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川柳ひかるワールドへようこそ

面影を求めて止まぬ冬銀河 
いい朝だ父母の遺影が笑ってる
近すぎてつい優しさを置き去りに

2011年~2013年あさひ会(吹田市)

2015年04月04日 | あさひ会
 
 
2011年
12月
先急ぐ時に限ってにわか雨
言うだけはただや何でも買うてやる
竹箒 木枯らしに舞う落葉追う
車窓越し口許に聞くさようなら
想い出は母のあの日のひざまくら
陽だまりに母と子の影鬼ごっこ
 
2012年
2月
下戸なのに美人女将の猪口受ける
美人湯に毎年来てるおばあちゃん
故郷の匂い届ける芋の土
土の中新芽まだかと出番待つ
 
3月
かけがいのないあなただと逝って知る
嫁ぐ前燃やすあなたの文の束
大病に優しくなっていくあなた
老木も生きているぞと新芽出し
あわてんぼ新芽頭に雪ぼうし
からはしゃぎ恋の芽生えの隠れ蓑
安い値をつけないプロの自尊心
金持(エエシ)だと言ってたくせに安普請
恋心芽生え無口になる二人
 
4月
人生を変えたあの人との出合い
新しい出合いありそう曲がり角
春霞手を振るお前川向こう
川に舞う友禅染めの艶(あで)やかさ
泣いてやるそれがおんなの武器だから
嫁ぐ前柱のキズを撫でる父
 
5月
手強いなえくぼ自慢の恋敵
淋しそう何故かひかれる片えくぼ
男前 でも横顔が淋しそう
つらいから心の中は覗かない
よそいきの顔で正座の無理はやめ
優しさの香り残して席を立つ
知らん顔してやれそれが思いやり
 
6月
うつむいて石を蹴る子に友の影
一石の波紋大事な友が去り
けつまずき石が悪いと負け惜しみ
用もなく呼び鈴鳴らす老いた母
呼ばれてもはいと言えない反抗期
川向こう呼べど応えぬ母が居る
黄泉の国呼べど静寂あるばかり
猫柳繋ぎ真珠の首飾り
猫柳産毛愛おしそっと撫で
猫柳割れば宝石出てきそう
他人には優しくなれる天邪鬼
叱られて感謝する人恨む人
旅に出れば優しい人に出会えそう
 
7月
死ぬ筈のヒロイン生かす視聴率
微笑みが優しい風を連れて来る
お昼寝に母のうちわの子守唄
筆圧の弱さに母の老いを知る
優しさについ涙する気の弱り
悩み聞き悩み始めるカウンセラー
老馬でも疾走前に武者ぶるい
ほころびをつくろっている優しさが
 
8月
誰が聞くお前のぼやき俺以外
思いやり欲しくてぼやく老いた母
長生きの秘けつぼやいて憂さ晴らし
綿菓子と母の手握る祭の夜
少年が淋しさを知る祭あと
あぐらかきぐっと一杯夏の夜
座禅組み悟りのはずが足しびれ
味わったつもり名作あとがきで
言葉など要らぬ隣にいておくれ
涙する弱みを見せて友が増え
 
9月
行間に母の思いが滲む文
アルバムの父の思いがわかるいま
食うことは働くことと父の背が
ときめくも踏みとどまるが人の道
夕闇が人の恋しさ連れてくる
ほどほどに知らん振りする思いやり
 
10月
咳払いしてから話すお仲人
ローソクが遺影と話す様に揺れ
膝の猫話し相手はお前だけ
嫁姑どちらの肩も持たぬ夫
譲り合い空席のまま次の駅
友の死を風の便りで知る疎遠
風通しいいな心の扉開け
 
11月
走り書き残していつも留守の母
にわか雨走る二人を追いかける
感情に走ればとがる口の先
参観日指切りをして来ない母
我慢せず大泣きしたら気が晴れて
吸呑みで神妙に飲む隠し酒
 
12月
真っ直ぐな男と言われ曲がられず
ショッピング病の辛さ忘れさせ
里帰り親には見せぬ不安顔
送り出す母の不安にVサイン
独り居の煮しめの味に母想う
 
2013年
1月
荷造りに思うあの日の志
臥す母はローソクの灯に何思う
すれ違う二人の思いためいきに
傷つかぬために開かずの間を造る
清流に生きたワサビの自尊心
人混みに行けば淋しくなるばかり
 
2月
若い日の彼甦る訃報聞き
ぬるま湯は嫌いだったな若い頃
若過ぎて見抜けなかった彼の良さ
鬼嫁も涙「東京家族」観て
鬼ごっこわざとつかまる好きな子に
ご用心手土産つきのご相談
正座して相談される子の無心
 
3月
咲いて知る育てることの面白さ
咲いてから蕾時代を懐かしむ
日陰にも咲く花を見て励まされ
終盤に逆転される甘い詰め
泣くよりもうまく甘えて我を通す
また来るね布団の中の母の手に
風邪ひくよ大の字の子にかけ布団
病人の笑みに安堵の見舞客
老いるのは哀し友だち減っていく
道なりに歩き私の駅に着く
 
