カトログ !! ~ カトレヤ交配種のブログ (Hybrid Cattleya's Database) ~

洋蘭の女王カトレアのデータベース(主に大輪系交配種)&育種交配・実生の魅力をご紹介

<カトログ !! 版> 大輪系カトレヤ交配種『新時代の胎動』Vol.3

2024年08月24日 09時43分28秒 | ■特集
※当記事は、NEW ORCHIDS(ニュー・オーキッド)廃刊のため掲載されなかった(2012年に掲載予定だったもの)私の寄稿のブログ版です。


・深夜の神戸港に停泊するフェリー「こんぴら2」

〜 温故知新 リエズ・デライト (Rlc. Rie's Delight) に見る銘親の“能力(ちから)” 〜

 午前0時。暗闇の中、低い唸り声を上げながら神戸港に接岸するフェリー。
 仕事納めの宴のあと、くたびれた安背広のまま、このフェリーで仮眠をとり早朝4時の高松港に着くのが、私が育種家サンセットさんと出会ってから数年の年末恒例の“高松詣で”となっていました。
 1989年に神戸、高松間に就航したこのフェリーは、寂れた船内にシャンデリア風の照明などの華美な装飾が施され、それが丁度、道化にも似た滑稽な寂寥感を醸し出しており、過去にこのフェリーに乗った人々の気配や思念のようなものの断片が、そこに僅かずつ残留して漂っているかのようにも思われるのでした。
 カトレヤもまたそれと似て、往年の銘花などには、その花を創出した方の情熱や想い、愛培した数多の人の情念のようなものの蓄積が、その株に内在して、あたかも、ある種のエネルギーを生じさせているかのように感じられることがあります。
 「育種」「交配」「品種改良」などと言えば、ひたすらに未来志向で、往年の品種には目もくれぬかのように誤解を招く場合もあるかもしれませんが、それらのことと真剣に、誠実に向き合おうとすればするほど、花々との対話から学ばなければならない事は多く、彼女たちに秘められた、時に謎かけにも似た先人のメッセージを読み解き、その交配の系統を紐解くことが、思い描いた“理想の花”創出への羅針盤となることも、私が“高松詣で”で学ばせていただいた大切な事のひとつです。



※画像は Rlc. Rie's Delight の選抜個体‘オクトーバー (October) ’(NS:15.0cm)
リエズ・デライト
Rlc. Rie's Delight

(Rlc. Rie's Bay × C. Horace (13/03/2006))
 香川県高松市の育種家サンセットさんの交配・登録品種。
 同じくサンセットさん登録によるサンセットカラー系花リエズ・ベイ‘オレンジーズ’HCC/JOS (Rlc. Rie's Bay‘Oranges’HCC/JOS ) と、整型花を生む銘親として数多の実績を有し、もはや伝説的とも思える銘親ホレース‘マキシマ’(C. Horace‘Maxima’AM/AOS) との交配です。
 この交配からは、一見ソフトな印象の中にも、どこか鮮烈なインパクトを放つアクセントを備えた個性的な個体たちが選抜されており、なお且つ、そのほとんどの個体が忠実に銘親ホレース‘マキシマ’の特長を継承したペタルのオーバーラップするボリューム感のある整型花となっている点は注目すべき点だと思います。
 ただし、この交配の場合、ホレース‘マキシマ’の能力以外にも、もう一方の親であるリエズ・ベイ‘オレンジーズ’が、サンセットカラー系花としては特筆すべき均整を有するペタルの展開の良い整型花であることから、相乗効果的にその子どもたちに高い確率で整型個体が出現したとも言えそうです。
 ちなみに、写真の個体‘オクトーバー (October) ’はサンセットさんの選抜個体で、透明感のあるペタルの繊細な色調と、斬新なリップの彩りが絶妙に調和する、颯爽とした印象の整型極美花だと思います。

●Rlc. Rie's Delight についての記事は、こちらをクリック!



