介護施設では認知症の方のケアにあたることも多くあります。
アロマの後は気持ちが穏やかになり、満足もして笑顔が見られてきます。
「あら・・いいおばあちゃんになってるわ・・・いつもこうだといいのにねぇ~」っとスタッフが言うのをよく耳にします。
今の手技でもこのように変化が見られるのですが、もっと認知症の方に行なうケアとして適当なものは無いものかと・・・・今回認知緩和ケアの一つ「タクティールケア」のセミナーを受けに行ってきました。
スウェーデンでは認知症の緩和ケアとして確立され医療現場やグループホームなどで行なわれているそうです。
まだしっかりしたエビデンスが確立されていないようですが、どうも「オキシトシン」という
視床下部のある神経分泌細胞で作られ下垂体後葉から血中に分泌されるホルモンが
大きく係わってきているようです。
手技のポイントとしては「優しく、包み込むように、そして感謝の気持ちをもって触れる・・・」
手順や方法は細かく色々ありますが・・・・・
そうするとオキシトシンというホルモンが多く分泌されると言うわけです。
ではこの「オキシトシン」・・・どのようなホルモンでしょう。
解剖生理学では「子宮筋収縮、陣痛促進、乳汁放出促進」の働きがあると教わりましたが、
別名「信頼のホルモン」「愛のホルモン」とも呼ばれ、人を信じる能力や互いをいたわる能力に関わりがあるとされています。良い人間関係を築きあげるために重要なホルモンでもあるわけです。
また面白いことにこのケアは相互作用があり、受け手もやる方も「オキシトシン」は分泌されるそうです。施術する方が「ありがとうございました」と感謝の気持ちを述べるという理由もそこにあるんですね。
また動物の体をやさしくさすることでも同じで、さする人間の体内でも「オキシトシン」量が高くなり、触られた動物達の体内でも「オキシトシン」量が高くなることが証明されています。
つまり人と動物でも触れ合うことによって、ストレスを緩衝し孤独感を癒してくれるなどの相互作用が働いて、多くの恩恵が得られるというわけです。
在宅では、介護者と被介護者で行なうと両者に作用し効果は絶大かもしれません。
オキシトシンによって長期記憶の増強(特に空間認識能力)が認められることも分かってきた研究もあるそうです。
と言うわけで「オキシトシン」の分泌を促すケアは、安心感、信頼感をもたらし徘徊、うつ症状、暴言攻撃などの周辺症状を緩和できる為、認知症のケアとしてどんどん取り入れられてくるといいと思います。
(もちろん万人に効果あるというわけでなく、触れられることを好まない方もいるので必ず許可なり、確認を取る必要があります)
自分がどのような存在なのか分からなくなる認知症・・・・
健常者には理解できない行動や発言・・・・
その奥底には認知症という病気が襲う「本人だけが感じる恐怖だったり、不安だったり・・・・・」
まだこの病気の進行を遅らせる薬しかありません。
犯された脳細胞を治す薬がいつか開発されることを期待しつつ
今私にできること・・・・を精一杯やっていきたいと思います。