六弦研究所

ギターと歌と絵とお笑いと飯。たまに運動。

映画評論家ゲンタ

2010-06-15 22:27:00 | ノンジャンル
(めちゃ長いよ)

やっぱ書いとこう(笑)
北野武最新作
「アウトレイジ」
俺には深い映画に感じた

たけしさんは
この映画についてよく
エンターテイメント映画という言葉を使い
笑いも多いという。

確かに面白いところもあるけど、痛いとこが
多いように思えた。
「笑って見て」という監督の言葉通りには
俺には見れなかった。

とにかくリアルと感じる

エンターテインメントというよりドキュメント
といった感じがした。

前から言ってるように
たけしさんの映画は
キャラの一人一人の命がとても重い。
ハリウッドみたいに爆発がボーンと起きて
ビルが壊れ、車がつぶれ、街が壊滅…
何人が死んだか分からない…様な事は無い。

一人一人の死が見てるこっちの顔が歪むような
痛みとともにやってくる
それはホラーじゃなく現実的に。

たとえば予告を見てもらっても分かるが
http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html

[[youtube:8kWbAq984-E]]

大人達の怒号が響くが意外と怖くなかったりする
現実は意外とそんなもんで恐いか恐くないかは
その時の自分の心が決めるもんだ。
その状況に自分が立たされたわけでなく
端から見てると意外と間抜けだったりする

そしてたけしさんの映画を見てて
いつも感じるのが2つ
「自然界には強いという基準がない」と
「殺したら殺されるだけ」ということ

よく「喧嘩が強い」というがそこに基準はない
勝ったら強い、負けたら弱い。な訳だが
何を持って勝つのか?
今回の映画では誰も勝たない。
例えば一人のやくざが相手のやくざを
殴り倒した。彼は強いか?強いように思う
でも数日後同じ相手に後ろから刺され死んだ。
彼はまだ強いか?
そして一度やられた相手を殺したやくざは
強いか?最後に笑った感じがする。
でも後日殺した相手の組の奴らに銃で
ハチの巣にされて死んだ。彼は強いか?

格闘技やスポーツの様に
一定のルールを決めて争えば「強い」という
基準は多少生まれるかもしれない。
でも喧嘩のようなルール無用の世界では
いたちごっこになってしまう

その描写が武映画はとてもうまいと思う

(ここから少しネタばれ)

椎名桔平が対やくざでは
とても強気だが警官に怒鳴られて煙草を
拾い車に投げつけるしかないあのシーンは
とてもリアルだと思う。

また小日向を散々コケにしてきた武が、
最後小日向のストレートを食らうが立場上
何も返せない。そしてあの距離なら
ストレートは避けれない。
そういう細かいリアルさをはさんでくる
センスが好きだ。

アニメやハリウッドの主人公のような
絶対的に勝つヒーローなんていないという事を
思い知らされる。

アニメならあの距離からストレートをかわし
決め台詞を言うんだろうけど
武はもろに食らい鼻血を出し何も返せない(笑)

そして椎名が最後に身を隠していた女の部屋で
銃を運んでもらい、最後に女を抱き、覚悟を
決めて出ていく姿はとてもカッコイイが
何もしないうちからすぐ頭に銃を突きつけられ
拉致られ、最高に酷い殺され方をする。
しかも相手はストーリーに重要な役者でなく
ただのチンピラ。

アニメなら特攻隊長のようなキャラの椎名が
負けるはずは無さそうだけどね…武映画は
そこがすごいね。

武の最後も「痛っ!」つって引きの画で
全然見えないのが凄いよね(笑)

そしてもちろん見終わってから思うのが
三浦友和も加瀬亮もあの後すぐに
やられるんだろうな~って事(笑)

そうなんだよね、武映画をみててもう一つ
感じる事は「自分が死んでも世界は何の関係も
無く回っていく」って事
自分の為に泣いてくれる人以外の人にとっては
何でも無い事というのを思い知らされる。
だから死んだら終わりなんだよね。


うん、面白かった
俺的に3位かな?
4位かな~?

1.ソナチネ
2.座頭市
3.アウトレイジ?
4.その男凶暴につき?
5.HANA-BI

かな~。