リエズ・デライト (Rlc. Rie's Delight) の種子親
リエズ・ベイ‘オレンジーズ’HCC/JOS
Rlc. Rie's Bay‘Oranges’HCC/JOS

(Rlc. Formosan Gold × Rlc. Sunset Bay (13/03/2006))
 系統的に黄花とサンセットカラー系花を生む親同士の交配。サンセットさんの登録品種です。
 本種の交配を紐解くと黄花やサンセットカラー系花の親としての優れた実績を有する品種が多く、その整型の花容からも交配親として今後の活躍が期待できそうな高いポテンシャルを有している魅力的な品種ではないかと思っています。

●Rlc. Rie's Bay についての記事は、こちらをクリック!


リエズ・デライト (Rlc. Rie's Delight) の花粉親
ホレース‘マキシマ’AM/AOS
C. Horace‘Maxima’AM/AOS

(C. trianae × C. Woltersiana (01/01/1938))
 言わずと知れた、あまりにも有名な偉大なる銘親。
 ドラムビート (C. Drumbeat) 。メロディー・フェア (C. Melody Fair) 。ゴールデンゼル (Rlc. Goldenzelle) 等の“銘交配”を生み出した実績を有し、カトレヤの品種改良史に多大なる足跡を残し、今なお重用され続ける伝説的とも思える銘親。(※ C. Horace‘Maxima’の偉大な功績につきましては、また別の機会に記事にさせていただきたいと思います。

●C. Horace についての記事は、こちらをクリック!


<Rlc. Rie's Delight 個体ギャラリー>

リエズ・デライト (Rlc. Rie's Delight) の現時点(2012年)での選抜個体をご紹介します。


NS:15.0cm
リエズ・デライト‘ガヨウ’
Rlc. Rie's Delight‘Gayo’

 非常に力強く展開する精悍な印象の整型極美個体。ペタルも見事にオーバーラップしています。
 また、花色は暖かく繊細な色調で、リップの濃厚かつ抜群のコントラストを醸し出す彩りも非常に印象的だと思います。
 ちなみに、この個体の選抜は高松の蘭育種家、故ガヨウさんによるもので、個体名‘ガヨウ (Gayo) ’は自らのお名前に因まれたものです。2010年に78才でお亡くなりになるまで、カトレヤについては約30交配を行われ、それらの実生苗は現在、サンセットさんを始めとする高松の育種家の皆さんが遺志を受け継ぎ、栽培なさっています。
 なお、香川では育種家間でのお互いの交配苗の分譲・交換は日常的に行われています。

●Rlc. Rie's Delight‘Gayo’についての記事は、こちらをクリック!


NS:14.0cm
リエズ・デライト‘キャナリー’
Rlc. Rie's Delight‘Canary’

 力強くフラットに展開し見事にオーバーラップするぺタルと、暖かみのある鮮明なイエローコンカラー系基調の花色にリップの斬新なデザインが非常に印象的な極美個体だと思います。
●Rlc. Rie's Delight‘Canary’についての記事は、こちらをクリック!


NS:14.0cm
リエズ・デライト‘ディッセンバー’
Rlc. Rie's Delight‘December’

 暖かな色調の花色にリップ下部中央の真っ赤な彩りが非常にインパクトのある豊満な花容の整型美個体。
●Rlc. Rie's Delight‘December’についての記事は、こちらをクリック!


NS:13.0cm
リエズ・デライト‘ハニー’
Rlc. Rie's Delight‘Honey’

 リエズ・ベイからの影響を感じさせる、やや硬い印象の花容に、両親の花色が程よく溶け合わさったような優しい花色の美個体。個体名はこの「蜂蜜」のような花色に因んでいます。
●Rlc. Rie's Delight‘Honey’についての記事は、こちらをクリック!


NS:14.0cm
リエズ・デライト‘レインボー’
Rlc. Rie's Delight‘Rainbow’

 個体名の通り、見る角度やライティングによって、多彩な色調に変化する、まるで万華鏡のような不思議な花色の極美個体。リップのデザインも斬新で非常に印象的だと思います。
●Rlc. Rie's Delight‘Rainbow’についての記事は、こちらをクリック!