4月
水たまり母の手をとり蟹歩き
水をさす人は盲点突いてくる
水すましきっと世渡り上手です
眼鏡どこおでこの上にあるじゃない
虫眼鏡心の小さな棘見つけ
うたた寝の姑にそっと掛布団
添い寝され病の重さ知る夫
五センチの段差怖くて摺り足で
肩の手は許してあげる通り抜け
 
5月
訳知りの女将黙って酒を注ぐ
老いらくの恋の言訳仏壇に
忙しさ言訳にして義理を欠き
銭湯で泳いでいたな昭和の日
かなづちのくせに世渡りうまい奴
ため息にご注意それが倦怠期
手土産にご注意きっと頼み事
踏まないで茨の道に咲いた花
てにおはが寝かせてくれぬ句会前
 
6月
何かある急に無口になった妻
口止めのつもりでしょうかこのケーキ
しけの中がんばり抜いた父の船
息つぎを覚え外海出たがる子
遅咲きの花を見守る庭の隅
転校に忘れな草を畳み込む
 
7月
やわらかい笑みが姑のしたたかさ
やわらかい空気が癒す患者会
淋しがり憎まれ口をたたく奴
暇なとき行けば大事にされる客
合鍵をそっと返して置手紙
人のせいにすること覚え楽になり
 
8月
いざ出陣閉店セール主婦の群れ
終幕にぼちぼち群れを出る覚悟
がんばれよ群れに遅れて飛ぶ一羽
無難だと選んだ職がリストラに
説教を正座して聞く子の無心
無理をせず静かに風の声を聴く
クリップで留めておきたい今日の幸
今がある悔し涙をバネにして
病葉をみつけて掬う優しい手
風向きに敏感になる婿養子
 
9月
足音が響く病院午前二時
静かではつとまりませんコメディアン
迫真の演技に我慢するくしゃみ
ゴールイン恋のかけひき実を結び
リハビリの努力が実り富士登山
虫を聴く秋の夜長に猪口二つ
淋しげな徳利一本虫を聴く
呵呵大笑聞こえてきそう亡父の椅子
母の床窓辺に移す秋日和
いつきても泣かせてくれる母の椅子
 
10月
愛読書聞いて感じる世代の差
苦労して集めた本がキロなんぼ
書き込みが多い本ほど捨てられぬ
踊れない狸月夜にふて寝する
月夜には狼になり吠えてやる
置手紙こわくて封が切れません
追伸のとりとめなさに孤独感
王様の椅子に孤独の影ひとつ
少年の胸の鼓動は恋の音
群れを出る覚悟を固め異を唱え
(終)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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2013年~2014年大西泰世川柳教室

2015年04月04日 | 吹田川柳会
2013年
1月
ピリオドを打ってきっちり恋終える
プライドを捨ててまあるく楽に生き
胸襟を開けばとぐろ巻くまむし
ごめんねと素直に言えば開く道
困っても辛さこぼせぬ母の背に
 
2月
結論を急ぐ裏には何かある
急用で来た筈なのに何だっけ
声かけて欲しくて淋しそうな振り
やったねの声聞きたくて一目散
キャンバスに埋めてきましたゲバ棒は
 
3月
満開だ酌み交わそうぜ黄泉の人
花冷えにけつねうどんが恋しおす
振られても別れてきたと見栄を張り
別れにも乱れはみせぬ黄水仙
微笑みに心閉ざした友和む
 
4月
散るを知り力の限り咲く刹那
咲く花にシャンソン枯葉聴かす人
森へ行くいつかニンフに会えるかも
食細い母の小鉢に木の芽和え
脛の傷痛くて正座できません
 
5月
肩越しに微笑む君を手鏡に
想い出は遠い花火と肩車  
手品師の指で踊っているクイーン
淋しそう誘ってあげて壁の花
心にもシェルター蜂のひと刺しに
 
6月
考えず合づちだけは打っておく
考えてやれよ淋しい目の訳を
ベランダで梅雨の晴れ間にごあいさつ
雨の午後ポツリとメールひとつ来て
詰めて書く癖もそのまま遺言書
 
7月
病葉に風も優しく語りかけ
強がりの風を吹かせる淋しんぼ
二度とない人生だから迷わない
迷ったら直観だけが頼りです
気になるなヘアースタイル変えた君
 
8月
はがしてもはがしてもまた化けの皮
来世こそ男かしずく美の化身
他人から説教させる反抗期
他人ほどほめてくれぬと拗ねる妻
残り火をじっと見ている秋ひとり
 
9月
憎いけど説得力を持つ数字
ポケットに忍の一字を握りしめ
風涼し誰のものでもないわたし
涼風に人肌恋し猪口二つ
狎れすぎた敬語省いて群出され
 
10月
救われた命今度は人助け
夫婦仲救ってくれた子の寝顔
七五三裾も袂も泥だらけ
年金が着物に化けた七五三
おせっかい止めて生きたら楽になり
 
11月
あかんあかんほめてもなんもでえへんで
ほめられてちらり本音のしたり顔
熱くなれ二度と来ないぞこの潮
あつあつの写真に安堵里の親
嘘泣きで同情誘う悪いやつ
 
12月
焦らずに流れにまかせいい出会い
待ち時間過ぎて気がつく場所違い
再会を楽しめるかないい別れ
ゆっくりと歩いて気楽最後尾
自慢話始めたとたん友が引き
 
2014年
1月
食べる前探していますほめ言葉
手術後の重湯に涙五年前
ゆっくりと時が流れている茶の間
ありがたい好きな時間に愛読書
ちょっと地味バブルを知らぬ子供たち
 
