沖縄には「ぬちすぐい」という言葉があります。この、「ぬちぐすい」とは命(ぬち)の薬(すぐい)という意味です。
元気がたくさんでるお料理や、伝統野菜をつかって体を大切にする美味しいお料理を総称してあらわしますが、中でも「島野菜」はとても重要です。
元気がたくさんでるお料理や、伝統野菜をつかって体を大切にする美味しいお料理を総称してあらわしますが、中でも「島野菜」はとても重要です。
「島野菜」とは沖縄で収穫される伝統野菜で全部で28種類あります。有名なところでは「島ラッキョウ」や「ゴーヤ」。
「紅芋」も島野菜の一つです。かつて沖縄が長寿世界一となったのは、おばあたちが作る家庭料理のおかげでした。そんな伝統料理をひとつずつおつたえできればとおもいます。
第一章 「島ニンジン」
沖縄の中部 中城村で 約50件の農家の方たちが 琉球の薬膳野菜「島ニンジン」を育てています。
沖縄で「チデークニ」と呼ばれている島ニンジンは、細長く薄い黄色をしていて、ニンジンとごぼうの中間のような形をしています。
「チ」は黄色 で 「デークニ」は大根 という意味です。
生のまま、かじると独特のさわやかさがあり野趣も強く、野生のニンジンと似たような味をしています。
この「島ニンジン」は、17世紀にシルクロードを経て中国から伝えられ、沖縄では古くから「薬膳」として使われてきました。
大きい物だと長さが50センチ近くにもなります。
この島ニンジン。炒めるとグンとまるで砂糖をいれたように甘みが増して、
生の時に食べ味と180度違う違う側面を見せてくれます。
生の時に食べ味と180度違う違う側面を見せてくれます。
また火を入れることで色も美しい黄色に変わり、テーブルに綺麗な彩をそえてくれます。ニラとの相性が良く、さらにニンジンの甘さを強調してくれます。
さてなぜ中城村で、この「島ニンジン」を栽培しているのでしょう。島ニンジンは、赤ニンジンと比べて日持ちがしにくいうえ、県外ではほとんど見かけることができません。
それは中城村の土がもっとも栽培に適していることもあるそうですが、この村の人々が、戦前、体力増進のための薬の代わりにとこの島ニンジンをとても大切に育ててきたことが今につながっているのです。
島ニンジン。体にもよく 見た目も色鮮やかで楽しくお召し上がりいただけます。
沖縄料理教室 具志堅