(た)のShorinjiKempo備忘録

※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。

巻十字小手

2025年03月07日 | 柔法
備忘録、という事で今まで少林寺拳法(以下SKと略す)について考えてきた事を、自分がボケる前に記しておこうと思うのですが、ブログの説明に書いてある通り、
※注:本ブログは(た)個人の見解に基づいており、如何なる他の個人・団体の見解を解説・代弁するものはありません。
SKの技について考察はするのですが、もし本部の公式見解と矛盾していたら、私の方が間違っていると考えて頂いて差し支えありません。個人の備忘録ですから。。


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旧・科目表では、2級科目の最後に龍華拳の巻十字小手を修練しました。
巻十字小手は、現在では略十字小手の変化技としてしか修練されていませんが、教範には正十字小手と略十字小手、両方の変化技として記載されています。

SKの中では押受系の技法の扱いが流転している件は以前にも書きましたが、外押受蹴内押受蹴は旧・科目表の更に一つ前の科目表では、何故か三段科目として巻十字小手と同じコマに3法形が詰め込んで記載されていました。巻十字小手と押受蹴との間に技術的な関連が強いとは思われないので、思い返しても何とも奇妙でした。
そういった事もあってか、武専などで扱われる際にもこの3法形は扱いがぞんざいで、巻十字小手が指導されたり話題に上る事は殆ど無かったと思います。
それが前回の科目表改訂で巻十字小手は突如2級科目に<昇格>となり、級拳士にも指導する必要が生じた事から、審判講習会などでも取り上げられるようになりました。

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教範の略十字小手の項には「十字小手を捕ろうとした際、攻者が背を向けて逃れようとした場合に巻天秤を掛ける」というような事が書いてあります。新旧科目表にも攻者は「背を向けて逃れようとする」とあります。ただ科目表では「十字小手より変化」とも明記されており、科目表では正十字小手からの変化とは書かれておりません。
本山資料でも巻十字小手の説明は専ら略十字小手からのものであり、現在本山としてはそれで行きたいのかも知れません。

技術的には正十字と略十字では掛け手が異なりますので、その後の巻天秤にも影響があります。巻天秤に関して言えば、略十字の掛け手の方が難しくなります。略十字からの巻天秤は切返巻天秤に近い形という事になりますが、切返巻天秤との違いは、攻者に握られていた方の手が掛手になるのか(切返巻天秤)、握られてない方の手で掛手するのか(巻十字小手)、という事です。私は捌き手で自由に挟みに行けない巻十字小手の方が難しいと思います。

巻天秤には巻十字小手・切返巻天秤の他に、送巻天秤袖巻天秤がありますが、これらは送小手の掛手であり、掛手側でコントロールしやすい。詰まり正十字小手からの変化としての巻十字(←送小手の掛手)と略十字小手からの変化としての巻十字でも、捌手が掴まれている後者の方が難しいと私は思います。

この法形がある事によって、私は巻天秤という技法に誤解があるかも知れない、と気づきました。いま述べた通り、巻天秤に移行する時点で挟む方の腕が自由になっていないのは巻十字小手だけです。正十字小手からの変化では掛け手がしっかり攻者・掴み手の手刀に掛かっているので、十字抜の要領で掴まれていた腕を自由に出来るかも知れません。しかし略十字小手からの変化では、掛手に引き剥がす力が無いので、手首を掴まれた儘の状態で<巻天秤>を捕らなければならなくなります。これは一般に行なわれている<巻天秤>とは異なる方法になります(ならざるを得ないでしょう)。
巻十字小手の巻天秤は、<巻天秤>の例外なのか。
この事は、また後日時間があれば検討したいと思います。

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審判講習会では巻十字小手について、「S字を用いる方法、巻天秤、いずれも可」という様な説明がなされてきました。その意味するところについて、確かに再三説明はなされているですが、現時点においても結論は全く判然としません。
一雑兵としてのこちらは、説明の度に「こういう事?」「それともこういう事?」と考えを巡らすのですが、次の講習会ではまた別の解釈なのかと思わされたり、武専で質問しても勿論先生毎にバラバラなお答えが返ってきます。

今や級拳士科目なのですから本当はこんな事ではいけなのですが、現時点では、いつも通り「許容範囲を広げて色々な方法を模索」していくしかありません。トホホ...

という事で、この法形と<巻天秤>はまだまだ発展途上の興味深い技法ですので、皆さんも自分なりの仮説・検証を楽しんで下さい。。。
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