3月
わがままを許してしまう首ったけ
背伸びして春はまだかと冬木立
ぬかりなく熱燗準備寒桜
寒いはずないではないか手編みなら
 
4月
馴れ初めを聞かれときめき甦る
誰にでも最初はあるさくじけるな
新学期八の段からまず教え
赤い糸もつれはじめたクラス替え
含まれた棘に気付かぬいいおひと
 
5月
嫁来ない母の匂いが抜けるまで
日なたぼこふとんの匂い母思う
この次はないかも知れぬこの祭
ゆっくりとしいな祭の夜ぐらい
痛かろう心の針を抜いてやる
 
6月
優しさがこわい別れの予感する
優しさにほだされ心の扉開け
雨の日にそっと合鍵渡される
雨の日はアルバム拡げ物思い
真っ直ぐの涙に心動かされ
 
7月
暑い夜ロマンチックもないもんや
あと何度迎えられるか暑い夏
ふるさとの空初めての里帰り
空を飛ぶ夢を見ていた幼い日
折り曲げたページに手垢涙あと
 
8月
携帯は持たぬ漂流先ヒミツ
漂泊の旅は三日でやめました
大丈夫私の海は広いから
孫たちもやがて出て行く俺の海
見え透いたジョークに君の思いやり
 
9月
ありがとう別れ際にはこたえます
さよならを明るく言える退院日
お隣りの窓にだけくる青い鳥
窓を開け大きな伸びを病室で
人望を集める優し思いやり
 
(終)
 
 
 
 
 
 
 
 






 
 
 

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2011年~2012年大西泰世川柳教室

2015年04月04日 | 大西泰世梅田川柳教室
2011年

4月 
つらくとも笑顔を作り元気出せ
暴れても心の悩みとれへんで
にこやかな顔でも心暴れている
風吹いて次の花見は来年や
風吹いて洗濯物が踊っている

5月
肩書きを省けば気楽停年後
カウンセラー亭主の悩みそっちのけ
健康の悩み解決笑顔の輪
定年後人の輪求めカルチャーへ
じじばばも嬉し恥ずかしフォークの輪

6月
女優さん脱いだとたんに出番増え
夕立が帰路急ぐ人追いかける
虹みつけ指す手も止まる雨上がり
将棋指す手も止まる虹雨上がり
逆らえば倍の御返しとんでくる 
逆らうな頭(こうべ)を垂れよ運命に

7月
病得て試されている生き方を
お悔やみの記事真っ先に歳を見る
想い出が記憶の海で泳ぎだす
言い訳はどれにしようか朝帰り
北新地お帰りなさいでお出迎え
 
8月
記念日のおねだりもっと甘えても
まぶしいなビーチバレーに弾む胸
足もつれ弾むピンポン逃げて行く
転んでも平気な顔のボク偉い
修羅場でも平気な顔の夫(つま)たぬき
 
9月
雄孔雀こころ掴まん羽根いっぱい
初対面前世もきっと深い縁
驚いたライオン群れて象襲う
旅の月来し方思い独り酒 
病院の去年の満月今我が家
 
10月
こぼすなよ残ったものを見てごらん
立つ位置が変われば見える人の情
志立てた若き日ほろ苦し
花の香に心奪われ迷い道
焼香の順でお通夜に大げんか
 
11月
折り紙を教える孫に教えられ
陽だまりに母と子の影鬼ごっこ
車窓越しくちびるに聞くさようなら
ありがたい元気でそこに居るだけで 
お見舞いの孫が元気を連れてくる

2012年
1月
添え書きにやさしさ届く年賀状
吹雪突き餅代を手に里帰り
ヤキモチのふくれっ面の目に炎
初恋の手紙書けずに白い朝
おさな子の微睡(まどろみ)の中笑み浮かぶ
 
2月
阿吽だけで心通じる友がいい
話題作読んだつもりの書評欄
べそをかく顔に読み取る寝小便(ねしょんべん)
おばあちゃん帽子にマスク僕だあれ
地でいかにゃたんびにマスクしんどいで
 
3月
立つ位置を変えて優しくなるあなた
卒業に植えた苗木がいま大樹
学校に出会いと別れ教えられ
感情に走れば負ける勝負ごと 
助走前観衆の中無の境地
 
3月
唄う会晴れ着を競うおばあちゃん
逃げ道を残してくれるできた人
春風に誘い合わせて花の道 
考えておくはことわるいつもの手
考える端から忘れ老いを知る
 
4月
ほどほどに知らん顔する思いやり
老いた今鏡の中に父の顔
握る手の強さに老母の思い知る 
悲しみを濡れた枕で知る朝
ひざ枕崩すお許し出ない陽春(はる)