NS:15.5cm
リエズ・デライト‘レモネード’
Rlc. Rie's Delight‘Lemonade’

 鮮明な黄色の花色にリップ先端の赤が非常に印象的な整型極美個体。個体名はこのクリアーな花色に因んでいます。
●Rlc. Rie's Delight‘Lemonade’についての記事は、こちらをクリック!


NS:13.0cm
リエズ・デライト‘サンライズ’
Rlc. Rie's Delight‘Sunrise’

 暖かいピンクオレンジ基調の花色に、真ん丸なリップが個体名のように日の出の太陽を想起させる愛らしい印象の美個体だと思います。
●Rlc. Rie's Delight‘Sunrise’についての記事は、こちらをクリック!


●<カトログ !! 版> 大輪系カトレヤ交配種『新時代の胎動』Vol.1は、こちらをクリック!

●<カトログ !! 版> 大輪系カトレヤ交配種『新時代の胎動』Vol.2は、こちらをクリック!



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「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣)2023冬」レポート(2023年12月)

2024年01月29日 00時00分00秒 | ■特集
 2023年の暮れの香川詣での様子です。今年もアップが遅くなり恐縮です!
 今回もサンセットさん、四国巡礼さんには大変お世話になりました。今回も合流してくださった岡山のレッドさんにも感謝!
 大輪系カトレヤ交配種三昧、うどん三昧で刺激と癒やしを満喫させていただきました!
 今後も参加者を募りますので、その際には、あなたも是非、ご参加ください!
(※各々の花に関しましては、また後日の更新でも、ご紹介させていただきます。)



於:サンセットさん温室 1


於:サンセットさん温室 2


於:サンセットさん温室 3


於:サンセットさん温室 4


於:サンセットさん温室 5


於:サンセットさん温室 6


於:サンセットさん温室 7


於:サンセットさん温室 8


於:サンセットさん温室 9


於:四国巡礼さん温室 1


於:四国巡礼さん温室 2


於:四国巡礼さん温室 3


於:四国巡礼さん温室 4


於:四国巡礼さん温室 5


於:四国巡礼さん温室 6


於:四国巡礼さん温室 7


於:四国巡礼さん温室 8


於:四国巡礼さん温室 9





















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見学ツアーレポート記事リンク集

2023年12月10日 14時23分54秒 | ■特集
※2023年12月10日内容更新
※各レポート名をクリックするとその記事にジャンプします。


「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣で)2022冬」画像レポート(2022年12月)



「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣で)2021冬」画像レポート(2021年12月)



「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣で)2018冬」画像レポート(2017年12月)



「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2017冬」画像レポート(2017年12月)



「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2016冬」画像レポート(2016年12月)【大輪系カトレヤ交配種編】


「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2016冬」画像レポート(2016年12月)【うどん三昧編】



「滋賀の蘭園巡り2016夏」レポート(4-1) ~ 飛喜多洋蘭園さん編 ~(2016年8月)

「滋賀の蘭園巡り2016夏」レポート(4-2) ~ 久栄ナーセリーさん編 ~(2016年8月)

「滋賀の蘭園巡り2016夏」レポート(4-3) ~ らんの家TSUTSUMIさん編 ~(2016年8月)

「滋賀の蘭園巡り2016夏」レポート(4-4) ~五島園芸さん守山農場編 ~(2016年8月)


「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2016GW」レポート(2016年5月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2015冬」レポート(2015年12月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー!2015夏」レポート(2015年8月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー!(高松詣)2015GW」画像レポート(2015年5月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー!(高松詣)2015GW」画像レポート<おまけ>(2015年5月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2014冬」レポート(2014年12月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー!2014夏」レポート(2014年8月)

「GW特別企画、サンセットさんの温室見学ツアー2014」レポート(2014年5月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2013」レポート(2013年12月)

「高知のセミイエローさんの温室見学2013」レポート(2013年8月)

