Aハガキ1枚目
小西ひかる川柳~作品集より抜粋(三の一)
近すぎてつい優しさを置き去りに
手術後の重湯に涙ぐむあなた
大病に優しくなっていくあなた
さりげない言葉に涙する辛さ
散るを知り力の限り咲く刹那
生きているものみな愛し大病後
温もりを求めて今日も人の輪へ
平凡な日日手を合わす大病後
優しい子きっと淋しさ知っている
見た目ほど楽ではないぞ立ち泳ぎ
跳び箱を一段下げて楽に生き
枯葉散る人の命の散るごとく
老いるのは哀し友だち減っていく
平成十四年二月と二十年九月に胃癌の手術を受けました。(残胃八分の一)。平成二十一年一月から二十二年十二月までの二年間に十六回腸閉塞になりました。とても辛かったです。やるせない思いを五七五にすることを覚えました。それなりに気持ちが楽になりました。平成二十二年十二月に癒着剥離手術を受けてから腸閉塞はなくなりました。今は健康で幸せです。支えてくれた家族、友人に感謝です。スキルス性胃癌を早期に発見してくれた医師と温かく接してくれた看護師さんたちに感謝です。今後は、いただいた余生を、明るく楽しく笑顔を忘れないで生きていきたいと思っています。
平成二十六年十月 大阪 吹田川柳会 小西ひかる
Bハガキ2枚目
小西ひかる川柳~作品集より抜粋(三の二)
面影を求めて止まぬ冬銀河
(吹田市民川柳大会 教育委員会賞)
病室の窓から遠い雨を見る
独りではないと手を振る友がいる
心こめ優しい言葉そっと置く
嬉し泣ききっと隠していた辛さ
優しさに気付き素直になる私
ここがいいあなたの側にそっと咲く
日日感謝多くの人に支えられ
嫌なことすぐに忘れる生き上手
幸せになれば見えないものがある
駅ナカへ出かけ淋しさ置いてくる
余生にも途中下車する好奇心
逆境をさらりと語る人になり
人の世の儚さ思う風花に
生きるため捨ててきたもの今愛し
今を生きる悔いもおそれもない余生
平成二十六年十一月に腸閉塞になり十五日間入院しました。無理をして生き急いでいました。これからは、もう少し、ゆっくりと生きていこうと思っています。
平成二十七年三月
大阪 吹田川柳会 小西ひかる
Cハガキ3枚目
小西ひかる川柳~作品集より抜粋(三の三)
やわらかい空気が癒す患者会
欠席の君が気になる患者会
独りではないこの辛さ患者会
優しいなやっぱ大病してたんや
病葉をみつけて掬う優しい手
優しさを注いであげましょ二合まで
人生に乾杯一度切りだもん
優しさについ涙する気の弱り
日に一度笑えばよしとする病後
青春を辿りたくなり鈍行に
あの夏の海に青春浮いたまま
病んでまた耐えられるかと試される
回り道自分を見つめ直す時
あと少し いい思い出を作りましょ
思うまま生きて悔いなしこの老後
ありがとねここまでついてきてくれて
平成二十七年六月に腸閉塞(十九回目)になり十一日間入院しました。疲れと冷えが身体の弱いところを突いてくるようです。まだまだ修行が足りません。これからは、日々平穏無事を大切にして、生きて行きたいと思っています。
平成二十七年九月
大阪 吹田川柳会 小西ひかる