5月
わだかまり溶かす優しい詫び言葉
悲しみで積もった根雪まだ溶けぬ
手をかざし空のリングを指にはめ 
空を裂く飛行機雲に我を乗せ
ハグされて心の鍵がそっと開く

6月
傘の花咲いて園児の声はじけ
傘を待つ学童保育最後の子
なつかしい人ばかりいる黄泉の国 
夢の中なつかしい過去ありありと
つらかろう溜めた哀しみ胸貸すぜ

7月
すまないと星に言ったらまたたいた
ひとりぼち一番星が友を待つ
優しさにゆるむ涙腺困りもの 
履歴書に書くの困るな長所欄
踏まないでそこに四つ葉のクローバー

8月
炎暑にも負けずひまわり凛凛と
あぐらかきぐっと一杯熱帯夜
なめくじのような男に塩をふる 
塩辛とお酒一合あればいい
座禅組む悟りのはずが足しびれ
 
10月
娘が巣立ち急に老後がやってくる
ありがとうバージンロード父の腕
譲り合い空席のまま次の駅
譲ること覚え人間角がとれ
絵の中の天使かなでる夢の中
 
11月
ゆっくりと歩幅を合わす老い二人 
ゆっくりはできぬと病後生き急ぐ
ひたむきに黙って生きた母想う
無口こそ寄り添う君の思いやり
手術後の重湯に涙ぐむあなた
 
12月
優しい子きっと淋しさ知っている 
あこがれはきっといつかは恋になる
ドンマイと流せば楽になる師走
雑踏に背を向け師走冬籠り
すすり泣き響く廊下に午前二時
 
 



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2015年吹田川柳会(お題なし。抜けた句のみ)

2015年04月03日 | 吹田川柳会
2015年
1月18日(日)
外人まで大阪弁で値切りよる
あきんどは値切り値切られいっちょまえ
青春を語る詩集の涙あと
酌み交わし語りあかそう明日のこと
逆境をさらりと語る人になり
逆境の向こうにきっと新天地
おーい春出番を待っている新芽
「近詠」
人の世の儚さ思う風花に
生きるため捨ててきたもの今愛し
木守りの話相手は案山子だけ
 
2月15日(日)
結論を急ぐ裏には何かある
何急ぐどうせ行きつく先同じ
筆圧の弱さ帰省を急がせる
若い日の大志下宿に置いたまま
志ハードル下げて楽に生き
ライバルに闘志を燃やし今がある
生れつき無口なんだと石を蹴る
籠破りはばたきました大空へ
つけひげをはずし素顔に戻ります
ぼうふらも見つめ合ったら恋をする
「近詠」
あるがまま受け容れたとき楽になり
病室にピエロを脱いだ僕が居る
病み上がりそろそろバトンタッチかな
 
3月14日(土)
がんばれよ津波に耐えて残る松
糸が切れマリオネットが踊れない
亭主留守踊り出したい気分です
やりたいこと多すぎてまだ死ねません
口数が多いなきっと隠し事
ほころびを直してくれた赤い糸
「近詠」
新しい夫婦茶碗がさりげなく
丸呑みを出来ない人と棲んでいる
余命知り確執溶けた三姉妹
 
4月26日(日)
ときめきは登校の朝クラス替え
何色で生きよう今朝も白紙です
やわらかい雨降る午後の春障子
障子越し母の寝息に安堵する
夫婦仲障子替えてもすきま風
不用意に羽伸ばし過ぎ的にされ
飲み過ぎも供養のうちと友の通夜
またかいな仲裁役はもうごめん
孫むすめ緩めすぎたか躾糸
終活はどちらの山に樹木葬
「近詠」
花が降るあなたとの日日いとおしい
寄り添って声にならない声を聴く
ありがとねここまでついてきてくれて
 
5月31日(日)
思うまま生きて悔いなしこの老後
ママ友は回して着せる子供
人生に乾杯一度きりだもん
横丁に幼な馴染みの顔浮かぶ
「近詠」
日に一度笑えばよしとする病後
淋しさに気付かず悪いこと言うた
傷つけぬ言葉を選ぶ別れ際
 
6月21日(日)
見ない振りするのが情け石を蹴る
情けない手塩にかけた子は背き
困ったな心全部をねだられて
ねだることしない長女が婿ねだる
靴音は家に心は他所に置く
「近詠」
難破船海に抱かれ夢を見る
青春を辿りたくなり鈍行に
周波数合えば多くを語らない
 
7月26日(日)
朝刊のチラシ自転車走らせる
墜落の間際に遺書をメモるひと
独りではないこの辛さ患者会
あの夏の海に青春浮いたまま
耳掻きのこよりが踊る膝枕
回り道自分を見つめ直すとき
「近詠」
病んでまた耐えられるかと試される
句箋には病院食のお粥あと
おしゃべりはしなくていいよつらいとき
 