「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(高松詣で)2012」レポート(2012年12月)

「GW特別企画、サンセットさんの温室見学ツアー2012」レポート(2012年5月)

「冬期講習!育種家サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2011年12月)

「夏期講習!育種家サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2011年8月)

「GW特別企画、サンセットさんの温室見学ツアー2011」レポート(2011年5月)

「夏期講習!育種家サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2010年8月)

「GW特別企画、サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2010年5月)

「冬期講習!育種家サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2009年12月)

「夏期講習!育種家サンセットさんの温室見学ツアー!」レポート(2009年8月)

育種家サンセットさんの温室と「おかやま蘭の祭典2009」見学ツアー!レポート(2009年5月)

育種家サンセットさんの温室と高松三越洋蘭展見学ツアー!レポート(2009年2月)

「夏休み特別企画、カトレヤ交配種の育種家さん温室見学ツアー!」レポート(2008年8月)

「GW特別企画、カトレヤ交配種の育種家さん温室見学ツアー!」レポート(2008年5月)


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<カトログ !! 版> 大輪系カトレヤ交配種『新時代の胎動』Vol.2

2023年11月04日 09時01分45秒 | ■特集
※当記事は、NEW ORCHIDS(ニュー・オーキッド)2012年 01月号への私の寄稿のブログ版です。


・学生時代に撮影した兵庫県尼崎市の夕空

〜 サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) という“夜明け” 〜

 兵庫県の南東部、大阪府とのはざまに位置する京阪神都市圏内屈指の工業都市、尼崎(あまがさき)。
 幼少期から成人するまでの多くの時期をその町で過ごした私は、そこで犇めき合いながら生きた人々、生きる人々の、何か想念のようなものの堆積が帯びた熱のような、その町独特の温もりが好きでした。
 学生時代、私はその尼崎という町の良くも悪しくも人間臭い情景を何かに留めておきたいと、安カメラでよくあちこちを撮って回ったものですが、中でも工場の屋根や煙突や鉄塔が影絵のように浮かぶ夕景に心惹かれ、刻一刻と移ろっては失せてゆくその色彩の儚さを愛し、無心に幾度もシャッターをきったものです。
 そんなこともあってか、私がカトレヤの花色でも愛して止まないのは、サンセットカラー(オレンジ系)なのですが、この花色は開花時期や栽培環境・株の状態などによる変化が他の花色に比して大きく、その不安定さゆえか、プロにとっては商品にし難い花色のようです。
 しかし、私のような愛好家にとっては、そうした変化もまた一興で、それが“愛好家の特権”とも思えるのです。
 そして、香川県高松市の育種家、サンセットさんの手によって、その特権を行使するかのごとく、生まれるべくして生まれてきたとも思われる品種“サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) ”からは、多様な花色や花容を持つ斬新な印象の個体たちが選抜されており、私はそれらの花々を拝見するにつれ、大輪系カトレヤ交配種にとって、闇夜をさまようかのごとく不遇の時代に、さらに追い打ちをかけるように一部で囁かれ始めた「品種改良の限界説」が、全くの誤認であることを確信し、サヌキ・サンセットと名付けられたその命の輝き(花)に、確かに、その“夜明け”を見たように思うのです。



サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) の種子親
ダルズ・サンセット‘リエ’HCC/JOS
Rlc. Dal's Sunset‘Rie’HCC/JOS

(Rlc. George King × Rlc. Waikiki Sunset (01/02/1995))
 サーモンピンク系の優秀花ジョージ・キング‘セレンディピティ’(Rlc. George King‘Serendipity’) と、サンセットカラー系の銘親ワイキキ・サンセット‘ブライテスト・オレンジ’(Rlc. Waikiki Sunset‘Brightest Orange’) との交配。
 写真の個体‘リエ (Rie) ’は、サンセットさんの選抜個体で HCC 入賞時の花径は 16.3cm もの大輪。親のジョージ・キング‘セレンディピティ’を超える新世代のサーモンピンク系の極美花だと思います。

●Rlc. Dal's Sunset‘Rie’についての記事は、こちらをクリック!




サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) の花粉親
メモリア・セイチ・イワサキ‘ワイアネ(ワイアナエ)’
Rlc. Memoria Seichi Iwasaki‘Waianae’

(C. Naomi Kerns × Rlc. Waikiki Sunset (01/12/1971))
 主にサンセットカラー系花の育種・改良に重用された実績のある、異なる系統の銘親同士の交配です。
 本種もまた、両親の能力を継承し、主にはサンセットカラー系花の育種・改良に貢献度の高い品種で、本種の子孫には赤花からサンセットカラー系花、そして黄花までが出現し、銘交配ゴールデンゼル (Rlc. Goldenzelle) に匹敵する程の多彩な展開が期待できる銘親ではないかと思います。

●Rlc. Memoria Seichi Iwasaki‘Waianae’についての記事は、こちらをクリック!



<Rlc. Sanuki Sunset 個体ギャラリー>

今回は、サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) の選抜個体や開花例をご紹介します。


サヌキ・サンセット‘リエ’
Rlc. Sanuki Sunset‘Rie’

 力強い花容と濃く鮮やかな花色を併せ持つ極美個体。
 重厚感のある円く雄大なリップの黄色と赤のコントラストは鮮烈なインパクトを放ち、その花容は銘花パメラ・ヘザリントン‘コロネーション’FCC/AOS (Rlc. Pamela Hetherington‘Coronation’FCC/AOS) を彷彿とさせる素晴らしい花だと思います。

●Rlc. Sanuki Sunset‘Rie’についての記事は、こちらをクリック!



サヌキ・サンセット 実生開花例1
Rlc. Sanuki Sunset 実生開花例1

 本交配中でも、まさに異色の黄花個体です。
 祖先のジョージ・キング (Rlc. George King) にはイエローコンカラー系の‘サザン・クロス (Southern Closs) ’という個体も存在し、その子孫にも黄花系品種が生まれていますので、こういった黄花個体が出現することも納得がいきます。



サヌキ・サンセット‘セト・セイリング’
Rlc. Sanuki Sunset‘Seto Sailing’

 繊細な色調のオレンジの花色と、大きく円いリップには広範囲に鮮明な黄目が入り、喉の金脈も美しく先端部の赤も、鮮烈とも言えるほど高い彩度を有し非常に印象的です。また他の兄弟個体に比して、ペタルが深くオーバーラップしている為か、ソフトな中にも一層、引き締まった印象を受けます。本交配の選抜個体中でも特に優美な印象と華やかな色調を併せ持つ整型極美花だと思います。
●Rlc. Sanuki Sunset‘Seto Sailing’についての記事は、こちらをクリック!


サヌキ・サンセット‘トロピカル・フルーツ’
Rlc. Sanuki Sunset‘Tropical Fruits’

 今回ご紹介する他の兄弟個体とは異なり、リップの印象にメモリア・セイチ・イワサキ‘ワイアネ’(Rlc. Memoria Seichi Iwasaki‘Waianae’) からの影響を強く感じさせる優しく暖かみのある独特な色調の整型美花です。
 ちなみに、この花の個体名の命名は、高知県の高知のセミイエローさんという愛好家で、筆者と同じく交配・実生にも取り組んでおられます。
(栽培・写真提供=高知のセミイエローさん)

●Rlc. Sanuki Sunset‘Tropical Fruits’についての記事は、こちらをクリック!


サヌキ・サンセット‘ピンク・リップ’
Rlc. Sanuki Sunset‘Pink Rip’

 本交配中でも特筆すべき異彩を放つ極美個体。
 ‘ピンク・リップ (Pink Rip) ’の名の通り、ピンク地に黄目ではなく、白と淡いクリームイエローの目の入るリップを持つ、斬新かつ非常に珍しい花です。こういった未だかつて無いような、ユニークな配色・色調の花に出会える可能性があることも交配・実生の大きな魅力の一つだと思います。

●Rlc. Sanuki Sunset‘Pink Rip’についての記事は、こちらをクリック!


