Health /Healthcare と Medical care

2011-05-28 23:09:55 | 医療用語(看護、医学)
'health'の訳は「健康」だけではない。「保健」「医療」「保健医療」「衛生」「健全な」「ヘルス」など、たくさんあって、文脈によって訳し分ける必要がある。(実際、この区別が難しいようだ)。

public health:公衆衛生
 (public health nurseは保健師)
mental health:精神保健、メンタルヘルス
occupational health:産業保健
 (occupational health nurse:産業看護師)

 かつて、mental healthは「精神衛生」、occupational healthは「労働衛生」を使っていた。ただ、現在、「労働安全衛生」など、法律の中では出てくるのだが、専門的な文献や会議では、いずれも「衛生」は使われず、「保健」を使う。「保健」は「健康を守り増進する」という意味で、いかにその人が自分の力で健康状態を守ってそれを高めていくかが課題になる。セルフケアができるように保健指導をしていくことが、特に看護の重要な役割だ。(保健師は、助産師とともに、看護の領域になる)。

 (ただ、public healthは公衆保健とはいわず、「公衆衛生」という)。

 冒頭に書いたように、healthの訳に「医療」がある。

 「医療」の訳として、medical care を出すことが多いようだが、ほとんどの場面ではそれでは不適だ。medicalについては、医学的な処置、つまり医師が処方する薬や手術などの処置を伴う場合はmedical careでよい。でも、同じ医療でも、予防や健康増進を含めた広義の意味、例えば、医療政策や医療経済学などのときには、healthcareか、health を使う。healthcare policy、healthcare economyである。
 看護の文脈でも、「医療」はhealthcareか、healthになる。看護は、平たく言えば、その人の持っている健康を回復する力を最大限に出せるように導いていく(保健指導)ことを目指すからだ。ICNだけではなく、看護の国際論文で使われていることばを見ると、「医療」は「保健医療」のことでなので、medical careではなく、healthcareか、healthが使われる。

 健康は、もちろん、身体的、精神的、社会的なものだ。生、死、老いること、人間の安寧と幸福には、医学モデルのみでは十分ではないことは、広く認識されてきたと思う。「医療」という言葉に「医(medical)」は入っているが、現実に、日本語の「医療」は、medicalを越えたもっと幅広い意味で使われており、healthcare、health である。
 
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