8月23日(日)
すっぴんの方がいいのに作りすぎ
あと少しいい思い出を作りましょ
若作り競っていますシニア会
まだ若いゆんべ「火花」を読破せり
息つぎを覚えてやっとひとり立ち
とりあえず味があるねとほめておく
歓迎の酒苦かった左遷先
放浪記でんぐり返しもう一度
「近詠」
キッチンに妻のハミングねぎ刻む
プライドを捨てれば楽になる老後
淋しそう声をかけよかかけまいか
 
9月27(日)吹田市民川柳大会
一人っ子緩みがちです躾糸
群れを出る狼恐れない孤独
受け狙いしてる子きっと淋しがり
 
10月31日(土)
浮かぬ顔しないと決めた大病後
生きている証じゃないか迷う事
暮れるまで蝶を追いかけ迷い道
だるそうな振りで回りの愛試す
義理で見る発表会はだるいなあ
引き出しが多くて飽きが来ない人
籠ること多くなったら脳に苔
今日もまた淋しがり屋の雲ひとつ
石舞台いにしえびとの舞を見る
「近詠」
孫のように抱けばよかった我が子らを
一言も責めない君に惚れ直す
秋風に居住まい正し遺言書
 
11月23日(月)
下手な絵も味があるねとほめておく
心まで覗かせません冬薔薇(そうび)
胸に手を当てれば神の叱る声
「近詠」
晩秋にアルバム眺めブランデー
病癒え本音で生きることに決め
哀しみは友の訃報に冬隣
 
12月20日(日)
優しさが欲しいと思う告知の日
健康になればなったで出る不満
よそゆきの顔見当らぬ終電車
義理の糸切って自分を取り戻す
底知れぬ闇に救いの赤い糸
見えるかなオレに触覚あるんだぜ
「近詠」
赤い糸切ってはつなぎ除夜の鐘
老いて行く新たなる道白い雪
自分さえ捨てれば見えてくる何か
 
4月26日(日)
ときめきは登校の朝クラス替え
何色で生きよう今朝も白紙です
やわらかい雨降る午後の春障子
障子越し母の寝息に安堵する
夫婦仲障子替えてもすきま風
不用意に羽伸ばし過ぎ的にされ
飲み過ぎも供養のうちと友の通夜
またかいな仲裁役はもうごめん
孫むすめ緩めすぎたか躾糸
終活はどちらの山に樹木葬
「近詠」
花が降るあなたとの日日いとおしい
寄り添って声にならない声を聴く
ありがとねここまでついてきてくれて
 
5月31日(日)
思うまま生きて悔いなしこの老後
ママ友は回して着せる子供
人生に乾杯一度きりだもん
横丁に幼な馴染みの顔浮かぶ
「近詠」
日に一度笑えばよしとする病後
淋しさに気付かず悪いこと言うた
傷つけぬ言葉を選ぶ別れ際
 
6月21日(日)
見ない振りするのが情け石を蹴る
情けない手塩にかけた子は背き
困ったな心全部をねだられて
ねだることしない長女が婿ねだる
靴音は家に心は他所に置く
「近詠」
難破船海に抱かれ夢を見る
青春を辿りたくなり鈍行に
周波数合えば多くを語らない
 
7月26日(日)
朝刊のチラシ自転車走らせる
墜落の間際に遺書をメモるひと
独りではないこの辛さ患者会
あの夏の海に青春浮いたまま
耳掻きのこよりが踊る膝枕
回り道自分を見つめ直すとき
「近詠」
病んでまた耐えられるかと試される
句箋には病院食のお粥あと
おしゃべりはしなくていいよつらいとき
 
8月23日(日)
すっぴんの方がいいのに作りすぎ
あと少しいい思い出を作りましょ
若作り競っていますシニア会
まだ若いゆんべ「火花」を読破せり
息つぎを覚えてやっとひとり立ち
とりあえず味があるねとほめておく
歓迎の酒苦かった左遷先
放浪記でんぐり返しもう一度
「近詠」
キッチンに妻のハミングねぎ刻む
プライドを捨てれば楽になる老後
淋しそう声をかけよかかけまいか
 
9月27(日)吹田市民川柳大会
一人っ子緩みがちです躾糸
群れを出る狼恐れない孤独
受け狙いしてる子きっと淋しがり
 
10月31日(土)
浮かぬ顔しないと決めた大病後
生きている証じゃないか迷う事
暮れるまで蝶を追いかけ迷い道
だるそうな振りで回りの愛試す
義理で見る発表会はだるいなあ
引き出しが多くて飽きが来ない人
籠ること多くなったら脳に苔
今日もまた淋しがり屋の雲ひとつ
石舞台いにしえびとの舞を見る
「近詠」
孫のように抱けばよかった我が子らを
一言も責めない君に惚れ直す
秋風に居住まい正し遺言書
 
11月23日(月)
下手な絵も味があるねとほめておく
心まで覗かせません冬薔薇(そうび)
胸に手を当てれば神の叱る声
「近詠」
晩秋にアルバム眺めブランデー
病癒え本音で生きることに決め
哀しみは友の訃報に冬隣
 