サヌキ・サンセット‘スザク(朱雀)’
Rlc. Sanuki Sunset‘Suzaku(朱雀)’

 香川県高松市の高橋洋蘭園の選抜個体。
 兄弟個体の‘リエ (Rie) ’と‘オレンジ・ジェム (Orange Gem) ’の印象を併せ持ったような美花だと思います。
 ちなみに、この花の個体名は筆者による命名なのですが、この個体の株は残念ながら既に枯死して現存しません。しかし、その遺伝子を未来へ継承する目的で、筆者はこの花の冷凍花粉を使用した交配を行っており、現在、その苗を大切に育成中です。

●Rlc. Sanuki Sunset‘Suzaku(朱雀)’についての記事は、こちらをクリック!


サヌキ・サンセット‘オレンジ・ジェム’
Rlc. Sanuki Sunset‘Orange Gem’

 本交配中、もっとも赤味の強いオレンジ色を呈すると思われる可憐で華やかな印象の美個体。両親よりもはるかに濃く彩度の高い花色となった興味深い個体でもあると思います。
 なお、花径は中〜中大輪クラスですが、1花茎に5輪着くこともあります。また、リップの黄目の入り方や花色には、祖先のワイキキ・サンセット‘ブライテスト・オレンジ’(Rlc. Waikiki Sunset‘Brightest Orange’) や、ナオミ・カーンズ ( C. Naomi Kerns ) からの良い影響を感じます。

●Rlc. Sanuki Sunset‘Orange Gem’についての記事は、こちらをクリック!


<サンセットさんの選抜個体名について>
 サンセットさんが実生株の栽培を始められた頃、選抜なさった個体の個体名は3人の娘さんに因んで、選抜順に‘リエ (Rie) ’、‘サチ (Sachi) ’、‘ユキ (Yuki) ’と命名されているのですが、通常、優秀個体は生育が早く素直に育っている苗から選抜される確率が高いそうですので、必然的に、個体‘リエ’には特に優秀な個体が多くなっているようです。なお、サンセットさんの近年の交配・登録品種には、品種名の最初に「リエズ(Rie's)」と付くものが多く、この場合には“リエ (Rie) ”の重複を避けるために別の個体名を付けておられます。


<サヌキ・サンセット ( Rlc. Sanuki Sunset ) の次世代>


サヌキ・サンデー
Rlc. Sanuki Sundae

(Rlc. Dal's Sunset × Rlc. Sanuki Sunset (30/3/2011))
 サヌキ・サンセット (Rlc. Sanuki Sunset) の創出者、サンセットさんによって、既にサヌキ・サンセットの次世代である“サヌキ・サンデー (Rlc. Sanuki Sundae) ”という品種が誕生しています。今回は、その個体の内、4個体をご紹介します。多彩な花色と斬新なリップのデザインのバラエティーをお楽しみ下さい!

●Rlc. Sanuki Sundae についての記事は、こちらをクリック!


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「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣)2022冬」レポート(2022年12月)

2023年02月05日 21時16分46秒 | ■特集
 2022年の暮れの香川詣での様子です。大変、アップが遅くなり恐縮です!
 今回もサンセットさん、四国巡礼さんには大変お世話になりました。今回も合流してくださった岡山のレッドさんにも感謝!
 大輪系カトレヤ交配種三昧、うどん三昧で刺激と癒やしを満喫させていただきました!
 今後も参加者を募りますので、その際には、あなたも是非、ご参加ください!
(※各々の花に関しましては、また後日の更新でご紹介させていただきます。)



於:サンセットさん温室 1


於:サンセットさん温室 2


於:四国巡礼さん温室 1


於:四国巡礼さん温室 2



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「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣)2021冬」レポート(2021年12月)

2021年12月31日 16時49分41秒 | ■特集
 今回は2018年の暮れ以来の香川詣でとなりました。今回もサンセットさん、四国巡礼さんには大変お世話になりました。合流してくださった岡山のレッドさんにも感謝!
 サンセットさんの新温室も拝見でき、大輪系カトレヤ交配種三昧、うどん三昧で刺激と癒やしを満喫させていただきました!
 来年、もう少しコロナが落ち着いたら、また参加者を募りたいと思っていますので、その際には、あなたも是非、ご参加ください!



