Tomoさんはミュージシャン。

「ぞうさんカフェ」の恒例

月1回のオープンマイクで

島根県益田市のライブカフェ

のオーナーと紹介された。

ぞうさんカフェのテーマソングを

提供されている。

癌治療をしながら活動を

されていることが分かった。

治療の経過もフェイスブックで

レポされていて

症状を達観しながらも

過不足なく病気と向きあう姿が

かっこよい。

Tomoさんに話かけてもらったのは

つい2か月ほど前。

フランクで柔らかな物腰。

ほぼ初対面なのに嬉しくて

私は良くしゃべった。

11月のオープンマイクで

Tomoさんは「聞きたいけれど

体力が限界だから」と

早々に帰宅された。

ぞうさんの明かりが消えたように

寂しかった。

そしてクリスマス。

サンムーンのオープンマイクが

人生最後のライブ出演になると

宣言されていた。

ぞうさんカフェの植田さん一家と

ルーシーさんと一緒に

行くことにした。

実は一昨日、Tomoさんは危篤状態

だったとのこと。

スマホで呼びかけたら目を見開いた、

奇跡だと植田さん。

折しも数年に一度の大寒波が

山陰を中心に襲来していた。

広島県内でも豪雪地帯の芸北から

山陰に向かう。

「雪が降るから行けないとか

言ってる場合じゃないでしょ」

という植田さんの言葉にうなずいた。

サンムーンハウスはレトロで

雰囲気がある空間だった。

大勢の人であふれていた。

21時半。

主治医に付き添われたTomoさんが

車いすでステージに登場。

少し息が上がってはいるけれど・・

心臓が止まりかけたと本人も

言われたけれど・・

眼光鋭くてそんな風に見えない。

そんな人間がベースを演奏できる

のだろうかとさえ思えた。

バンドメンバーのソウルフルな

演奏が素晴らしかった。

会場から「ありがとう!」の声。

たかがライブたかが音楽だけれど

その為にこそ気力を振り絞っている

Tomoさんの生き様を皆が

ハートで受け止めたと思う。

生きることは表現することー

と思っているし

ステージでしゃべりもした。

けれど自分は口先だけだったな~

と思う。

そして私ははたして、

「音楽をやっている」か?

この程度の熱量で歌っています

とかステージに出るとか恥ずかしい。

出番がずれ込んでいた。

どんどん気温が下がっていく。

帰りの雪道が不安になった。

「はるかな約束」はイエスを歌にした。

クリスマスを過ぎたら歌えないし。

衣装とかつらで乗り込んだけれど

キャンセルして22時に引き上げた。

歌えない事態になって思った。

自分の熱量や覚悟があの場に

見合っていなかった。

Tomoさんにそのことを教えられた。

1回1回のライブに対して

確たる思いがあってこその

「人生最後のライブ」。

覚悟の上でパフォ-マンするなんて

超人のなせる業だけれど、

せめて自分なりの覚悟は持ちたい。

己をいさめながらも

静かな闘志を抱いている。

 

 


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