夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

NINE

2010年04月14日 | な行の映画
Story
イタリアが世界に誇る映画監督、グイド・コンティー二(ダニエル・デイ=ルイス)。だが豊かなはずの想像力が突如として消え果てた彼は、9作目となる新作の脚本を一行も書けずにいた。決まっているのは主演女優(ニコール・キッドマン)だけなのに、刻々と迫る撮影開始日。追い詰められた彼は、ついに新作の記者会見から逃げ出し、海辺のホテルに身を隠す。そこで人生に影響を与えた美しき女性たちの幻想に逃避し、現実世界では呼び出した浮気相手(ペネロペ・クルス)と妻(マリオン・コティヤール)に救いを求めるグイド。だが間もなく、プロデューサーに居場所を突き止められた彼は、また映画製作という戦場に連れ戻されてしまう…。(goo映画より)
2009年/アメリカ/ロブ・マーシャル監督作品





評価 ★★★★

「シカゴ」に続いて、傑作舞台ミュージカルを映画化!

映画監督グイドのこれまでの経歴をセリフから拾ってみると・・・初期の作品で大成功を収めて名声を確立。その余勢を駆って数々の女優と浮名を流す。しかし、その後の作品は鳴かず飛ばずで、突然想像力が枯渇した彼は女性達に救いを求める。といったところでしょうか。
少年時代の純真無垢はいつの間にか失われ、やがて自分の能力の限界を思い知らされる。これは、映画監督のグイドに限らず、誰しも起ることなのかも知れません。

重要なのは、グイドが最後に撮り始めた映画が傑作になるかどうかではなく、日々の務めを粛々とこなしてやり遂げることが存在の証であり、生きる意味であるということ。少年時代の彼と、これまでに関わった人々が総登場するフィナーレを観て、彼が最後に辿り着いた境地はこういう事ではないのかな、と思いました。
これは、”ただ、そこに在ること”を祝福する映画。彼の最後のセリフ「アクション」は、日々を歩めという意味に受け取りました。
中年オヤジの実存主義でした。





評価 ★★★★

豪華キャストが集結した、ロブ・マーシャル監督最新作!

なんといっても豪華キャストが見どころの映画です。主役の映画監督グイドにダニエル・デイ=ルイス、グイドの妻にマリオン・コティヤール、そして愛人にはペネロペ・クルス、グイドの女神とも言える存在・映画の主演女優にニコール・キッドマン、雑誌ヴォーグの編集者にケイト・ハドソン、そして映画の衣装係にジュディ・デンチ、と主役級の俳優たちが歌って踊るこのミュージカル映画はとても贅沢な気分になりました。

また、キャストたちが競演するのではなくて、一人ずつ歌と踊りでパフォーマンスするという設定も面白かったです。そのなかでも特にマリオン・コティヤールは歌も踊りも素晴らしかったですね。さすが『エディット・ピアフ』でその抜群の歌唱力を披露した実力の持ち主だなと思いました。

たくさんあるパフォーマンスのなかでも、いちばん印象に残ったのはケイト・ハドソンのパフォーマンスで、ラブコメに定評のあるケイトですが、こんなに歌って踊れるなんて知らなかったです。観ているこっちまで楽しくなってくるノリノリのシーンでした!

主役のグイドを演じたダニエル・デイ=ルイスも良かったですね。彼なら女性にだらしないという役どころでも、なぜか憎めない不思議な魅力があります。歌は正直、イマイチでしたが、才能が枯渇した監督の苦悩がひしひしと伝わってくる名演技でした。

どんなに才能のある監督でも、いつか突然映画が撮れなくなることってあるんでしょうね。女性たちに救いを求めても自分の現実から逃げられるわけではない。結局、グイドのようにいったん白紙に戻して、充電期間を設けてから、自分の本当に撮りたいものが自分の中に沸き上がって来るのを待つ。少年のグイドが大人のグイドに「(映画を撮る)準備は出来たよ。」と語りかけるシーンがあるのですが、なんだか、とてもほほえましかったです。クリエィティブな職業を経験した人なら、グイドが陥ったシチュエーションは痛いほど分かる共通の悩みなんでしょうね。

フェリーニの81/2は観ていないのですが、なかなか難しいテーマを持つこの映画をミュージカル風に分かりやすく面白く描いた監督の手腕は見事だと思います。途中でダレることもなく一気に観れて楽しめた作品でした。


映画『NINE』公式サイト


(「NINE」2010年3月 長野 岡谷スカラ座 にて鑑賞)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【NINEを観る前に・・・】8 1/2 | トップ | シャッターアイランド »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです ()
2010-04-19 18:50:15
TBありがとうございましたm(__)m
私と同様 酷評ではなく楽しんでくださったことをとても嬉しく思います。

>一人ずつ歌と踊りでパフォーマンスするという設定
そう! それゆえ1人1人の舞台を 優雅に観れ楽しめましたよね。

「81/2」私は退屈でちょっと寝てしまいました・・(そんな映画とは思っていなかったので)が
「NINE」を観た後で みると
わかりやすいかも??と思います。
返信する
こちらこそお久しぶりです (nyanco)
2010-04-26 17:16:42
猫さん、こんにちは♪
遅くなりましたがコメントありがとうございました。

私の場合、かえって予備知識がないせいか、思ったよりずっと楽しめました。
本当に、1人ずつ歌と踊りのパフォーマンスが楽しめたのが良かったですよね。

「81/2」は退屈で寝てしまったという方多いですよね。。
難解で分かりづらいという評判のこの映画、私は未見なのでちょっと観てみたくなってしまいました。。^^;
返信する

コメントを投稿

な行の映画」カテゴリの最新記事