於:サンセットさん温室 1
C. Persepolis‘Splendor’AM/AOS-JOS の初期メリクロン。花を愛する者としては少し複雑な心境ですが、時折見かけるメリクロンとの差は歴然。素晴らしい!


於:サンセットさん温室 2


於:サンセットさん温室 3


於:サンセットさん温室 4


於:サンセットさん温室 5


於:サンセットさん温室 6


於:サンセットさん温室 7


於:四国巡礼さん温室 1


於:四国巡礼さん温室 2


於:四国巡礼さん温室 3


於:四国巡礼さん温室 4


於:四国巡礼さん温室 5


於:四国巡礼さん温室 6


於:四国巡礼さん温室 7


於:四国巡礼さん温室 8


於:四国巡礼さん温室 9


於:四国巡礼さん温室 10


於:四国巡礼さん温室 11


於:四国巡礼さん温室 12


於:四国巡礼さん温室 13


於:四国巡礼さん温室 14


於:四国巡礼さん温室 15


於:四国巡礼さん温室 16


於:四国巡礼さん温室 17


於:四国巡礼さん温室 18


於:四国巡礼さん温室 19


於:四国巡礼さん温室 20


於:四国巡礼さん温室 21


於:四国巡礼さん温室 22


於:四国巡礼さん温室 23


於:四国巡礼さん温室 24


於:四国巡礼さん温室 25

※各画像に関するご質問等はメールにてお願いいたします。
※また個々の花については後日、記事にさせていただきます。
 


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「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣)2018冬」レポート(2018年12月)

2019年01月07日 00時00分00秒 | ■特集
 今回は3名の新規ご参加があり、とても楽しい香川詣となりました。各々にカトレヤとの関わり方が微妙に異なっておられるものの、「カトレヤ交配種が大好き!」という点で共感できる貴重な仲間と過ごした時間はとても有意義なものでした。また、20歳代と30歳代の方からは、自身が現在よりももっと盲目的に夢中になっていたころのことも思い起こさせていただき、大変刺激にもなりました。


於:高松駅前
早朝5時着のフェリーで高松入り。


於:ことでん 高松築港駅




まずは早朝うどんで腹ごしらえ。






於:サンセットさん温室 1
Rlc. Oconee‘Mendenhall’AM/AOSの初期メリクロン。やはり、いい花です!素晴らしい!


於:サンセットさん温室 2


於:サンセットさん温室 3


於:サンセットさん温室 4


於:サンセットさん温室 5


於:サンセットさん温室 6
 サンセットさんの「夢の欠片」です。受粉して結実しなかった交配のラベル。この熱意、脱帽です!



昼食は、一鶴の骨付鳥!



於:四国巡礼さん温室 1
 夢の世界へ、ようこそ!


於:四国巡礼さん温室 2


於:四国巡礼さん温室 3


於:四国巡礼さん温室 4


於:四国巡礼さん温室 5


於:四国巡礼さん温室 6


於:四国巡礼さん温室 7


於:四国巡礼さん温室 8


於:四国巡礼さん温室 9


於:四国巡礼さん温室 10


於:四国巡礼さん温室 11


於:四国巡礼さん温室 12


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神戸蘭友会「2018年 秋のバス旅行(滋賀県)」画像レポート

