一気に値上げされた軍用地代。
会社経営が厳しかった花城さんは
その軍用地代を借金の返済に充てました。
「契約そのものに対しても、特別な異論は出てこなかったんじゃないなと思う。」
──個人としても、そうお感じに。
「はい。飼い慣らされてるから、もう。
いわゆる戦後のあの放心状態から、やっとここまで来たのかなという感じはしたけれども」
その後、沖縄県内の地主の9割以上が所属する団体、土地連の会長も務めた花城さん。
自宅には、一枚の感謝状が飾られていました。
アメリカ軍基地の安定使用に協力してきたことに対して、日本政府が11年前に送ったものでした。
しかしこの頃から、花城さんは複雑な気持ちを抱えるようになったと言います。
本来、奪われた自分たちの土地に対する補償であった軍用地代。
それがいつのまにか高値で売買されるようになっていました。
家族や親戚の間で軍用地の権利を奪いあったり、
軍用地代を過去に遡って要求したりするトラブルが増えるようになったのです。
軍用地代をめぐって、頻繁に生じる家族同士のいさかい。
自分たちが提供した土地によって、日々引き起こされる基地の被害。
この先も基地と共存していかなければならないのか。
花城さんは疑問を感じるようになっていました。