12月20日(日)
優しさが欲しいと思う告知の日
健康になればなったで出る不満
よそゆきの顔見当らぬ終電車
義理の糸切って自分を取り戻す
底知れぬ闇に救いの赤い糸
見えるかなオレに触覚あるんだぜ
「近詠」
赤い糸切ってはつなぎ除夜の鐘
老いて行く新たなる道白い雪
自分さえ捨てれば見えてくる何か
 
 
 
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2014年吹田川柳会(お題なし。抜けた句のみ)

2015年04月03日 | 吹田川柳会

2014年

1月26日(日)

ばあちゃんの日課パソコン開けること

無防備に開けた心に矢がささる

古民家の柱のキズは三世代

午前二時柱時計と俺ひとり

気の合わぬ奴より気楽手酌酒

下戸なのに覚えた手酌左遷先

向かうとこ敵なし孫の立ち回り

向かい風負けはしません二人なら

さなぎたち春の入口探してる

父恋し鬼の捨子が鳴いている

母屋から出たみの虫に冬の風

 近詠

面影を求めて止まぬ冬銀河

幸せに暮らしているなその笑顔

寒い朝いつもの人に出会わない

 

2月23日(土)

主役にはなれなかったがいぶし銀

飼い主に似たのか尻尾振らぬ犬

七色の絵筆が走る雨上がり

だまし絵に隠れた君を追いかける

いややねんなんぼ本気と言われても

片手間に始めた筈がいま本気

梅見頃一句土産に朝散歩

枯れ木にもやがて吹くだろ春の風

近詠

老木も新芽ふくらむ春隣り

心こめ優しい言葉そっと置く

睦まじくみせておきたい妻の見栄

 

3月23日(日)

若過ぎて気付かなかった深い傷

馴れ初めを聞かれ若い日甦る

若い日のときめき眠れない夜も

蔵の中出番まだかと古道具

ダイエット道具揃えてやせた気に

カウンセラー俺の心を料理する

春告げる釘煮をあてについ二合

えさのない釣糸垂らしのどかなり

近詠

のどかなり日がな一日孫の守り

馴れ初めは青い芽の頃春うらら

哀しみへ涙も出ない陽が沈む

 

4月27日(日)

ついででもいいから来てと閑古鳥

ついでにのひと言眠れない夜に

ついでにと言ったひと言命取り

気になるな含み笑いをする女房

深情気がつきすぎて疎まれる

欠席の君が気になる患者会

助かるわのしに名前のない粗品

粗品にもにじみ出ているお人柄

終楽章迷わずタクト振り続け

迷うことあらへん金のある方や

近詠

春恨む見せたかったなこの桜

花吹雪来る筈のない君を待つ

通り抜け喧噪の中春ひとり

 

5月25日(日)

目移りはしたが女房はお前だけ
バイキング隣の皿が気にかかる
なぐさめに多くの言葉逆効果
日日感謝多くの人に支えられ
リストラに定石通り生きたのに
肩の手は許してあげる通り抜け
手品師は人の気持の裏をかく

家出したテントウ虫に草の宿
近詠
独りではないぞ手を振る友がいる
握る手に頬摺りされて帰れない
クラス会今年も一人二人抜け

 

6月29日(日)

朗報に破顔一笑さあ宴

恋文は母が破いていたらしい

ひと晩でもろくも消えた砂の城

潮騒に遠い日の恋よみがえる

同窓会五十年間道化役

手術跡ちと多すぎる親不幸

理屈より体で学ぶ護身術

ここがいいあなたの側にそっと咲く

あの二人雨が止んでも雨宿り

ばあちゃんの背中で聞いた七つの子

近詠

優しさが辛い 別れの時近い

失ってはじめて知った優しさを

病室の窓から遠い雨を見る

 

7月27日(日)

嫌なことすぐに忘れる生き上手

自分だけ本音を言わぬ聞き上手

逆らわぬ電気仕掛けの妻欲しい

独り居のキッチン電気つけたまま

石仏俺と一緒に泣いてくれ

とぐろ巻く蛇を心に飼っている

「近詠」

幸せになれば見えないものがある

優しさに気付き素直になる私

余生にも途中下車する好奇心

 

8月24日(日)

甲子園九回裏の初打席 

父だからわけは聞かない娘の涙 

人情にもろくて貧乏くじを引く 

丸文字の恋文きっとミヨちゃんだ

みな通勤わしゃぶらぶらと図書館へ

妻の海凪の時には何かある 

荒海は号泣したい時に行く

風まかせそれもいいだろグライダー 

二度付けは御法度でっせおやじの目 

「近詠」

今を生きる悔いもおそれもない余生

何色で描いてみようか今日の海

周波数変えて天使の声を聞く

 

9月28日(日)市民川柳大会

観たいのは映倫マークないビデオ

理屈とは逆の直観どちらとる

また隣唇を噛む壁の花

「吹田市教育員会会長賞」

面影を求めて止まぬ冬銀河

 