2018年11月07日 00時00分00秒 | ■特集

於:久栄ナーセリー 1


於:久栄ナーセリー 2


於:久栄ナーセリー 3


於:久栄ナーセリー 4


於:久栄ナーセリー 5


於:久栄ナーセリー 6


於:久栄ナーセリー 7


於:久栄ナーセリー 8


於:久栄ナーセリー 9


於:久栄ナーセリー 10


於:久栄ナーセリー 11



於:らんの家 TSUTSUMI 1
 

於:らんの家 TSUTSUMI 2


於:らんの家 TSUTSUMI 3


於:らんの家 TSUTSUMI 4


於:らんの家 TSUTSUMI 5



於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 1 


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 2


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 3


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 4


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 5


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 6


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 7


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 8


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 9


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 10


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 11


於:滋賀洋らん会 2018秋の洋らん展 12



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「育種家サンセットさんの温室見学ツアー(香川詣)2017冬」レポート(2017年12月)

2018年01月02日 00時00分00秒 | ■特集
 思えば、昨年で13年目の「香川詣(高松&丸亀)」。毎年、欠かさず数回の訪問を重ねてきました。「そこに何があるのか?」と問われれば、「夢と希望」といったベタな返答しか出来そうもありませんが、実際、それが全てだと思います。
 社会人としては、矢面に立ち続けられるある種の鈍感さと、思い込みの激しさに起因する愚直さで、平均睡眠時間3時間の世界を十数年疾走し続けた時期もありましたが、それを可能にしてくれたのは、全く、このカトレヤ(大輪系交配種)という花の存在と、それがご縁で出会った方々との絆としての「香川詣」でした。



於:高松駅前
早朝5時着のフェリーで高松入り。


於:高松駅前


於:ことでん 高松築港駅前


於:ことでん 高松築港駅




まずは早朝うどんで腹ごしらえ。


於:サンセットさん温室 1


於:サンセットさん温室 2


於:サンセットさん温室 3


於:サンセットさん温室 4


於:サンセットさん温室 5


於:サンセットさん温室 6


於:サンセットさん温室 7


於:サンセットさん温室 8



昼食も、もちろん、うどん!牛すじおでんも美味でした!



於:四国巡礼さん温室 1


於:四国巡礼さん温室 2


於:四国巡礼さん温室 3


於:四国巡礼さん温室 4


於:四国巡礼さん温室 5


於:四国巡礼さん温室 6


於:四国巡礼さん温室 7



明石海峡大橋(愛称:パールブリッジ)
帰路は高速バスにて。夜10時半頃に、明石海峡大橋にある高速舞子停留所に到着。


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温室見学レポート -子安健司さん編ー

2017年12月24日 00時00分00秒 | ■特集
先日、いくつかの洋蘭愛好会で要職を務めておられる大阪の子安健司さんの温室を見学させていただきましたので、その様子をレポートさせていただきます。

当日は薄曇りで時折、小雨のぱらつく天候でしたが、優しい光の中で穏やかな花々の表情を拝見することが出来、幸いでした。
まず、温室に歩み入らせていただきますと、お手入れの行き届いた温室特有の蘭菌の良い香りがふんわりと漂っていることを確認できました。



画像の通り、整然と、かつ、見やすく配置された株たちは、まるで蘭屋さんの販売温室のようでした。


子安さんは洋蘭愛好会で審査委員も務めておられますので、温室には、じつに様々な種類の蘭が栽培されていたのですが、まるで私の来訪を歓迎してくれているかのように、大輪のカトレヤたちが見事に咲き誇っていました。




こちらは、開花を待っている株たち。葉の色から充分に日照が足りていることがわかります。


天井部には夜間でも株が見られる大型蛍光灯完備。そして、高温時に天窓を開閉できる天窓自動開閉装置も完備。


以下、訪問時に咲いていた花の画像をご紹介させていただきますが、各花についての記事はまた後日、別途にアップさせていただきます。

























 子安さんは比較的ポピュラーな花のポテンシャルを、愛培することにより存分に引き出すことも楽しみのひとつになさっておられるとのことで、画像の花々が、まさに、そのことを体現していました。
 今回、約5年ぶりに子安さんの温室を見学させていただき、良い刺激をたくさんいただきました!




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