川柳ひかるワールドへようこそ

面影を求めて止まぬ冬銀河 
いい朝だ父母の遺影が笑ってる
近すぎてつい優しさを置き去りに

2011年~2012年大西泰世川柳教室

2015年04月04日 | 大西泰世梅田川柳教室
2011年

4月 
つらくとも笑顔を作り元気出せ
暴れても心の悩みとれへんで
にこやかな顔でも心暴れている
風吹いて次の花見は来年や
風吹いて洗濯物が踊っている

5月
肩書きを省けば気楽停年後
カウンセラー亭主の悩みそっちのけ
健康の悩み解決笑顔の輪
定年後人の輪求めカルチャーへ
じじばばも嬉し恥ずかしフォークの輪

6月
女優さん脱いだとたんに出番増え
夕立が帰路急ぐ人追いかける
虹みつけ指す手も止まる雨上がり
将棋指す手も止まる虹雨上がり
逆らえば倍の御返しとんでくる 
逆らうな頭(こうべ)を垂れよ運命に

7月
病得て試されている生き方を
お悔やみの記事真っ先に歳を見る
想い出が記憶の海で泳ぎだす
言い訳はどれにしようか朝帰り
北新地お帰りなさいでお出迎え
 
8月
記念日のおねだりもっと甘えても
まぶしいなビーチバレーに弾む胸
足もつれ弾むピンポン逃げて行く
転んでも平気な顔のボク偉い
修羅場でも平気な顔の夫(つま)たぬき
 
9月
雄孔雀こころ掴まん羽根いっぱい
初対面前世もきっと深い縁
驚いたライオン群れて象襲う
旅の月来し方思い独り酒 
病院の去年の満月今我が家
 
10月
こぼすなよ残ったものを見てごらん
立つ位置が変われば見える人の情
志立てた若き日ほろ苦し
花の香に心奪われ迷い道
焼香の順でお通夜に大げんか
 
11月
折り紙を教える孫に教えられ
陽だまりに母と子の影鬼ごっこ
車窓越しくちびるに聞くさようなら
ありがたい元気でそこに居るだけで 
お見舞いの孫が元気を連れてくる

2012年
1月
添え書きにやさしさ届く年賀状
吹雪突き餅代を手に里帰り
ヤキモチのふくれっ面の目に炎
初恋の手紙書けずに白い朝
おさな子の微睡(まどろみ)の中笑み浮かぶ
 
2月
阿吽だけで心通じる友がいい
話題作読んだつもりの書評欄
べそをかく顔に読み取る寝小便(ねしょんべん)
おばあちゃん帽子にマスク僕だあれ
地でいかにゃたんびにマスクしんどいで
 
3月
立つ位置を変えて優しくなるあなた
卒業に植えた苗木がいま大樹
学校に出会いと別れ教えられ
感情に走れば負ける勝負ごと 
助走前観衆の中無の境地
 
3月
唄う会晴れ着を競うおばあちゃん
逃げ道を残してくれるできた人
春風に誘い合わせて花の道 
考えておくはことわるいつもの手
考える端から忘れ老いを知る
 
4月
ほどほどに知らん顔する思いやり
老いた今鏡の中に父の顔
握る手の強さに老母の思い知る 
悲しみを濡れた枕で知る朝
ひざ枕崩すお許し出ない陽春(はる)

5月
わだかまり溶かす優しい詫び言葉
悲しみで積もった根雪まだ溶けぬ
手をかざし空のリングを指にはめ 
空を裂く飛行機雲に我を乗せ
ハグされて心の鍵がそっと開く

6月
傘の花咲いて園児の声はじけ
傘を待つ学童保育最後の子
なつかしい人ばかりいる黄泉の国 
夢の中なつかしい過去ありありと
つらかろう溜めた哀しみ胸貸すぜ

7月
すまないと星に言ったらまたたいた
ひとりぼち一番星が友を待つ
優しさにゆるむ涙腺困りもの 
履歴書に書くの困るな長所欄
踏まないでそこに四つ葉のクローバー

8月
炎暑にも負けずひまわり凛凛と
あぐらかきぐっと一杯熱帯夜
なめくじのような男に塩をふる 
塩辛とお酒一合あればいい
座禅組む悟りのはずが足しびれ
 
10月
娘が巣立ち急に老後がやってくる
ありがとうバージンロード父の腕
譲り合い空席のまま次の駅
譲ること覚え人間角がとれ
絵の中の天使かなでる夢の中
 
11月
ゆっくりと歩幅を合わす老い二人 
ゆっくりはできぬと病後生き急ぐ
ひたむきに黙って生きた母想う
無口こそ寄り添う君の思いやり
手術後の重湯に涙ぐむあなた
 
12月
優しい子きっと淋しさ知っている 
あこがれはきっといつかは恋になる
ドンマイと流せば楽になる師走
雑踏に背を向け師走冬籠り
すすり泣き響く廊下に午前二時
 
 



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