10月26日(日)
思い出の駅に乱舞の秋の蝶
駅ナカへ出かけ淋しさ置いてくる
遠い日の汽笛を聞きに無人駅
注ぐ酒に名残り惜しさが溢れ出る
優しさを注いであげましょ二合まで
目移りをして羅針盤狂いだす
をそんなに並べられてもな
メタボでもモデルになれるマタニティー
寄る辺ない蔓故郷がみつからず
一本の白髪仇のように抜く
「近詠」
背なを追うおいとけぼりがこわくって
幸せはこんなところに落ちていた
あの世では役に立つのか羅針盤

 

11月23日(日)

診察券出してもあかんコンビニで

じいちゃんがおごらなあかん年金日

友達が欲しいと背なに書いてある

呼び方でわかる凡その夫婦仲

「近詠」

嬉し泣ききっと隠していた辛さ

不幸にも手加減あっていいのでは

気がつけば置いとけぼりの隠れんぼ

 

12月28日(日)

立つ位置を変えれば違う風が吹く

飛んでみる違う世界が見たくって

海の色違って見えた別れの日

回り道して悔しさを捨ててくる

心棒のおかげここまで回る独楽

嘘のない顔に戻った終電車

自分史にちょっぴり嘘を織り交ぜる

二番手を走り長生きしています

「近詠」

病癒え第九を歌うよろこびよ

老いてなお第九に挑む心意気

歌い終え歓喜の涙頬伝う

 

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2013年吹田川柳会(お題なし。抜けた句のみ)

2015年04月03日 | 吹田川柳会

2013年

1月20日(日)
新しい薪に残り火燃え盛る
青春の夢を下宿に置き忘れ
ごめんねと素直に言えた夢の中
淋しさに杯かたむける寒の月

嫁ぐ娘に持たす幼い日のリボン
近詠
淋しさに堪えられなくて輪を抜ける
むせび泣き漏れる病室消灯後
微笑みはきっと温もり待っている

2月11日
横恋慕それが失恋第一歩
まずいこと隠し通して石になり
勘定はきっとお連れの伊達女
妻も子も孫もいるのに何故淋し
近詠
淋しさの嗚咽に揺れる冬布団
その辛さいつか人への優しさに
青春の寄り道今は懐かしい

3月24日(日)
振り向いてくれるまで待つ黄水仙
おふくろの味が好みで嫁が来ず

食細い母の小皿につくし和え

近詠
優しい子きっとつらさも知っている
呻くのは淋しいからか夜具の中
草むしり飽きない爺に春霞

4月28日(日)
優しいなやっぱ大病してたんや
心臓の一の矢誰か抜いてくれ
結論を急がせている咳払い
近詠
職人の寡黙に秘めた志
お花見にお花見できるありがたさ
辛いのは人の淋しさ見えたとき

5月26日(日)
ふる里の我が家そのまま夢の中
そのままでいいよにあぐら五十年
踏み台になってやるぞと背を丸め
口説くのに利用していた花言葉
よう言うわ甘いマスクできついこと

針山に嫁と姑のもめん針

近詠
道化師の目は物悲し俺を射る
逆縁とぽつり洩らしたひと哀し
亡き夫と笑みを交わしたティータイム

6月23日(日)
指揮棒の先で踊っている音符
盆踊り父母楽しげに向う岸
ほろにがい酒酌み交わす左遷先
ほろにがい恋大人への第一歩

藤棚のつるに届くかもみじの手
近詠
再婚もいいよと逝った妻哀し
振り向いて欲しくて母の背を追う
ポイントであいづちを打つ聞き上手

7月28日(日)
雨垂れはかなわぬ恋のセレナーデ
しずくにも意地があります石穿つ
一滴じゃ効かなかったか惚れ薬
三度目のどじょうすくいに一人立ち
群れを出る石の届かぬところまで
生真面目でいい人なのに嫁来ない

子燕がやっと覚えた宙返り

近詠
淋しげな風鈴主なき書斎
唯生きて唯生きていて欲しいだけ
余命聞きかける言葉が見当たらず

8月25日(日)

奔放に育てすぎたかまた離婚

ノウハウを教え母屋を乗っ取られ

本心を聞けばよかった嫁ぐ前

たっぷりと墨を含ませ「不退転」

欲得を抜いてつき合う定年後

添い寝して軽い寝息に安堵する

飛びつく子母の温もり欲しくって

近詠

風を読み静かに待っている好機

輪の中へ人の優しさ恋しくて

逆縁に泣き暮らす友生きてくれ

 

9月22日(日)市民川柳大会

何かあるやわらかすぎるこの空気

真っ直ぐに落ちる涙に嘘はない

 

10月20日(日)

病んだ今病んだあなたの気持知る

家出した我が娘今ではいいママに

ネクタイの捻れないのに直す妻

ねじれたら首締まるかな赤い糸

流れ弾前から来ると思い込み

二次会へ流れ初めて聞く本音

俺のだけ最初に落ちる竹トンボ

人生はびっくり箱の連続だ

あれからは帰ってこないブーメラン

 

近詠

散るを知り競う紅葉の艶やかさ

散り際によぎる華やかすぎた日日

あなたには淋しい人が何故分かる

 

11月23日(土)

ピンシューズ見付け車両を変える朝

掴んだ手離さないでね辛いとき

掴まえてと君の背中に書いてある

温い手が淋しいハート鷲掴み

一泊もしないで帰る里帰り

一人だとこんなのびのびティータイム

近詠

母を待つ外階段に秋の風

温もりの仲間が悲しみを癒す

いい顔になったな辛さ乗り越えて

 

12月23日(月)

無駄話聞くのも介護嫁のぐち

終わる恋と知りつつ逢いにいそいそと

仏顔やっぱり嘘はつけんなあ

独り旅そろそろかもねいい出合い

近詠

枯葉散る人の命の散るごとく

生きているものみな愛し大病後

誰にでも優しくできる人らしい

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2012年吹田川柳会(お題なし。抜けた句のみ)

2015年04月03日 | 吹田川柳会

2012年
1月22日(日)
不義理でも無心ことわる親友だから
頼まれる仲ではないと後退り
頼まれることもなくなり石をける
縄のれん下ろし女将と飲み直し
つらかろう俺も一緒に酔ってやる
ほどほどにさびを利かせる優しさよ

抱きしめて手が回らない胴回り

近詠
文楽の仕草に習う艶っぽさ
花の香に心奪われ迷い道
初恋の手紙が書けず白い朝

2月19日(日)
立つ位置が変われば見える人の情
寡黙でも腹にいちもつ目に炎
大病が生き方変える鍵になり

鎮魂の想いを込めてタクト振る
近詠
ありがたい茶飲み友達いるだけで
毎日をまっさらにする雪の朝
老いてなおときめく心持て余す

3月1日(木) 「一日川柳教室」
お茶だけと誘われたのに二日酔い
春風に誘い合わせて花めぐり
絵本読む母も眠りに誘われる

3月25日(日)
料理より凝った器を先にほめ
平凡な絵を引き立てる凝った額
占いに凝って迷いがまた増えて
柱知る寡黙な父の生きざまを
風雪に堪えた柱に父をみる
捕まえて万歳させて服を着せ
真実を語れば増える敵味方

幕間から座長がのぞく客の入り

近詠
話題作読んだつもりの書評欄
多すぎる畑違いの評論家
同性の方がきびしいあら探し

4月15日(日)
不思議がる心があればまだ老いぬ
数学で自然の不思議解く学者
座を仕切る奴が仕切れぬ家の中
悲しみで積もった根雪いつ溶ける
近詠
雨宿り鈴を失くした迷い猫
わからないことわかりだす 老い楽し
老いてなお桜花に負けじ紅をさす

5月20日(日)
泣きません涙の蛇口固く閉じ
蛇口からがぶ飲み若さはじけ散る
托鉢にせめておむすび一個でも
恨むまいせめて線香一本を
淋しげな花を選んだ蝶の恋

青春の古傷痛むバリケード

純愛がぶつかり合って悔い残る

近詠
握る手の強さに老母(はは)の思い知る
淋しそう最前列でひとりぼち
さりげない言葉に涙する辛さ

6月24日(日)
背伸びして大人の秘密見たがる子
かたくなな心を溶かす人の情
悲しみで積もった根雪まだ溶けぬ
わだかまり溶かす優しい詫び言葉

しなやかに一筆書きの様に生き

近詠
ひとりぼち肩に手をやる友の影
近すぎてつい優しさが置きざりに
優しさに囲まれていてなお寂し

7月22日(日)
踏まないでそこに四つ葉のクローバー
新しい出会いありそう一人旅
近詠
頬笑みで淋しさ隠すいじらしさ
温もりが欲しくて友の手を握る
ひとりぼち無性に欲しい優しさが

8月26日(日)
勝気より一歩引くのが恋上手
貸さへんでなんぼ仏と拝んでも
平穏な日々手を合わす大病後

両親を斜めに見上げ反抗期

補聴器の聞こえすぎるは不和のもと

近詠
つい声を淋しげな人放っとけず
ハンカチに手渡す人の温もりが
美しく決めたい着地人生の

9月23日(日)吹田市民川柳大会
初めての小さな勇気おつかいに
どうぞには笑みを浮かべてありがとう
かたくなもやがて溶け出す優しさに
サーフィンを終えた二人に秋の風

10月28日(日)
道化師は素顔を家に置いて来る
縄のれん下ろし素顔になる女将
首よりはましだと拝受する左遷

ありがとうよくぞここまで秋日和

二人して歩幅合わせる老いの道

近詠
親友に本音も言えずひとりぼち
淋しさが律儀な母の乱筆に
優しさに敏感になる大病後

11月23日(金)
想い出が帰らぬ人を追いかける
別れてもまだ追いかける夢の中
胸騒ぎ打ち消す母の声の張り
くつろいで尻尾を出した古狸
手品師は話術で客を油断させ

亡き妻の日記は読めず封をする

近詠
友が逝く哀しいまでに青い空
母の床窓辺に移し日向ぼこ
温もりを求めて今日も人の輪に

12月24日(月)
触る手の温さに溶ける雪女
涙する心が友と友結ぶ
つながった電話に安堵母の声
近詠
淋しさに盃を重ねる冬隣
あれこれと悩む子をただ抱きしめる
優しさに包まれたくて人の輪へ


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